似た意味を持つ「生来」(読み方:せいらい)と「元来」(読み方:がんらい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「生来」と「元来」という言葉は、どちらも最初から持っている性質を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
生来と元来の違い
生来と元来の意味の違い
生来と元来の違いを分かりやすく言うと、生来とは生まれつきの性質や能力を表し、元来とは以前からの性質や状態を表すという違いです。
生来と元来の使い方の違い
一つ目の生来を使った分かりやすい例としては、「彼は生来の正直者です」「生来気が強い娘でした」「彼女には生来絵の才能があります」「社会的身分とは生来的な地位のことです」「息子には生来性の障害があります」などがあります。
二つ目の元来を使った分かりやすい例としては、「お茶は元来中国に由来するものだ」「元来より虚弱体質で病気がちです」「元来このスタイルで貫いている」「元来何を目的とした集まりなのですか」などがあります。
生来と元来の使い分け方
生来と元来という言葉は、どちらも最初から持っている性質を意味し、似たような表現をする言葉ですが意味や使い方には違いがあります。
生来とは、生まれながら持っている性質や能力を意味し、上記の例文の「生来の正直者です」は生まれつき正直者であることを表します。人や生き物に対して使われる言葉です。
一方、元来とは、最初からそういう性質や状態であることを意味し、「元来より虚弱体質」は以前から虚弱体質であることを表します。人や生き物に対して使われる一方、「お茶は元来中国に由来する」など物事に対して使われることもある言葉です。
つまり、生来は生まれつきに重きを置いた表現であり、元来は以前からの状態に重きを置いた表現なのです。
生来と元来の英語表記の違い
生来を英語にすると「native」「nature」「inborn」となり、例えば上記の「生来の正直者です」を英語にすると「be honest by nature」となります。
一方、元来を英語にすると「basically」「primarily」「originally」となり、例えば上記の「元来~に由来する」を英語にすると「originally come from」となります。
生来の意味
生来とは
生来とは、生まれたときからの性質や能力を意味しています。
その他にも、生まれてから今までの意味も持っています。
生来の読み方
生来は「せいらい」と「しょうらい」の二通りの読み方がありますが、一般的には「せいらい」と読まれています。
表現方法は「生来の性格」「生来の気質」「生来健康」
「生来の性格」「生来の気質」「生来健康」などが、生来を使った一般的な言い回しです。
生来の使い方
「生来の性格の良さが人を魅了する」「私は生来せっかちな男なんです」「彼女は生来性犯罪人説を信じている」「祖父は生来目が見えぬと言っていた」などの文中で使われている生来は、「生まれたときからの性質や能力」の意味で使われています。
一方、「生来健康なのですが酷い花粉症です」「生来的に嘘をついたことはありません」「学習障害が生来性にみられました」「アメリカを中心に生来の決意作戦が決行された」などの文中で使われている生来は、「生まれてから今まで」の意味で使われています。
生来という言葉の「生」は子がうまれることや生きることを意味し、「来」は過去のある時点から今までを意味します。生来とは、生まれたときからある性格や能力などを持ち続けていることや、生まれて以来を意味する言葉です。性格を強調するときは「性来」とも書きます。
「生来性犯罪人説」の意味
生来という言葉を用いた日本語には「生来性犯罪人説」があります。犯罪人類学の祖と言われるロンブローゾが唱えたもので、犯罪人の中には一定の身体的・精神的特徴を具備した者がおり、このような者は必然的に犯罪に陥るとしたものです。この説は後に修正されることになりました。
生来の対義語
生来の対義語・反対語としては、生まれてからのちに身にそなわるさまを意味する「後天的」、経験に基づくことを意味する「アポステリオリ」などがあります。
生来の類語
生来の類語・類義語としては、生まれながらにして備わっている能力や容姿などを意味する「生まれつき」、生まれた時からそうであるさまを意味する「生まれながら」、生まれつきであるさまを意味する「先天的」、生まれながらそのような性質を持っていることを意味する「生得」などがあります。
元来の意味
元来とは
元来とは、最初からそういう状態・性質であることを意味しています。
その他にも、文頭に付けて、物事を説き起こしたり、疑問を呈したりする意味も持っています。
元来の読み方
元来の読み方は「がんらい」です。誤って「げんらい」と読まれることがあるので、注意しましょう。
表現方法は「元来無口」「元来丈夫」「元来の性格」
「元来無口」「元来丈夫」「元来の性格」などが、元来を使った一般的な言い回しです。
元来の使い方
「元来より手洗いや消毒を徹底してます」「元来より異文化を受け付けない地域です」「元来の性格はなかなか変えらないよ」「彼は元来無口な人です」などの文中で使われている元来は、「最初からそういう状態・性質であること」の意味で使われています。
一方、「元来男女に能力差はあるのだろうか」「元来何が正解なのか分からない」「元来幸せって何なのだろう」などの文中で使われている元来は、「物事を説き起こしたり、疑問を呈したりすること」の意味で使われています。
元来という言葉は、以前から変わりなく、その状態であるさまを意味する言葉です。また、接続詞的に用いて、物事を説き起こしたり、疑問を呈したりするときに文頭に付ける語句としての役割もあります。
元来の対義語
元来の対義語・反対語としては、後天的に習慣が性質となったものを意味する「習性」、ふだん習慣的にしていることを意味する「常習」などがあります。
元来の類語
元来の類語・類義語としては、はじめからや元からを意味する「もともと」、もともとそうであることや道理であることを意味する「本来」、最初や発端を意味する「そもそも」、はじめからや根本からを意味する「土台」、もとはと言えばを意味する「大体」などがあります。
生来の例文
この言葉がよく使われる場面としては、持って生まれた性分や能力、生まれて以来を表現したい時などが挙げられます。
例文1にから例文3にある生来は、持って生まれた性分や能力の意味で使われています。例文4や例文5の生来は、生まれて以来これまでの意味で使われています。
元来の例文
この言葉がよく使われる場面としては、以前からそういう状態・性質であること、物事を説き起こしたり疑問を呈したりするときに文頭に付ける語を表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文3で使われている元来は以前からそういう性質であることを意味します。例文4や例文5の元来は、接続詞的に用いられており、物事を説き起こしたり疑問を呈することを表しています。
生来と元来という言葉は、どちらも最初から持っている性質を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、生まれながら備わっている性質を表現したい時は「生来」を、以前からそういう性質であることを表現したい時は「元来」を使うようにしましょう。