似た意味を持つ「限度」(読み方:げんど)と「限界」(読み方:げんかい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「限度」と「限界」という言葉は、どちらも「ある範囲や制限の中にあること」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
限度と限界の違い
限度と限界の意味の違い
限度と限界の違いを分かりやすく言うと、限度とはそこまでと限られたところ、限界とはそれ以上進めないところという違いです。
限度と限界の使い方の違い
一つ目の限度を使った分かりやすい例としては、「クレジットカードの利用限度額ぎりぎりになってしまった」「限度額認定証の区分を確認する」「我慢するにも限度がある」「彼の態度はもはや許容の限度を越えている」などがあります。
二つ目の限界を使った分かりやすい例としては、「物価高で家計のやりくりは限界を達している」「試しに一ヶ月だけ限界集落に住んでみた」「限界利益率の求め方を初心者にもわかりやすく教えます」などがあります。
限度と限界の使い分け方
限度と限界という言葉は、どちらも物事が特定の範囲や制限の内にあることを表しますが、意味や使い方には違いがあります。
限度とは、限られている程度を意味し、認めうる範囲のぎりぎりのところを表します。あらかじめそこまでと限られたところというニュアンスが強く、「クレジットカードの利用限度額」とは、クレジットカードが使える上限の金額です。
限界とは、物事の範囲や程度などのぎりぎりのところを意味し、それ以上進めなくなるところというニュアンスが強い言葉です。「限界を達する」とは、これ以上は超えられないという点に到達していることを表現しています。
つまり、限度とはそこまでと限られたところを表し、限界とはそれ以上進めなくなるところを表す言葉です。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使うようにしましょう。
限度と限界の英語表記の違い
限度も限界も英語にすると「limit」「limitation」「bounds」となり、例えば上記の「クレジットカードの利用限度額」を英語にすると「credit limit」となります。
限度の意味
限度とは
限度とは、そこまでと限られている程度、認めうる範囲のぎりぎりのところ、限りを意味しています。
限度の使い方
限度を使った分かりやすい例としては、「我慢の限界を超えると体を壊します」「物事には限度があるだろう」「おのれの力の限度を知れ」「国保の限度額適用認定証はどこに申請すればもらえますか」などがあります。
その他にも、「医療費の自己負担額が限度額を超える」「協会けんぽに限度額認定証を申請しました」「限度額適用認定証の申請用紙をダウンロードする」「一般貸付の融資限度額は4,800万円です」などがあります。
限度の「限」は訓読みで「かぎる」と読み、時間や空間あるいは数量などに境をして範囲を定めることを表す漢字です。程合いを表す「度」と組み合わさり、限度とは、これ以上には及ぶことができないという限られた度合いを意味します。
表現方法は「限度額適用認定証」
限度を用いた日本語には「限度額適用認定証」があります。限度額適用認定証とは、高額療養費制度で、医療費のうち自己負担限度額を超えた分の支払いの免除を受けるための認定証です。事前に保険者から交付を受け、保険証とともに医療機関や調剤薬局の窓口に提出するものです。
限度の対義語
限度の対義語・反対語としては、数量や程度に限度がないことを意味する「無限」などがあります。
限度の類語
限度の類語・類義語としては、上の方の限界を意味する「上限」、下の方の限界を意味する「下限」、移り変わっていく状態の最後のところを意味する「際限」、限度いっぱいであることを意味する「目一杯」、限度や限界を意味する「リミット」などがあります。
限界の意味
限界とは
限界とは、物事の、これ以上あるいはこれより外には出られないというぎりぎりの範囲、境、限りを意味しています。
限界の使い方
限界を使った分かりやすい例としては、「精神的にも肉体的にも限界です」「限界効用逓減の法則が理解できません」「限界集落を脱村した錬金術士に会いました」「限界オタクの言動が痛々しくて見ていられない」などがあります。
その他にも、「製造業の目標値は限界利益を設定すべきです」「限界利益率の計算式を教えてください」「限界集落が多い都道府県ランキングを調べる」「体育祭のスローガンは限界突破になりました」などがあります。
限界とは、物事の範囲や能力あるいは程度などの、これ以外、これ以上は無いというぎりぎりのところを意味します。それ以上進めなくなるところというニュアンスがある言葉です。限界の「界」は訓読みで「さかい」と読み、物事の区切りや境目を表します。
表現方法は「限界利益」
限界を用いた日本語には「限界利益」があります。「限界利益」とは、売上高から変動費を差し引いた額を指すビジネス用語です。言い換えると、利益と固定費の合計額のことです。この限界利益の概念は、経営政策の立案や予算編成の立案に利用することができます。
「限界を越える」は誤用
限界を用いた誤った表現には「限界を越える」があります。正しくは「限界を超える」です。「越える」物理的な移動を表現する時に使い、「超える」は概念的に上回ることを表現します。
限界の対義語
限界の対義語・反対語としては、限りがないことを意味する「無尽」などがあります。
限界の類語
限界の類語・類義語としては、物事の限度ぎりぎりのところを意味する「極限」、ある範囲内でもっとも大きいことを意味する「最大限」、物事が限界に達してこれ以上には向上しえない状態になることを意味する「頭打ち」などがあります。
限度の例文
この言葉がよく使われる場面としては、それ以上はこえられないという程度の境目や度合いを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、限度の慣用的な言い回し、慣用的な表現には「限度がある」「限度を超える」などがあります。「限度を超える」とは、決められた範囲や基準、または許容できる最大限度を上回ることを意味します。
限界の例文
この言葉がよく使われる場面としては、物事の範囲や能力どの、これ以上は無いというぎりぎりのところを表現したい時などが挙げられます。
例文4にある「限界集落」とは、65歳以上の高齢者が住民の半数を超え、共同生活の維持が困難な集落を指します。過疎化や高齢化が進展し、社会的な共同生活の維持が難しくなっている社会単位です。
限度と限界という言葉は、どちらも「ある範囲や制限の中にあること」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、そこまでと限られたところを表現したい時は「限度」を、それ以上進めないところを表現したい時は「限界」を使うようにしましょう。