似た意味を持つ「カツカツ」と「ギリギリ」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「カツカツ」と「ギリギリ」という言葉は、「余裕のない様子」という共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
カツカツとギリギリの違い
カツカツとギリギリの違いを分かりやすく言うと、カツカツは金銭や時間、空間に余裕のない様子を表現する時に使い、ギリギリは余裕のない様子全般を表現する時に使うという違いです。
一つ目のカツカツを使った分かりやすい例としては、「安い給料でカツカツの生活を送るのがツラく、転職を考えている」「カツカツな予定表から目を背けたい気持ちでいっぱいだ」「容量がカツカツになる前にファイルの整理を行う」などがあります。
二つ目のギリギリを使った分かりやすい例としては、「ギリギリになって宿題に取り掛かるのを母に咎められた」「チャイムが鳴ったが教室には先生がおらず、ギリギリセーフだと安心した」「ギリギリの精神状態では他者に迷惑をかけかねない」などがあります。
カツカツとギリギリはどちらも、余裕のない様子を表しますが、使い方が若干異なります。
カツカツは、ある状態をかろうじて保っている様子や、限度いっぱいで余裕のない様子を表します。特に、金銭面、時間面、空間面の余裕に対して使われる言葉です。その他にも、堅いもの同士が触れ合う音を表す言葉として使われることもあります。
一方のギリギリは、限度いっぱいでそれ以上余地がない様子を表します。上記例文の「ギリギリセーフ」「ギリギリ間に合った」などのように、限界に近いものの限界を超えてはいない状態に対して用いられることもあります。
つまり、カツカツは金銭的、時間的、そして空間的に余裕のない様子に対して使い、ギリギリは余裕のない様子全般に対して使うという違いがあります。
そのため、「生活がカツカツ」を「生活がギリギリ」と置き換えて使うことはできますが、「ギリギリ間に合った」を「カツカツ間に合った」と置き換えて使うことはできない場合があります。
カツカツを英語にすると「scrape」「barely」となり、例えば上記の「安い給料でカツカツの生活を送る」を英語にすると「scrape by on a low salary」となります。
一方、ギリギリを英語にすると「the last minute」となり、例えば上記の「ギリギリになって宿題に取り掛かる」を英語にすると「do my homework at the last minute」となります。
カツカツの意味
カツカツとは、ある状態をかろうじて保っている様子を意味しています。
その他にも、限度いっぱいで余裕のない様子を意味する言葉として使われています。
「給料日前なのでカツカツだが、なんとか工面している」「カツカツななかで効率的に見て回ったことで楽しめた」「メモリの容量がだいぶカツカツになってきた」などの文中で使われているカツカツは、「かろうじて状態を保っている様子」の意味で使われています。
一方、「スケジュールがカツカツなので新しい仕事を引き受けたくない」「カツカツでも貯金だけは続けてしまう」「カツカツな生活を続けるとストレスで爆発しそうだ」などの文中で使われているカツカツは、「余裕のない様子」の意味で使われています。
カツカツは漢字表記がないとされており、語源も不明です。古語の「かつがつ」という語が「不十分ながら成り立つ様子」「どうにか」といった意味を持つことから、「かつかつ」という語に転じたと考えられることがあります。
また、「枯渇しそうな様子」を表すことから、「枯渇」の「かつ」を重複させた語と考えられることもあります。カタカナ表記だけでなく、ひらがなで表記されることも多い言葉です。
上記例文の「給料日前なのでカツカツだ」「スケジュールがカツカツ」「メモリの容量がだいぶカツカツ」などのように、金銭的、時間的、空間的に余裕のない様子に対して用いられることがほとんどです。
その他、「カツカツと音を鳴らす」などの使い方で「堅いもの同士が触れ合う音」も指します。漢字では「戛戛」と表記されるため、余裕のない様子を表す語とは異なりますが、カタカナで表記されることが多いため、ニュアンスを区別する必要があります。
カツカツの対義語・反対語としては、必要分以上に余りがあることや、ゆったりと落ち着いている様子を意味する「余裕」があります。
カツカツの類語・類義語としては、少しの余裕もない様子や、支払いや貸借などが最大限に達している様子を意味する「一杯一杯」、限界をもう少しで超えそうな様子を意味する「すれすれ」、限界でゆとりのない様子を意味する「かすかす」などがあります。
ギリギリの意味
ギリギリとは、限度いっぱいでそれ以上余地がない様子を意味しています。
ギリギリを使った分かりやすい例としては、「締め切りギリギリの提出となり、今回は落第を覚悟した」「ギリギリの到着になってしまったが、友人はまだ待ち合わせに来ていなかった」「ギリギリになってから夏休みの宿題を片付けていた」などがあります。
その他にも、「予算ギリギリな中、なんとかやり切ることができた」「心がギリギリの状態で人とのコミュニケーションを取るのは疲れる」「ギリギリになる前に連絡をくれると嬉しい」「ギリギリ電車に間に合ったと安堵している」などがあります。
ギリギリは漢字で「限り限り」と表記できますが、常用漢字音訓表にない読み方であるため、ひらがな表記もしくはカタカナ表記が一般的です。限度いっぱいの様子に対して使われますが、限界をなんとか超えてはいない状態に対して用いられることもあります。
上記例文の「締め切りギリギリ」「ギリギリの到着」「予算ギリギリ」「心がギリギリの状態」などのように、時間、金銭や資源、人の心理的状況など幅広く使うことができる言葉で、様々な場面で使うことができます。
ただし、丁寧な表現ではないため、「締め切りギリギリ」は「締め切り間際」、「時間ギリギリの連絡」は「直前のご連絡」などの表現に置き換えて表現することが好ましいとされています。
ギリギリの対義語・反対語としては、物事に余裕があり窮屈ではないことを意味する「ゆとり」があります。
ギリギリの類語・類義語としては、これ以上は出ることができないという物事の範囲を意味する「限界」、他のことをする余裕がない様子を意味する「手一杯」、物事が限界に達してこれ以上には向上しえない状態になることを意味する「頭打ち」などがあります。
カツカツの例文
この言葉がよく使われる場面としては、ある状態をかろうじて保っている様子を意味する時などが挙げられます。
また、限度いっぱいで余裕のない様子を表す言葉としても使われており、特に金銭、時間、空間に対して用いられている言葉です。日常会話からビジネスシーンまで幅広く使われています。
ギリギリの例文
この言葉がよく使われる場面としては、限度いっぱいでそれ以上余地がない様子を意味する時などが挙げられます。
特に、対象が限定されることはなく、幅広いものに対して使われている言葉です。
カツカツとギリギリは、どちらも「余裕のない様子」を表します。どちらを使うか迷った場合は、金銭や時間、空間に余裕のない様子を表す場合は「カツカツ」を、余裕のない様子全般を表す場合は「ギリギリ」を使うと覚えておけば間違いありません。