似た意味を持つ「標高」(読み方:ひょうこう)と「海抜」(読み方:かいばつ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「標高」と「海抜」という言葉は、どちらも「土地の高さ」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
標高と海抜の違い
標高と海抜の意味の違い
標高と海抜の違いを分かりやすく言うと、標高とは東京湾の平均海水面からの高さ、海抜とは近隣の海の平均海水面からの高さという違いです。
標高と海抜の使い方の違い
一つ目の標高を使った分かりやすい例としては、「グーグルマップで標高を調べる」「標高1900mの湿原にミズバショウが群生している」「国土地理院が標高の数値を改定しました」「標高1600mにある天文台で流れ星を見ました」などがあります。
二つ目の海抜を使った分かりやすい例としては、「海抜2千メートルの山に登りました」「海抜マイナス1mの場所に新校舎を建てる予定です」「海抜ゼロメートル地帯で防災訓練が実施されます」「海抜の低い国にとって地球温暖化は深刻な問題です」などがあります。
標高」と海抜の使い分け方
標高と海抜という言葉は、どちらも特定の場所や山などの高さを表しますが、意味や使い方には違いがあります。
標高とは、「海抜高度」とも呼ばれ、平均海水面からの高さを意味します。日本では東京湾の平均海水面を海抜0mとして定められています。測量や山の高さなどの表記に用いられる言葉であり、日本全国の山の標高は、東京湾の海水面からの垂直距離ということになります。
海抜とは、平均海水面からの高さを意味し、本来は近隣の海からの高さを示しますが、実際には標高と同じ値を使われていることがほとんどです。ただし、使われ方には違いがあり、津波や洪水などの防災用の表記には「標高」ではなく「海抜」が使用されることが一般的です。
つまり、日本における標高とは東京湾の平均海水面からの高さであり、海抜とは近隣の海の平均海水面からの高さです。また、海水という言葉は特に防災に関して使用されていることも、二つの言葉の明確な違いになります。
標高と海抜の英語表記の違い
標高を英語にすると「elevation」「altitude」「true height」となり、例えば上記の「標高を調べる」を英語にすると「check the altitude」となります。
一方、海抜を英語にすると「above sea level」「height above sea level」となり、例えば上記の「海抜2千メートル」を英語にすると「2000 meters above sea level」となります。
標高の意味
標高とは
標高とは、ある地点の平均海水面からの高さ、海抜を意味しています。
標高の使い方
標高を使った分かりやすい例としては、「標高の高いキャンプ場を探しています」「iPhoneのマップで標高を調べる」「日本水準原点のT.P.からの標高は約24メートルです」「色分けされた標高地図アプリがとても便利です」などがあります。
その他にも、「山の気温は標高差と反比例して下がります」「標高と気圧にも相関性はありますか」「国土地理院のデジタル標高地形図を公開しています」「オリジナルの標高地図を作りました」などがあります。
標高の読み方
標高の読み方は「ひょうこう」です。誤って「ひょこう」「ひょうたけ」などと読まないようにしましょう。
標高の特徴
標高の「標」は訓読みで「しるし」と読み、見おぼえのためのしるしや目当てを表す漢字です。位置が上にあることを表す「高」と組み合わさり。標高とは、ある地点の平均水面からの高さを意味します。日本では東京湾の平均海水面を零メートルとし、各地の高さを測量しています。
しかし、基準となる東京湾の海面は波などの影響を受けるため常に一定ではありません。そこで、明治24年に「日本水準原点」と呼ばれる標高0mの基準点が千代田区永田町に固定されました。2025年現在、この日本水準原点を標高23.49メートルとして日本各地の標高が測量されています。
標高の類語
標高の類語・類義語としては、基準面から測ったある地点までの垂直距離を意味する「高度」、周囲よりも高くて表面がなだらかに続いている土地を意味する「高台」などがあります。
海抜の意味
海抜とは
海抜とは、海水面から測った陸地の高さを意味しています。
海抜の使い方
海抜を使った分かりやすい例としては、「簡単な海抜の調べ方を教えてください」「避難所がある場所が海抜3メートルとは驚きました」「現在地の海抜はアプリで簡単に確認することができます」などがあります。
その他にも、「私が住む町は海抜75メートルのところにあります」「海抜ゼロメートル地帯は洪水の危険度が高い場所です」「英語と中国語で海抜を表示しています」「気温は海抜高度が高くなるほど低くなります」などがあります。
海抜の読み方
海抜の読み方は「かいばつ」です。同じ読み方をする熟語に「皆伐」がありますが、意味が異なるため書き間違いに注意しましょう。
海抜とは、その地点の近隣の海面からの高さを意味し、海面は干潮時と満潮時の年間平均を基準としています。海抜は、陸地の高さや飛行高度などを表わす時に用いられますが、日常生活では防災上の表記として「海抜〇メートル」と使用されています。
表現方法は「海抜ゼロメートル地帯」
海抜を用いた日本語には「海抜ゼロメートル地帯」があります。海抜ゼロメートル地帯とは、海抜0メートル以下の土地を意味します。世界的には、カスピ海の周辺やオランダのポルダーなどに広がり、日本では人口や産業の密集した沿岸部の沖積層地帯に多く見られます。
海抜の対義語
海抜の対義語・反対語としては、水面から水中の目的物までの垂直距離を意味する「水深」などがあります。
海抜の類語
海抜の類語・類義語としては、海面からの高さや海抜を意味する「高距」、陸地が周囲特に海水面に対して相対的に上昇することを意味する「隆起」、空中のある点からその直下の地表または海面までの垂直距離を意味する「絶対高度」などがあります。
標高の例文
この言葉がよく使われる場面としては、基準面から測ったある地点までの垂直距離を表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、標高という言葉は、山の高さや測量などを表す際に用いられることがほとんどです。
海抜の例文
この言葉がよく使われる場面としては、平均海水面からの高さ、陸地の高さや飛行高度を表現したい時などが挙げられます。
例文1や例文5にあるように、海抜という言葉は、防災に関して用いられることが多くなっています。
標高と海抜という言葉は、どちらも「土地の高さ」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、東京湾の平均海水面からの高さを表現したい時は「標高」を、近隣の平均海水面からの高さを表現したい時は「海抜」を使うようにしましょう。