似た意味を持つ「奥ゆかしい」(読み方:おくゆかしい)と「ゆかしい」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「奥ゆかしい」と「ゆかしい」という言葉は、どちらもも深みや品があって心を惹かれることを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「奥ゆかしい」と「ゆかしい」の違い
「奥ゆかしい」と「ゆかしい」の意味の違い
「奥ゆかしい」と「ゆかしい」の違いを分かりやすく言うと、「奥ゆかしい」とは人にしか使えない、「ゆかしい」とは人以外にも使えるという違いです。
「奥ゆかしい」と「ゆかしい」の使い方の違い
一つ目の「奥ゆかしい」を使った分かりやすい例としては、「穏やかで奥ゆかしい女性がタイプです」「彼女の行動には奥ゆかしさがありません」「奥ゆかしい女性を目指して茶道教室に通うことにしました」などがあります。
二つ目の「ゆかしい」を使った分かりやすい例としては、「ゆかしい女性はそんなことしません」「この街のゆかしい風情が好きです」「彼女は古式ゆかしい装束を身にまとっていた」「彼女の言動にはゆかしさがありません」などがあります。
「奥ゆかしい」と「ゆかしい」の使い分け方
「奥ゆかしい」と「ゆかしい」はどちらも深みや品があって心を惹かれること意味する言葉ですが、使い方に少し違いがあるので注意が必要です。
「奥ゆかしい」は上記の「穏やかで奥ゆかしい女性がタイプです」「彼女の行動には奥ゆかしさがありません」などのように、人に対してのみ使うができます。
一方、「ゆかしい」は上記の「ゆかしい女性はそんなことしません」のように人にも使えますが、「この街のゆかしい風情が好きです」のように人以外にも使えるというのが違いになります。
「奥ゆかしい」と「ゆかしい」の英語表記の違い
「奥ゆかしい」も「ゆかしい」も英語にすると「grace」「modest」「decent」となり、例えば上記の「彼女の言動にはゆかしさがありません」を英語にすると「Her speech and behavior lack modesty」となります。
「奥ゆかしい」の意味
「奥ゆかしい」とは
「奥ゆかしい」とは、深みと品位があって心が惹かれることを意味しています。その他にも、さらによく知りたいことの意味も持っています。
「奥ゆかしい」の漢字表記
「奥ゆかしい」を漢字にすると、「奥床しい」と表記することができますがあまり一般的ではありません。余程の理由がない限り、ひらがなの「奥ゆかしい」を使うようにしましょう。
表現方法は「奥ゆかしい人」「奥ゆかしい女性」
「奥ゆかしい人」「奥ゆかしい女性」などが、「奥ゆかしい」を使った一般的な言い回しになります。
「奥ゆかしい」の使い方
「彼女はとても奥ゆかしい人柄です」「私は控え目で奥ゆかしい女性が好みです」などの文中で使われている「奥ゆかしい」は、「深みと品位があって心が惹かれること」の意味で使われています。
一方、「彼女に対して奥ゆかしさを感じる」「あのグループの中に奥ゆかしい人がいます」などの文中で使われている「奥ゆかしい」は、「さらによく知りたいこと」の意味で使われています。
「奥ゆかしい」の語源
「奥ゆかしい」の語源は古語の「奥ゆかし」です。奥は奥底深くのことを意味しており、「ゆかし」は行きたいという意味を持つ言葉でした。この二つが合わさり、その奥へ行きたいとなり、これがさらに転じて、さらによく知りたいやその人に惹かれるという意味で使われるようになったのです。
「奥ゆかしい」は深みと品位があって心が惹かれることと、さらによく知りたいことの二つの意味を持つ言葉ですが、現代では深みと品位があって心が惹かれることの意味で使うのが一般的です。さらによく知りたいことは古文などでよく使われている意味になります。
「奥ゆかしい」は性別を限定する意味はありませんが、基本的には女性に対して使用するのが特徴と覚えておきましょう。また、女性を褒める際に使う言葉なので、プラスのイメージを持っています。
「奥ゆかしい」の類語
「奥ゆかしい」の類語・類義語としては、精神的に豊かで気高く人に感銘を与えることを意味する「麗しい」、控えめで淑やかであることを意味する「慎ましい」、淑やかで気品があることを意味する「優雅」などがあります。
「ゆかしい」の意味
「ゆかしい」とは
「ゆかしい」とは、気品や情趣などがありどことなく心が惹かれることを意味しています。その他にも、懐かしく感じられることや好奇心がそそられることの意味も持っています。
「ゆかしい」の漢字表記
「ゆかしい」を漢字にすると「床しい」や「懐しい」と表記することができますが、あまり一般的ではありません。余程の理由がない限り、ひらがなの「ゆかしい」を使うようにしましょう。
表現方法は「古式ゆかしい」「心ゆかしい」「ゆかしい人」
「古式ゆかしい」「心ゆかしい」「ゆかしい人」などが、「ゆかしい」を使った一般的な言い回しになります。
「ゆかしい」の使い方
「彼女は穏やかでゆかしい人柄をしています」「古都のゆかしい風情に感動しました」などの文中で使われている「ゆかしい」は、「気品や情趣などがありどことなく心が惹かれること」の意味で使われています。
一方、「古式ゆかしい祭礼を行ないました」「五人の中にゆかしい人物がいました」などの文中で使われている「ゆかしい」は、「懐かしく感じられることや好奇心がそそられること」の意味で使われています。
「ゆかしい」は複数の意味を持つ言葉ですが、現代で使われているのは気品や情趣などがありどことなく心が惹かれることと、懐かしく感じられることの意味になります。好奇心がそそられることの意味は主に古文で使われていた言葉と覚えておきましょう。
「ゆかしい」は上記の「彼女は穏やかでゆかしい人柄をしています」のように人だけではなく、「古都のゆかしい風情に感動しました」「古式ゆかしい祭礼を行ないました」などのように、人以外に対して使うことができるというのが特徴です。
そのため、幅広い範囲で使える言葉と覚えておきましょう。
「ゆかしい」の類語
「ゆかしい」の類語・類義語としては、遠慮がちで控えめであることを意味する「慎み深い」、しなやかなことを意味する「たわやか」、淑やかで美しいことを意味する「婉麗」(読み方:えんれい)などがあります。
「奥ゆかしい」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、深みと品位があって心が惹かれることを表現したい時などが挙げられます。その他にも、さらによく知りたいことを表現したい時にも使います。
例文1から例文4の「奥ゆかしい」は深みと品位があって心が惹かれること、例文5の「奥ゆかしい」はさらによく知りたいことの意味で使っています。
「ゆかしい」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、気品や情趣などがありどことなく心が惹かれることを表現したい時などが挙げられます。その他にも、懐かしく感じられることや好奇心がそそられることを表現したい時にも使います。
例文1と例文2の「ゆかしい」は気品や情趣などがありどことなく心が惹かれること、例文3と例文4の「ゆかしい」は懐かしく感じられること、例文5の「ゆかしい」は好奇心がそそられることの意味で使っています。
「奥ゆかしい」と「ゆかしい」はどちらも深みや品があって心を惹かれることを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、人にしか使えないのが「奥ゆかしい」、人以外にも使えるのが「ゆかしい」と覚えておきましょう。