同じ「ひろがる」という読み方の「拡がる」と「広がる」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「拡がる」と「広がる」という言葉は同音の言葉ですが、それぞれの漢字によって使い方には少し違いがあります。
「拡がる」と「広がる」の違い
「拡がる」と「広がる」の意味の違い
「拡がる」と「広がる」の違いを分かりやすく言うと、「拡がる」とは公文書では使えない、「広がる」とは公文書でも使えるという違いです。
「拡がる」と「広がる」の使い方の違い
一つ目の「拡がる」を使った分かりやすい例としては、「風が強いのは火災が拡がる原因になる」「海外留学をしたら視野が拡がりました」「津波により地震の被害が拡がる」「火事は隣の家まで拡がりました」などがあります。
二つ目の「広がる」を使った分かりやすい例としては、「読書することで視野が広がる」「習い事を始めたら人間関係が広がりました」「目の前に素敵な景色が広がっている」などがあります。
「拡がる」と「広がる」の使い分け方
「拡がる」と「広がる」はどちらも範囲や規模が大きくなることや空間や面積が大きくなることを意味しており違いはありません。
では、あえて違いを挙げるならば、「拡がる」は常用漢字ではないので公文書では使えないのに対して、「広がる」は常用漢字なので公文書でも使えるというのが違いになります。
また、「拡がる」と「広がる」どちらを使うか迷った場合は、どんな場面でも使うことができる「広がる」の方を使えば間違いないでしょう。
「拡がる」と「広がる」の英語表記の違い
「拡がる」も「広がる」も英語にすると「spread」「widen」となり、例えば上記の「火事は隣の家まで拡がりました」を英語にすると「The fire spread to the neighboring house」となります。
「拡がる」の意味
「拡がる」とは
「拡がる」とは、範囲や規模が大きくなることを意味しています。その他にも、空間や面積が大きくなること、畳んだり閉じたりしてある物などが開くこと、大きく展開することの意味も持っています。
表現方法は「可能性が拡がる」「病気が拡がる」「被害が拡がる」
「可能性が拡がる」「病気が拡がる」「被害が拡がる」などが、「拡がる」を使った一般的な言い回しになります。
「拡がる」の使い方
「黒人差別の反対運動が世界的に拡がっている」「火山の影響により島の面積が拡がる」などの文中で使われている「拡がる」は、「範囲や規模が大きくなることや大きく展開すること」の意味で使われています。
一方、「打ち上がった花火が空中で拡がる」「目の前に拡がる湖を眺めている」などの文中で使われている「拡がる」は、「空間や面積が大きくなることや畳んだり閉じたりしてある物などが開くことや大きく展開すること」の意味で使われています。
「拡がる」は複数の意味を持つ言葉なので、様々な場面で使うことができます。
「拡がる」は常用外漢字なので公用文で使えない
ただし、「拡がる」は常用漢字表にない音訓読みなので、公文書や新聞などでは使うことができません。公文書や新聞などでは「広がる」に置き換えて使用すると覚えておきましょう。
公文書とは国や地方公共団体の機関、または公務員が職務上作成する文書のことを意味しています。
また、個人的な文章であれば「拡がる」を使っても問題ありません。
「拡がる」の類語
「拡がる」の類語・類義語としては、広く行き渡ることを意味する「普及する」、広がって大きくなることを意味する「拡大する」、よくないものの勢いが盛んになって広まることを意味する「蔓延る」などがあります。
「広がる」の意味
「広がる」とは
「広がる」とは、範囲や規模が大きくなることを意味しています。その他にも、空間や面積が大きくなること、畳んだり閉じたりしてある物などが開くこと、大きく展開することの意味も持っています。
表現方法は「世界が広がる」「楽しみが広がる」「差が広がる」
「世界が広がる」「楽しみが広がる」「差が広がる」「一気に広がる」「可能性が広がる」「大きく広がる」などが、「広がる」を使った一般的な言い回しになります。
「広がる」の使い方
「工場の下水により大気汚染が広がる」「改築したことで自分の部屋が広がる」などの文中で使われている「広がる」は、「範囲や規模が大きくなることや大きく展開すること」の意味で使われています。
一方、「傘が広がると綺麗な模様が見えました」「眼前に大海原が広がっている」などの文中で使われている「広がる」は、「空間や面積が大きくなることや畳んだり閉じたりしてある物などが開くことや大きく展開すること」の意味で使われています。
「広がる」は常用漢字なので公用文で使える
「広がる」は複数の意味持っているかつ常用漢字表に載っている言葉なので、様々な場面で使うことが可能です。また、公文書や新聞などで使用しても問題ありません。もし、どの「ひろがる」を使うか迷った場合は、「広がる」を使えば問題ないでしょう。
常用漢字とは、現代の国語を書き表す場合の漢字使用の目安として、内閣告示の常用漢字表で示された日本語の漢字のことです。現行の常用漢字表は、2010年11月30日に平成22年内閣告示第2号として告示され、2136字で成り立っています。
常用漢字はあくまで漢字使用の目安であって制限ではないので、常用漢字以外は使えないというわけではありません。ただし、公用文や新聞などでは常用漢字を使用するのが好ましいとされています。
「広がる」の類語
「広がる」の類語・類義語としては、広く行き渡ることを意味する「広まる」、範囲を広くすることを意味する「広める」、規模が広がって大きくなることを意味する「膨張する」、ものの長さや広がりが増すことを意味する「伸びる」などがあります。
「拡がる」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、範囲や規模が大きくなることを表現したい時などが挙げられます。その他にも、空間や面積が大きくなること、畳んだり閉じたりしてある物などが開くこと、大きく展開することを表現したい時にも使います。
例文1と例文2の「拡がる」は範囲や規模が大きくなること、例文3の「拡がる」は空間や面積が大きくなること、例文4の「拡がる」は畳んだり閉じたりしてある物などが開くこと、例文5の「拡がる」は大きく展開することの意味で使っています。
「広がる」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、範囲や規模が大きくなることを表現したい時などが挙げられます。その他にも、空間や面積が大きくなること、畳んだり閉じたりしてある物などが開くこと、大きく展開することを表現したい時にも使います。
例文1と例文2の「広がる」は範囲や規模が大きくなること、例文3の「広がる」は空間や面積が大きくなること、例文4の「広がる」は畳んだり閉じたりしてある物などが開くこと、例文5の「広がる」は大きく展開することの意味で使っています。
「拡がる」と「広がる」はどちらも範囲や規模が大きくなることを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、公文書などでも使用することができる、「広がる」の方を使っておけば問題ないでしょう。