【診断】と【診察】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「診断」(読み方:しんだん)と「診察」(読み方:しんさつ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「診断」と「診察」という言葉は、どちらも「医療行為」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




診断と診察の違い

診断と診察の違いを分かりやすく言うと、診断とは診察や検査を通して疾患名を決定すること、診察とは診断するための手段という違いです。

一つ目の診断を使った分かりやすい例としては、「健康診断を毎年必ず受けています」「会社に提出する診断書を書いてもらう」「高校生向け性格診断をやってみる」「よく当たる無料の恋愛診断を教えてもらいました」などがあります。

二つ目の診察を使った分かりやすい例としては、「診察券を忘れてしまいました」「診察までの待ち時間が長い」「診察室に入る前にコートを脱ぐ」「診察から薬の受け取りまでスムーズでした」などがあります。

診断と診察という言葉は、どちらも医療の現場で用いられていますが、意味や使い方には違いがあります。

診断とは、医師が患者に対して聴診や触診などの診察をしたり、必要に応じて検査などをして、疾患名を決定することを意味します。病気を特定する最終的な判断であり、それによって治療を施します。また、「性格診断」のような使い方で、物事の状態を判断することを意味する言葉です。

診察とは、医師が患者の話を聞いたり(問診)、観察したり(視診)、音を聴いたり(聴診)、患部を触って確認したり(触診)することを意味します。診察は、診断するための手段の一つであり、診察を経て診断に至ります。

つまり、診断とは診察や検査を通して疾患名を決定することであり、診察とは診断するための手段の一つです。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使うようにしましょう。

診断を英語にすると「diagnostics」「medical examination」となり、例えば上記の「健康診断」を英語にすると「a medical examination」となります。

一方、診察を英語にすると「consultation」「medical examination」となり、例えば上記の「診察券」を英語にすると「a consultation ticket」となります。

診断の意味

診断とは、医者が患者を診察して、健康状態、病気の種類や病状などを判断することを意味しています。

その他にも、「物事の実情を調べて、その適正や欠陥の有無などを判断すること」の意味も持っています。

「病気の可能性をAIに診断してもらう」「診断名を告げられなかった」「診断書の料金の相場をネットで調べる」などの文中で使われている診断は、「医者が患者を診察して、病気の種類や病状などを判断すること」の意味で使われています。

一方、「就活に役立つ適性診断テストを紹介します」「いま流行りのmbti診断を試してみる」「あなたの英語力を診断します」などの文中で使われている診断は、「物事の実情を調べて、その適正や欠陥の有無などを判断すること」の意味で使われています。

診断とは、上記の例文にあるように二つの意味を持ち、それぞれの意味で用いられているため、文脈により意味を捉える必要があります。診断の「診」は病状をよく調べて判断すること、「断」は物事をきっぱりと決めることを表す漢字です。

診断を用いた日本語には「健康診断」があります。健康診断とは、特に病気や異常があるとは思っていない者に対し、健康状態や気付いていない疾病の有無を調べるために行う診察や検査のことです。病気の早期発見や、健康の保持増進を図る目的で行います。

診断の類語・類義語としては、病気を診断した結果を意味する「見立て」、見た結果の判断や意見を意味する「所見」、一つの事実を断定することを意味する「判断」、事物を判別して決定することを意味する「判定」などがあります。

診察の意味

診察とは、病気の有無や病状などを判断するために、医師が患者のからだを調べたり質問したりすることを意味しています。

診察を使った分かりやすい例としては、「医師の診察を受ける」「診察券を忘れたので家に戻りました」「診察室に入る際にノックは何回しますか」「使いやすそうな診察券ケースをネットで注文しました」などがあります。

その他にも、「皮膚の疾患を診察する」「診察は時間を区切って行います」「患者が診察台から転がり落ちた」「問診をしてから診察に入る」「オンラインで診察を受ける」「当院では婦人科の診察を行っておりません」などがあります。

診察の読み方は「しんさつ」です。同じ読み方をする熟語に「新札」がありますが、意味が異なるので書き間違いに注意しましょう。

診察の「診」は訓読みで「みる」と読み、病状などをよく注意して調べることを表します。調べて明らかにすることを表す「察」と結び付き、診察とは、患者の病状などを調べることを意味し、医師が患者に接触する行為を指す言葉です。

診察を用いた日本語には「診察料」があります。診察料とは、診察を受けた患者が医師や病院に支払う料金のことです。初めての受診にかかる「初診料」と、2回目以降の受診にかかる「再診料」があり、問診や検査、処置やカルテ作成などの費用を含みます。

診察の対義語・反対語としては、医師の診察を受けることを意味する「受診」などがあります。

診察の類語・類義語としては、病気にかかっているかどうかを調べるために診察や検査などを行うことを意味する「検診」、医者が患者の家へ行って診察することを意味する「往診」、医師が患者を診察し治療することを意味する「診療」などがあります。

診断の例文

1.健康診断で異常がなくても、すべてにおいて安心とはいえません。
2.近所の動物病院で、愛犬が椎間板ヘルニアであると診断されました。
3.一人で暇を持て余しているなら、無料の面白い診断テストがおすすめです。
4.クラスメイトと、性格や恋愛の傾向がわかる診断テストをして盛り上がりました。
5.気軽にやったサイコパス診断で、私のヤバイ一面がわかりました。

この言葉がよく使われる場面としては、医者が患者を診察して病状を判断すること、また、事物の欠陥を調べて状態を判断することを表現したい時などが挙げられます。

例文5にある「サイコパス診断」とは、良心の欠如や自己中心的行動といったサイコパス的な特性を測定する心理テストのことです。

診察の例文

1.病院に行く前に、診察券とマイナ保険証とお金を持ったか確認してください。
2.あなたは生活習慣病の可能性がありますので、医師の診察を受けるようにしてください。
3.フランスでの旅行先で体調を崩してしまい、英語対応可能な医師を探して診察してもらいました。
4.いつもお世話になっているかかりつけ医の診察で、がん検診を勧められました。
5.家庭血圧の基準は、診察室血圧より5mmHgほど低く設定されています。

この言葉がよく使われる場面としては、医師が患者の病状などを調べて判断することを表現したい時などが挙げられます。

例文5にある「診察室血圧」とは、クリニックや病院の診察室で測定した血圧の俗称です。緊張やストレスによって家庭で測定する血圧よりも高くなる傾向があります。

診断と診察という言葉は、どちらも「医療行為」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、医者が患者を診察して病状などを判断することを表現したい時は「診断」を、医師が患者の病状などを調べることを表現したい時は「診察」を使うようにしましょう。

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