似た意味を持つ「到来」(読み方:とうらい)と「襲来」(読み方:しゅうらい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「到来」と「襲来」という言葉は、どちらも「やって来ること」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
到来と襲来の違い
到来と襲来の意味の違い
到来と襲来の違いを分かりやすく言うと、到来とは単純にやって来ることを表し、襲来とは被害が出そうなものが勢いよくやって来ることを表すという違いです。
到来と襲来の使い方の違い
一つ目の到来を使った分かりやすい例としては、「冷え性なので春の到来が待ち遠しいです」「朝晩の冷え込みに冬の到来を感じます」「いよいよ本格的なDX時代の到来です」「ラーメン店の新時代が到来している」などがあります。
二つ目の襲来を使った分かりやすい例としては、「外敵の襲来に備えて要塞を築く」「襲来した台風は記録的な大雨をもたらした」「蒙古襲来は一度だけではありません」「今シーズン最強の寒波が襲来するかもしれません」などがあります。
到来と襲来の使い分け方
到来と襲来という言葉は、どちらも向こうからこちらにやって来ることを表しますが、意味や使い方には違いがあります。
到来とは、時機や機運の来ること、何かの時期が訪れることを意味します。「春の到来」のような使い方で特定の季節がやって来ることや、「DX時代の到来」のように物事が始まることを表す言葉です。到来は物事がやって来ることを単純に表現するもので、言葉自体に良い意味も悪い意味もありません。
襲来とは、激しくおそいかかって来ること、不意に攻め込んでくることを意味します。「蒙古襲来」「最強寒波の襲来」のように、勢いがあるものが急にやってくる時に使用される言葉です。また、被害をもたらす可能性がある好ましくない物事にも用いられています。
つまり、到来とは季節や機会がやってくることをフラットに表現し、襲来とは被害にあいそうなものが勢いよく急に来ることを表す言葉です。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使うようにしましょう。
到来と襲来の英語表記の違い
到来を英語にすると「arrival」「advent」「income」となり、例えば上記の「春の到来」を英語にすると「the incoming of spring」となります。
一方、襲来を英語にすると「infestation」「incursion」「invasion」となり、例えば上記の「外敵の襲来」を英語にすると「foreign invasion」となります。
到来の意味
到来とは
到来とは、時機や機運の来ることを意味しています。
その他にも、「他からの贈り物が届くこと、また、その物」の意味も持っています。
到来の使い方
「チャンスが到来したら逃してはいけません」「AI時代の到来が意味するものを考える」「総合的な偏差値よりも英語力が重視される時代が到来しつつあります」などの文中で使われている到来は、「時機や機運の来ること」の意味で使われています。
一方、「到来物の柚子を使ってゼリーを作りました」「到来品のお礼をメールで伝える」などの文中で使われている到来は、「他からの贈り物が届くこと、他から届いた贈り物」の意味で使われています。
到来とは、上記の例文のように複数の意味を持ち、それぞれの意味で使用されているため、文脈により意味を捉える必要があります。到来の「到」は訓読みで「いたる」と読み、目的の場所に着くことや行き届くこと、「来」はこちらに近づいてくることを表します。
表現方法は「時刻到来」
到来という言葉を用いた日本語には「時刻到来」(読み方:じこくとうらい)があります。時刻到来とは、都合のよい時機が来たことを意味し、何かをするのに都合のよい時機がやってくることを表す四字熟語です。
到来の類語
到来の類語・類義語としては、遠く外国から渡ってくることを意味する「渡来」、外国から伝わってくることを意味する「伝来」、外部から来ることを意味する「外来」、飛んで来ることを意味する「飛来」などがあります。
襲来の意味
襲来とは
襲来とは、激しい勢いでおそいかかってくることを意味しています。
その他にも、「古くから受け継ぐこと」の意味も持っています。
襲来の使い方
「立春寒波の襲来は空の便に大きな影響が出ています」「広い範囲に黄砂が襲来するでしょう」「モンゴル襲来の概要を説明してください」などの文中で使われている襲来は、「激しい勢いでおそいかかってくること」の意味で使われています。
一方、「先人が培ってきたものを襲来する」「日本独自の伝統や意匠を襲来していきたい」「襲来してきた美意識や暮らしの知恵を大事にしよう」などの文中で使われている襲来は、「古くから受け継ぐこと」の意味で使われています。
襲来とは、上記の例文にあるように二つの意味を持ちますが、一般的には「激しい勢いでおそいかかってくること」の意味で用いられています。襲来の「襲」は訓読みで「おそう」と読み、相手に向かって危害を加えようと突然向かっていくこと、あとを引きつぐことを表す漢字です。
表現方法は「蒙古襲来」
襲来を用いた日本語には「蒙古襲来」(読み方:もうこしゅうらい)があります。蒙古襲来の「蒙古」はモンゴルのことであり、蒙古襲来とは、鎌倉時代に2度にわたって行われたモンゴル軍の日本来襲を意味します。「モンゴル襲来」「元寇」「文永の役、弘安の役」とも呼ばれています。
襲来の対義語
襲来の対義語・反対語としては、敵の攻撃に対して戦うことを意味する「応戦」などがあります。
襲来の類語
襲来の類語・類義語としては、襲ってくることや攻めてくることを意味する「来襲」、襲いかかることや不意をついて攻めることを意味する「襲撃」、多くの者がむりやりどっと押し入ることを意味する「乱入」、殴り込むことを意味する「殴り込み」などがあります。
到来の例文
この言葉がよく使われる場面としては、機運などが向いてくること、時機が来ること、よそからの贈り物が届くことを表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文4にある到来は、「機運などが向いてくることや時機が来ること」、例文5の到来は「よそから贈り物が届くこと」の意味で用いられています。「シーズン到来」とは、季節や物事の時機がやって来ることを意味する言い回しです。
襲来の例文
この言葉がよく使われる場面としては、激しく襲いかかって来ること、昔から受けついで来ることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、襲来という言葉は、台風やハリケーンなどの勢いがあって被害が出るようなもの、来ても嬉しくないものに対して使用されることがほとんどです。
到来と襲来という言葉は、どちらも「やって来ること」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、勢いがあって被害が出るようなものが急に来ることを表現したい時は「襲来」を使うようにしましょう。