似た意味を持つ「被害」(読み方:ひがい)と「損害」(読み方:そんがい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「被害」と「損害」という言葉は、どちらも「不利益を被ること」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
被害と損害の違い
被害と損害の意味の違い
被害と損害の違いを分かりやすく言うと、被害とは不利益を被ることを幅広く表現し、損害とは主に金銭上の不利益を表現するという違いです。
被害と損害の使い方の違い
一つ目の被害を使った分かりやすい例としては、「強烈寒波の大雪により被害を受けました」「心の病気から被害妄想が強くなる」「被害妄想が強い人の特徴を教えます」「万引き被害対策として防犯カメラを付けました」などがあります。
二つ目の損害を使った分かりやすい例としては、「仕事でミスをして会社に損害を与えた」「サイバー攻撃により数千万円規模の損害を被る」「株主に損害を及ぼすおそれがある」「誹謗中傷をして他人に精神的損害を与える」などがあります。
被害と損害の使い分け方
被害と損害という言葉は、どちらも不利益を被ることや損失を受けることを表しますが、意味や使い方には違いがあります。
被害とは、損害や危害を受けることを意味します。被害という言葉は、さまざまな危害や損失について用いられ、「地震による被害」のように物理的な損壊、「ストーカー被害」のように精神的な苦痛、「詐欺被害」のように金銭的な損失も表します。
損害とは、そこない傷つけることであり、利益を失うことや事故などで受けた不利益を意味します。「会社に損害を与える」「数千万円の損害を被る」のような使い方で、金銭上の損失を表すことが多い言葉です。ただし、あくまで多いだけなので「精神的損害」のように使うこともできます。
つまり、被害とは多種多様な危害や損失に関して使用され、損害は主に金銭的な損失に関して使用される言葉です。二つの言葉を比べると、損害より被害の方が幅広い意味を持ち、汎用性のある言葉だと言えるでしょう。
被害と損害の英語表記の違い
被害も損害も英語にすると「damage」「injury」となり、例えば上記の「被害を受ける」を英語にすると「suffer damage」となります。
被害の意味
被害とは
被害とは、損害や危害を受けること、また、受けた損害や危害を意味しています。
被害の読み方
被害の読み方は「ひがい」です。誤って「ひかい」「ふがい」などと読まないようにしましょう。
被害の使い方
被害を使った分かりやすい例としては、「示談が成立したので被害届を取り下げる」「英語の先生から性被害を受けていました」「あの人は被害者意識が強いので扱いに困る」「有名イラストレーターからストーカー被害を受けています」などがあります。
その他にも、「あなたにも非があるのだから被害者面しないで」「統合失調症という精神疾患から被害妄想が激しくなっています」「被害妄想が強い人は正直めんどくさいと感じる」「被害者保護増進等事業費補助金について調べています」などがあります。
被害の「被」は訓読みで「こうむる」と読み、よくないことを身に受けることを表す漢字です。災いや妨げるものを表す「害」と結びつき、被害とは、損害を受けることや害を受けること、また、その受けた損害を意味します。
表現方法は「被害妄想」
被害を用いた日本語には「被害妄想」(読み方:ひがいもうそう)があります。被害妄想とは、他人が自分に危害を加えている、あるいは加えられるのではないかという妄想を意味します。統合失調症に多くみられます。
「被害を被る」は誤用
被害を用いた誤った表現には「被害を被る」があります。「被害を被る」は、被害の「被」と「被る」が同じ意味の重複表現です。正しくは「被害を受ける」「害を被る」などと言います。
被害の対義語
被害の対義語・反対語としては、他人に危害や損害を加えることを意味する「加害」などがあります。
被害の類語
被害の類語
被害の類語・類義語としては、損失を受けることや利益を失うことを意味する「損亡」、利益にならないことや損になることを意味する「不利益」、天災や事故によって受けるわざわいを意味する「災禍」などがあります。
損害の意味
損害とは
損害とは、そこない傷つけること、利益を失わせることや失うこと、また、事故などで受けた不利益を意味しています。
損害の使い方
損害を使った分かりやすい例としては、「損害額の算出方法を教えてください」「裁判所は損害賠償請求を棄却しました」「甥っ子は損害保険ジャパンに勤めています」「損害保険協会の相談窓口に問い合わせる」などがあります。
その他にも、「損害賠償請求権の時効は3年です」「損害保険募集人の一般試験を合格しました」「損害保険料率算出機構の業務概要を調べています」「年末調整の損害保険料控除は廃止されました」などがあります。
損害の「損」は傷つけたりすることや利益を減らすことを表し、「害」は災いや生存の妨げになるものを表します。損害とは、損なわれ傷つくこと、利益を失うことや失わせることを意味します。また、事故や災害などで、物が壊れたりなくなったりして受けた金銭上の損失も表す言葉です。
表現方法は「損害保険」
損害を用いた日本語には「損害保険」があります。損害保険とは、偶然の事故によって生ずる損害を塡補する目的の保険の総称です。火災保険・運送保険・海上保険・自動車保険などがあります。略して「損保」と呼ばれ、損害の程度に応じて保険金の額が定められています。
損害の対義語
損害の対義語・反対語としては、得になることや益になることを意味する「利益」などがあります。
損害の類語
損害の類語・類義語としては、財産や利益などを失うことを意味する「損失」、実質的な損害を意味する「実害」、支出が収入より多いことを意味する「赤字」、会社経理で収入よりも支出が多くなることを意味する「欠損」などがあります。
被害の例文
この言葉がよく使われる場面としては、害を受けること、損害をこうむること、その受けた損害を表現したい時などが挙げられます。
例文5にある「被害者」とは、被害を受けた人を意味し、特に他人の不法行為または犯罪によって侵害や損害を受けた人を表します。
損害の例文
この言葉がよく使われる場面としては、そこなうこと、傷つけること、利益を失うことや失わせること、物がこわれたりなくなったりして受けた金銭上の損失を表現したい時などが挙げられます。
例文2にある「損害賠償」とは、他人に損害を与えた者が被害者に対しその損害を填補し、損害がなかったのと同じ状態にすることを意味します。そのように請求する権利を「損害賠償請求権」と言います。
被害と損害という言葉は、どちらも「不利益を被ること」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、不利益を被ることを幅広く表現したい時は「被害」を、金銭的な不利益を被ることを表現したい時は「損害」を使うようにしましょう。