似た意味を持つ「常套手段」(読み方:じょうとうしゅだん)と「常用手段」(読み方:じょうようしゅだん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「常套手段」と「常用手段」という言葉は、どちらも「いつも決まって使う手段」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
常套手段と常用手段の違い
常套手段と常用手段の意味の違い
常套手段と常用手段の違いを分かりやすく言うと、常用手段よりも常套手段の方が一般的な表現という違いです。
常套手段と常用手段の使い方の違い
一つ目の常套手段を使った分かりやすい例としては、「上司にうまいこと取り入るのが彼の常套手段だ」「サッカーでリードしている時の時間稼ぎは常套手段です」「変化の激しいビジネス界に常套手段などはありません」などがあります。
二つ目の常用手段を使った分かりやすい例としては、「AIでビジネスメール詐欺の常用手段であるなりすましを検出する」「彼にとって嘘やごまかしは常用手段だ」「目先のバラマキ政策は政府の常用手段となっています」などがあります。
常套手段と常用手段の使い分け方
常套手段と常用手段という言葉は、どちらも「同じような場合に、いつも決まってとられる手段」「ありふれたやり方」を意味します。二つの言葉はそれぞれ辞書に載っている同義語であるため、常套手段と常用手段は互いに置き換えて使うことができます。
あえて違いを挙げるならば、一般的には常套手段の方が多く使われていることでしょう。常套手段と常用手段は意味や使い方に違いはありませんが、世間一般で多用されている常套手段を使う方が違和感がない表現になります。
常套手段と常用手段の英語表記の違い
常套手段も常用手段も英語にすると「usual practice」「usual measure」「old trick」となり、例えば上記の「彼の常套手段」を英語にすると「his usual practice」となります。
常套手段の意味
常套手段とは
常套手段とは、同じような場合にいつも決まってとられる手段、ありふれた方法や手段を意味しています。
常套手段の読み方
常套手段の読み方は「じょうとうしゅだん」です。誤って「しょうとうしゅたん」などと読まないようにしましょう。
常套手段の使い方
常套手段を使った分かりやすい例としては、「大量販売型ビジネスでは高効率化を求めて人員削減するのが常套手段です」「この種の電話は詐欺グループが使う常套手段です」「経営改善のためにリストラをすることが常套手段となっている」などがあります。
その他にも、「スピーチでジョークを交える方法は英語圏では常套手段です」「子どもが理解できる言葉に言い換えるのは保育士の常套手段です」「子育ての常套手段にアメとムチがあります」などがあります。
常套手段の語源
常套手段の語源は、「常套」と「手段」の二つの熟語にあります。「常套」は同じような物事をする際に決まってとられるありふれた仕方を表し、「手段」は事を実現させるためにとる方法を表します。常套手段とは、同じような場合に常に使うありきたな方法を意味する四字熟語です。
常套手段は、悪い意味のニュアンスで使われることが多くあります。常套手段という言葉自体に悪い意味はありませんが、「詐欺グループが使う常套手段」のように文脈によっては悪い意味を持ちます。
常套手段の対義語
常套手段の対義語・反対語としては、状況に応じた行動をとることや場合によって対応を変えることを意味する「臨機応変」、思いのままに変化するさまや変わり身が早いさまを意味する「変幻自在」などがあります。
常套手段の類語
常套手段の類語・類義語としては、普通のやり方や考え方を意味する「常軌」、だれもがとる普通のやり方を意味する「常道」、ある場合にいつもきまって使う文句を意味する「常套句」、型にはまった文句を意味する「決まり文句」などがあります。
常用手段の意味
常用手段とは
常用手段とは、ある問題の解決や対処のためにいつも同じように使われる方法のこと、決まって用いられるやり方を意味しています。
常用手段の読み方
常用手段の読み方は「じょうようしゅだん」です。誤って「しょうようしゅたん」などと読まないようにしましょう。
常用手段の使い方
常用手段を使った分かりやすい例としては、「酒が飲めないふりは若者の常用手段らしい」「常用手段として英語翻訳はアプリを使っています」「熟語は漢字の意味から考えるのが私の常用手段です」「今後もこの手口は常用手段となりうるだろう」などがあります。
その他にも、「質問に質問で返してはぐらかすのが彼の常用手段だ」「英文法は書いて覚えるのが彼女の常用手段です」「詐欺師の常用手段を知っていますか」「侵攻は併合するための常用手段です」などがあります。
常用手段の「常用」は、文字通り「常に用いること」であり、どんな時でも絶えず使用することを表します。方法や手だてを表す「手段」と組み合わさり、常用手段とは、同じような場合にいつもきまって使う手段を意味します。
常套手段という言葉は、何度も同じ手を使う状況で使用します。いつもとは違う方法や、あまり使用したことがない手段は「常用手段」とは言いません。たとえば、「侵攻は併合するための常用手段」とは、併合する目的で何度も侵攻を繰り返していることを表しています。
常用手段の対義語
常用手段の対義語・反対語としては、さまざまに変化することを意味する「千変万化」、すばやくその場面に適応して機転をきかすことを意味する「当意即妙」などがあります。
常用手段の類語
常用手段の類語・類義語としては、調子が同じで変化に乏しいことを意味する「一本調子」、習慣的に用いることや習慣として世間に広く使われることを意味する「慣用」、何度も繰り返して起こったり行ったりする傾向を意味する「習慣性」などがあります。
常套手段の例文
この言葉がよく使われる場面としては、同じような場合にいつもきまって使う手段を表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にある「常套手段」は、「常用手段」に置き換えても問題ありません。
常用手段の例文
この言葉がよく使われる場面としては、同じような場合にいつも決まって使う手段を表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にある「常用手段」は、「常套手段」に置き換えても問題ありません。
常套手段と常用手段という言葉は、どちらも「ありふれた方法や手段」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、一般的に用いられている「常套手段」を使えば間違いないでしょう。