【中毒】と【依存症】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「中毒」(読み方:ちゅうどく)と「依存症」(読み方:いぞんしょう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「中毒」と「依存症」という言葉は、どちらも「異常な反応や症状」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




中毒と依存症の違い

中毒と依存症の違いを分かりやすく言うと、中毒とは原因物質が身体から消えれば症状がなくなる、依存症とは原因物質が身体から消えても症状が続くという違いです。

一つ目の中毒を使った分かりやすい例としては、「食中毒予防マニュアルを熟読する」「薬物中毒の症状がみられた」「巷で話題の中毒性のある曲を紹介します」「中毒性巨大結腸症の原因を調べる」「仕事中毒の上司が迷惑です」などがあります。

二つ目の依存症を使った分かりやすい例としては、「友人がアルコール依存症で入院しています」「中高生のネット依存症の割合に驚きました」「依存症になる脳のメカニズムを究明する」「薬物依存症の定義を知っていますか」などがあります。

中毒と依存症という言葉は、どちらも特定の物質や行動によって引き起こされる異常な状態を表しますが、意味や使い方には違いがあります。

中毒とは、有害な物質によって生体の機能障害を起こすことを意味します。「アルコール中毒」とは多量の飲酒から生じるもので、意識の混濁や手指のふるえが起こり、体内からアルコールが消えれば治ります。

依存症とは、ある物事に依存し、それなしには平常な状態を保てなくなる状態を意味します。「アルコール依存症」は、長期にわたって酒類を飲みつづけた結果、酒を飲みたいという欲求をコントロールできなくなる病気です。体内にアルコールが消えても、欲求が抑えられず症状がずっと続きます。

つまり、中毒とは原因を取り除けば症状がなくなりますが、依存症とは原因を取り除いても自分をコントロールできずに症状が続きます。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使うようにしましょう。

中毒を英語にすると「toxicology」「poisoning」「addiction」となり、例えば上記の「食中毒」を英語にすると「food poisoning」となります。一方、依存症を英語にすると「dependence」「morbid」となり、例えば上記の「アルコール依存症」を英語にすると「alcohol dependent」となります。

中毒の意味

中毒とは、生体内に入った薬物・毒物や生体内の代謝産物によって病態や機能障害が生じることを意味しています。

その他にも、「置かれた状況になれて特に変わったことだとは感じなくなること」の意味も持っています。

「ガイドラインに沿ってガス中毒の治療を行う」「中毒性表皮壊死症の画像を確認する」「新生児に中毒疹が現れることがあります」などの文中で使われている中毒は、「生体内に入った薬物・毒物や生体内の代謝産物によって病態や機能障害が生じること」の意味で使われています。

一方、「活字中毒なので風呂でも新聞を読んでいます」「高校生の娘がSNS中毒になっている」などの文中で使われている中毒は、「置かれた状況になれて特に変わったことだとは感じなくなること」の意味で使われています。

中毒とは、上記の例文にあるように二つの意味を持ち、それぞれの意味で用いられているため、文脈により意味を捉える必要があります。中毒の「中」は物事が進行している最中であることを表し、「毒」は健康を害し生命を危うくするものを表す漢字です。

中毒を用いた日本語には「一酸化炭素中毒」があります。一酸化炭素中毒とは、一酸化炭素を吸ったために起こる中毒です。酸素が血液に吸収されなくなり、窒息状態になります。頭痛、目まい、吐き気などがおこり、やがて意識不明となって死に至ることもあります。

中毒の対義語・反対語としては、体内に入った毒の作用を除くことを意味する「解毒」などがあります。

中毒の類語・類義語としては、暴飲暴食したり有毒物質を含んだ食物などを食べたりして腹痛などを催すことを意味する「食あたり」、有毒物質の含まれた飲食物を摂取したことによって起こる中毒の総称を意味する「食中毒」、食あたりを起こすことを意味する「食傷」などがあります。

依存症の意味

依存症とは、ある物事に依存し、それがないと身体的・精神的な平常を保てなくなる状態を意味しています。

依存症を使った分かりやすい例としては、「子供だけでなく大人もゲーム依存症になる可能性があります」「エクセルで依存症の種類一覧を作成する」「ギャンブル依存症を克服して英語教師になりました」などがあります。

その他にも、「彼女は依存症になりやすい人なのかもしれない」「依存症の診断には専門的な知識が必要です」「音楽療法を用いた依存症の治療を受けています」「依存症対策全国センターの場所を調べています」などがあります。

依存症の読み方は「いぞんしょう」の他に「いそんしょう」がありますが、一般的には「いぞんしょう」と読まれています。

依存症の「依存」は他のものに頼って生活または存在していることを表します。病気の性質や状態を表す「症」と組み合わさり、依存症とは、特定の何かに心を奪われ、やめたくてもやめられない状態を意味します。

依存症を用いた日本語には「インターネット依存症」があります。インターネット依存症とは、インターネットに熱中するあまり、インターネットを離れると孤独感や絶望感にさいなまれ、睡眠障害や生活リズムの崩れなどの症状に陥る状態です。「ネット依存症」とも言います。

依存症の対義語・反対語としては、他からの支配や助力を受けずに存在することを意味する「自立」などがあります。

依存症の類語・類義語としては、タバコなどを連用しやめると精神的身体的に異常が現れる状態を意味する「嗜癖」(読み方:しへき)、酒や女色などにふけり溺れることを意味する「耽溺」(読み方:たんでき)、何度も繰り返して起こったり行ったりする傾向を意味する「習慣性」などがあります。

中毒の例文

1.真面目な彼が急性アルコール中毒になるまで深酒するなんて、一体何があったのだろう。
2.英語の先生が食中毒になってしまって、楽しみにしていた授業が自習になってしまいました。
3.薬物中毒は急性と慢性の二種類があり、それぞれ症状や対処法は違います。
4.まさかエナジードリンクを飲み過ぎて、カフェイン中毒になるとは思いませんでした。
5.仕事中毒の彼と恋愛をしていた時は、自分が軽んじられていると感じて苦しかったです。

この言葉がよく使われる場面としては、生体が薬物・毒物・毒素により好ましくない反応を呈すること、周囲の状況などになれすぎて感覚などが麻痺(まひ)することを表現したい時などが挙げられます。

上記の例文にあるように、中毒の慣用的な言い回しには「中毒になる」「〇〇中毒」などがあります。「カフェイン中毒」とは、カフェインを常用することによって起こす中毒症状を意味し、動悸や震えなどの症状がみられます。

依存症の例文

1.依存症になりやすい人の特徴を調べてみると、自分によく当てはまることが分かりました。
2.恋愛依存症なのかと思うくらい、姉は仕事や自分の生活よりも恋人を優先してしまいます。
3.できれば依存症を自力で治したいのですが、専門家に治し方のアドバイスを求める方が確実なようです。
4.父にアルコール依存症のような症状が見受けられたので、病院で診断してもらうことにしました。
5.日本人がなりやすい依存症の種類を、ランキング形式で紹介します。

この言葉がよく使われる場面としては、それなしには平常の精神的・身体的状態を保てなくなる状態を表現したい時などが挙げられます。

例文2にある「恋愛依存症」とは、恋愛相手に過剰に執着し、生活の中心や価値観が相手との関係性になってしまう心理的状態のことです。

中毒と依存症という言葉は、どちらも「ある物質によって引き起こされる異常な反応や症状」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、原因物質を取り除けは治るものを表現したい時は「中毒」を、原因物質を取り除けは治らないものを表現したい時は「依存症」を使うようにしましょう。

言葉の使い方の例文
編集者
株式会社セラーバンク/例文買取センター運営
例文買取センター