似た意味を持つ「俳句」(読み方:はいく)と「川柳」(読み方:せんりゅう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「俳句」と「川柳」という言葉は、どちらも「17音からなる短詩」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
俳句と川柳の違い
俳句と川柳の意味の違い
俳句と川柳の違いを分かりやすく言うと、俳句とは季語や切れ字を入れた文語体の詩、川柳とは季語や切れ字の制約がない口語体の詩という違いです。
俳句と川柳の使い方の違い
一つ目の俳句を使った分かりやすい例としては、「年を重ねて俳句の風情がわかるようになりました」「冬をテーマにした俳句を作ってみましょう」「近代俳句の歴史について国語の授業で習いました」などがあります。
二つ目の川柳を使った分かりやすい例としては、「応募作品の中からすぐれた川柳をご紹介いたします」「コンプライアンス違反をテーマにした川柳を募集しています」「私の川柳に面白いイラストを付けてもらえませんか」などがあります。
俳句と川柳の使い分け方
俳句と川柳という言葉は、どちらも17字からなる日本独自の短詩を表しますが、意味や使い方には違いがあります。
俳句とは、「俳諧の句」の略であり、俳諧連歌の第一句が独立してできたものです。五七五の3句17字で完結する短詩であり、「古池や蛙飛びこむ水の音」のように、基本的に季語や切れ字を取り入れて文語体で表現します。
川柳とは、江戸中期に発生した遊戯的な俳諧です。季語や切れ字などの制約はなく、口語を用いた17字の短詩であり、「役人の子はにぎにぎよく覚え」のように、人事や社会を風刺的に表現したり滑稽に描写するのが特色です。
つまり、俳句とは原則として季語や切れ字を入れて作る文語体の短詩であり、川柳とは季語や切れ字などの制約はない口語体の短詩です。また、俳句は主に自然を対象に詠みますが、川柳では世相や人事を詠む点も、二つの言葉の違いになります。
俳句と川柳の英語表記の違い
俳句を英語にすると「haiku」となり、例えば上記の「俳句の風情」を英語にすると「a mood of haiku poetry」となります。一方、川柳を英語にすると「senryu」となり、例えば上記の「すぐれた川柳」を英語にすると「an excellent senryu」となります。
俳句の意味
俳句とは
俳句とは、五・七・五の3句17音を定型とする短詩を意味しています。
俳句の使い方
俳句を使った分かりやすい例としては、「夏の季語を入れて俳句を作る宿題が出た」「英語の先生の趣味は俳句作りです」「外国人にも有名な俳句は何ですか」「私の高校は俳句甲子園の優勝校です」などがあります。
その他にも、「俳句における春は立春から立夏の前日までです」「強調のために切れ字を俳句に入れる」「俳句と短歌の違いをノートにまとめました」「小学生でも簡単に俳句を作ることができます」などがあります。
俳句の読み方
俳句の読み方は「はいく」です。誤って「ばいく」などと読まないようにしましょう。
俳句の特徴
俳句とは、五・七・五の17音節を基本とする短詩型の文芸であり、季語を入れることを原則とするものです。俳諧の連歌の発句が独立したもので、明治20年代以降に正岡子規が用い始めたことによって一般化しました。
俳句の「季語」とは、俳句において用いられる特定の季節を表す言葉を意味します。例えば、春には「蛙」、夏には「紫陽花」、秋には「秋刀魚」、冬には「北風」などが季語として使われます。季語を季節ごとに分類し、解説や例句を載せた書物を「歳時記」と呼んでいます。
俳句の対義語
俳句の対義語・反対語としては、和歌の一形体で五・七・五・七・七の5句31音からなる歌を意味する「短歌」などがあります。
俳句の類語
俳句の類語・類義語としては、連句で最初の五・七・五の一七音からなる句を意味する「発句」、俳句や連句および俳文などの総称を意味する「俳諧」、連歌や連句の発句また俳句を意味する「句」、俳句の異称を意味する「十七文字」などがあります。
川柳の意味
川柳とは
川柳とは、江戸中期に発生した雑俳の一つ、前句付けの付句が独立した17字の短詩を意味しています。
川柳の使い方
川柳を使った分かりやすい例としては、「川柳の作り方を教えてもらいました」「面白い川柳は人の心を軽くしてくれます」「川柳のルールはそれほど難しくありません」「中高生の少女たちの間で川柳がブームになっています」などがあります。
その他にも、「小学校のPTAイベントで川柳コンテストを行いました」「川柳と俳句の違いはいくつかあります」「定年退職した父は川柳三昧の生活です」「インターネットで川柳公募一覧をチェックしています」などがあります。
川柳の読み方
川柳の読み方は「せんりゅう」の他に「かわやなぎ」とも読みます。「かわやなぎ」と読むと、「川のほとりにある柳」という別の意味になるので注意してください。
川柳の特徴
川柳とは、俳諧連歌から分かれて生まれた、五・七・五の十七音からなる定型詩を意味します。江戸時代の中期頃から、季語も切れ字もない自由な口語詩として親しまれるようになった文芸です。人事・世相・歴史などの断面をおもしろく指摘するものがほとんどです。
川柳の語源
川柳という言葉の語源は、江戸中期の俳諧の前句附点者だった「柄井川柳」(読み方:からいせんりゅう)という人物名に由来します。彼は世の中を風刺した滑稽味の強い句の作品を生み出し、庶民の間で大流行しました。
川柳の対義語
川柳の対義語・反対語としては、和歌の一形式で長い形式の歌を意味する「長歌」などがあります。
川柳の類語
川柳の類語・類義語としては、構想や内容が滑稽な詩句を意味する「狂句」、本格的な俳諧に対して雑多な形式と内容をもつ遊戯的な俳諧の総称「雑俳」(読み方:ざっぱい)、柄井川柳が前句付けにつけた評点を意味する「川柳点」などがあります。
俳句の例文
この言葉がよく使われる場面としては、5・7・5の3句17音からなる定型詩で、季題によって自然の風物や人事をよむものを表現したい時などが挙げられます。
例文5にある「おくのほそ道」とは、松尾芭蕉の俳諧紀行です。弟子の曾良(そら)をともなって江戸を発ち、奥羽・北陸地方の名所や旧跡をめぐり、岐阜県に至る旅をもとに創作されました。
川柳の例文
この言葉がよく使われる場面としては、人事人情を対象にして端的におもしろく捉える17音の短詩を表現したい時などが挙げられます。
例文3にある「川柳コンテスト」とは、オリジナルの川柳作品を広く募集し、審査や表彰を行うイベントです。入賞作品には賞金や賞品が贈られることが一般的です。
俳句と川柳という言葉は、どちらも「17音からなる定型詩」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、季語や切れ字を入れた文語体の詩を表現したい時は「俳句」を、季語や切れ字にとらわれない口語体の詩を表現したい時は「川柳」を使うようにしましょう。