似た意味を持つ「解釈」(読み方:かいしゃく)と「理解」(読み方:りかい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「解釈」と「理解」という言葉は、どちらも「物事を把握すること」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
解釈と理解の違い
解釈と理解の違いを分かりやすく言うと、解釈とは主観的に把握すること、理解とは客観的に把握することという違いです。
一つ目の解釈を使った分かりやすい例としては、「よく考えて自分なりに解釈する」「解釈学の入門書を注文しました」「解釈改憲の問題点をわかりやすく解説します」「判例によって法解釈にずれがあるようだ」「相手の言葉を好意的に解釈する」などがあります。
二つ目の理解を使った分かりやすい例としては、「あの人の言ってることは理解できない」「より深く理解するためにテキストを読む」「理解が及ばず申し訳ございません」「理解のある彼なら許してくれるだろう」「母は私の一番の理解者です」などがあります。
解釈と理解という言葉は、どちらも物事の意味や内容などが分かることを表しますが、意味や使い方には違いがあります。
解釈とは、言葉や文章の意味や内容を解き明かすことを意味します。「法解釈」とは、法の適用に際して法文の意味を明確にする作業であり、人によって異なる見方ができるものです。また、「好意的に解釈する」のような使い方で、人の言動などを主観的に把握することも意味する言葉です。
理解とは、物事の筋道が正しく分かることを意味し、客観的な事実や情報に基づいて物事の本質を把握することを表します。「理解が及ばない」とは、主にビジネスシーンで使用される言葉で、十分に理解できなかったことを表現します。
つまり、解釈とは自分なりの考えや感情を交えて把握することであり、理解とは事実やデータに基づいて正しく知ることを意味します。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使うようにしましょう。
解釈を英語にすると「interpretation」「reading」「explanation」となり、例えば上記の「自分なりに解釈する」を英語にすると「interpret in one’s own way」となります。
一方、理解を英語にすると「understanding」「comprehension」となり、例えば上記の「理解できない」を英語にすると「cannot understand」となります。
解釈の意味
解釈とは、言葉や文章の意味・内容を解きほぐして明らかにすることを意味しています。
その他にも、「物事や人の言動などについて、自分なりに考え理解すること」の意味も持っています。
「英語の先生に英文解釈の参考書を借りました」「運営基準の解釈通知を公表する」「ビジネスマンに必要な解釈力を鍛える」などの文中で使われている解釈は、「意味や内容を解きほぐして明らかにすること」の意味で使われています。
一方、「何事も良いほうに解釈するようにしています」「公式との解釈一致に震える」「同担との解釈違いが気持ち悪い」などの文中で使われている解釈は、「物事などについて自分なりに考え理解すること」の意味で使われています。
解釈の読み方は「かいしゃく」です。誤って「げしゃく」「かいせき」などと読まないようにしましょう。
解釈とは、上記の例文にあるように二つの意味を持ち、それぞれの意味で用いられているため、文脈により意味を捉える必要があります。解釈の「解」は一つにまとまったものを解き分けること、「釈」は分かりにくい事柄や文章を解きほぐして述べることを表す漢字です。
解釈を用いた日本語には「反対解釈」があります。反対解釈とは、ある事項に関しての法律規定があるとき、それ以外の場合については適用されないと解釈することを意味します。例えば、車馬の通行を禁止する規定で、人は通行してもよいとすることです。対となる解釈には「類推解釈」があります。
解釈の類語・類義語としては、問題を解いて意味を明らかにすることを意味する「解き明かす」、書物の内容などを説明することを意味する「講釈」、文章・語句や教えなどの意義を解釈し説明することを意味する「釈義」、文章を読んでその内容を理解することを意味する「読解」などがあります。
理解の意味
理解とは、物事の道理や筋道が正しくわかること、意味・内容をのみこむことを意味しています。
その他にも、「他人の気持ちや立場を察すること」「ディルタイ哲学で、文化的、歴史的なものを生の表現とみなし、その生を追体験によって把握すること」の意味も持っています。
「息子は英語の文法が理解できていない」「ざっと読んで英語の文章を理解した」「理解力がない人と仕事をするのは疲れる」「理解力を高める方法を教えましょう」の文中で使われている理解は、「意味や内容をのみこむこと」の意味で使われています。
一方、「彼女の苦しい立場を理解する」「子どもの言いたいことを理解する」の文中で使われている理解は「気持ちや立場を察すること」の意味で、「理解を精神科学に固有の方法とみなす」の文中で使われている理解は「哲学で、追体験によって把握すること」の意味で使われています。
理解とは、上記の例文にあるように複数の意味を持ち、それぞれの意味で用いられているため、文脈により意味を判断する必要があります。理解の「理」は物事に備わった筋道を表し、「解」は物事の筋道や意味をはっきり捉えることを表します。
理解を用いた日本語には「音声理解システム」があります。音声理解システムとは、入力音声情報を処理し、それが担う意味内容を正確に抽出することを目的としたシステムを意味します。AI技術の大きな研究領域の一つであり、スマートフォンなどにも搭載されています。
理解の対義語・反対語としては、あることについての理解がないことを意味する「無理解」、理解しようとしても理解できないことを意味する「不可解」、ある事実について間違った理解や解釈をすることを意味する「誤解」などがあります。
理解の類語・類義語としては、しっかりと理解することを意味する「把握」、事情などを知ることを意味する「承知」、物事の内容や事情を理解して承認することを意味する「了解」、他人の考えなどを理解して受け入れることを意味する「納得」などがあります。
解釈の例文
この言葉がよく使われる場面としては、 語句や物事の意味内容などを説明すること、解き明かすこと、自分の経験や判断力などによって理解することを表現したい時などが挙げられます。
例文4と例文5の解釈はオタク用語として用いられています。「解釈一致」とは、作品の設定やキャラクターなどの捉え方が他の人と合っていることを意味します。「解釈違い」とは、アニメや漫画あるいはゲームなどにおいて、自分の解釈が創作者や他の人と異なる際に使われる表現です。
理解の例文
この言葉がよく使われる場面としては、内容や意味などがわかること、相手の気持や立場に立って思いやること、生と文化の構造連関を自己の体験などによって捉えようとするプロセスを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、理解の慣用的な言い回しには「理解する」「理解を深める」「理解できない」などがあります。
例文3にある「理解を深める」とは、 対象についてより詳しく知って事情をよく理解することを意味します。言い換えの表現には「理解を広げる」「認識を深める」「熟知する」などがあります。
解釈と理解という言葉は、どちらも「物事の意味や内容などを把握すること」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、主観に基づいて把握することを表現したい時は「解釈」を、客観的に正しく把握することを表現したい時は「理解」を使うようにしましょう。