【合併】と【買収】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「合併」(読み方:がっぺい)と「買収」(読み方:ばいしゅう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「合併」と「買収」という言葉は、どちらも「M&Aの手法」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




合併と買収の違い

合併と買収の意味の違い

合併と買収の違いを分かりやすく言うと、合併とは複数の会社が一つの会社になること、買収とは一つの会社が他の会社の経営権を取得することという違いです。

合併と買収の使い方の違い

一つ目の合併を使った分かりやすい例としては、「マスコミに向けて二社の合併を発表する」「2025年に合併した企業を一覧表にしました」「合併特例債を発行します」「市町村合併で住所が変わりました」などがあります。

二つ目の買収を使った分かりやすい例としては、「買収提案を受けて取締役会に付議された」「買収された会社はどうなるのか」「企業買収によって株価は大きく変動します」「候補者の関係者が買収罪の選挙違反で捕まった」などがあります。

合併と買収の使い分け方

合併と買収という言葉は、どちらもビジネスにおけるM&Aの手法の一つですが、意味や使い方には違いがあります。

合併とは、二つ以上のものが一つに合わさることを意味します。ビジネスシーンにおける合併とは、二社以上の会社が契約によって一つの会社になることを表します。一つの会社が存続し他の会社を吸収する「吸収合併」と、当事会社の全部が解散し新たな会社を設立する「新設合併」とがあります。

買収とは、買い取ることを意味します。ビジネスにおける買収とは、一つの会社が他の会社の経営権や事業を取得することであり、一般的には、買収された会社は法人格を維持して子会社化されることがほとんどです。

つまり、合併とは複数の会社が一つの会社になることであり、一つの会社が他の会社の経営権を取得することです。これら合併と買収をあわせて「M&A」と言い、組織再編全般を意味します。

合併と買収の英語表記の違い

合併を英語にすると「affiliation」「merger」「union」となり、例えば上記の「合併を発表する」を英語にすると「announce a merger」となります。

一方、買収を英語にすると「takeover」「acquisition」「buy」となり、例えば上記の「買収提案」を英語にすると「a takeover offer」となります。

合併の意味

合併とは

合併とは、二つ以上のもの、特に組織などが一つに合わさることを意味しています。

合併の使い方

合併を使った分かりやすい例としては、「被合併法人の繰越欠損金を引き継ぐ」「吸収合併による所有権移転登記を行う」「吸収合併の法務局での登記手続きについて教えてもらう」「地銀の合併や統合への交付金が増額されます」などがあります。

その他にも、「手術後に術後合併症が発生した」「英語の先生は糖尿病の合併症に苦しんでいる」「インフルエンザの合併症の一つに肺炎があります」「合併浄化槽の設置費用と耐用年数を確認する」「合併浄化槽の仕組みを教えてください」などがあります。

合併の読み方

合併の読み方は「がっぺい」です。誤って「ごうへい」「かっぺい」などと読まないようにしましょう。

合併の「合」は訓読みで「あう」と読み、二つ以上のものが一緒になることを表し、「併」は訓読みで「あわせる」と読み、二つ以上のものをまとめることを表します。合併とは、二つ以上の物や事柄が一つに合わさることを意味します。

表現方法は「吸収合併」

合併を用いた日本語には「吸収合併」があります。吸収合併とは、会社の合併方法の一つであり、一会社だけが存続し、他の会社は存続会社に吸収されて消滅する合併方式を言います。吸収合併では、合併する方の会社を「存続会社」、合併される方の会社を「解散会社」と呼びます。

合併の対義語

合併の対義語・反対語としては、分かれて離れることを意味する「分離」、一つのまとまりがいくつかのものに分かれることを意味する「分裂」などがあります。

合併の類語

合併の類語・類義語としては、二つ以上のものがまとまって一つになることを意味する「合体」、独立している二つ以上のものが一つになることを意味する「合同」、いくつかのものを合わせて一つにすることを意味する「併合」などがあります。

買収の意味

買収とは

買収とは、買い取ること、買いおさえることを意味しています。

その他にも、「ひそかに利益を与えて、自分の有利になるように人を動かすこと」の意味も持っています。

買収の使い方

「M&Aの買収防衛策を検討する」「買収されるとどうなるのだろう」「買収されたら株はどうなるのか気になる」「企業買収における行動指針を策定する」などの文中で使われている買収は、「買い取ること、買いおさえること」の意味で使われています。

一方、「私の味方に付くように弟をトレカで買収した」「候補者に対する買収や利益誘導は不正行為です」などの文中で使われている買収は、「ひそかに利益を与えて、自分の有利になるように人を動かすこと」の意味で使われています。

買収の読み方

買収の読み方は「ばいしゅう」です。誤って「かいしゅう」「ばいしゅ」などと読まないようにしましょう。

買収とは、上記の例文にあるように二つの意味を持ち、それぞれの意味で用いられているため、文脈により意味を捉える必要があります。買収の「買」は代価を払って品物を求めること、「収」は取り入れることや取りまとめることを表す漢字です。

表現方法は「買収防衛策」

買収を用いた日本語には「買収防衛策」があります。買収防衛策とは、企業が敵対的買収を防ぐために導入する各種の対策を指す言葉です。黄金株の発行、最も魅力のある事業部門や子会社の売却、自社に友好的な関係をもつ他の会社に買収してもらうことを依頼するなどがあります。

買収の対義語

買収の対義語・反対語としては、売りはらうことを意味する「売却」などがあります。

買収の類語

買収の類語・類義語としては、買うことや買い入れることを意味する「購買」、物を買い入れることを意味する「購入」、代金を払って自分のものにすることを意味する「買い取る」、不当に値引きさせて買うことを意味する「買い叩く」などがあります。

合併の例文

1.会社を吸収合併される側にも、デメリットだけでなくメリットもあります。
2.合併比率を算定するには、まず合併する各企業の価値を正しく評価しなければなりません
3.全国的な市町村合併は、平成の時代に国が主導して大規模に進められました。
4.各家庭に設置できる合併処理浄化槽は、公共水域の水質汚濁を防ぎます。
5.糖尿病で恐いのは合併症と言われていますが、しっかり管理していれば心配ありません。

この言葉がよく使われる場面としては、複数の物や事柄が一つに合わさることを表現したい時などが挙げられます。

例文4にある「合併処理浄化槽」とは、家庭から出る生活排水のすべてを浄化できる装置です。下水道が整備されていない地域で、水洗トイレを設置する際に義務付けられています。

買収の例文

1.敵対買収を仕掛けられた会社の多くは、友好的な買収者を見つけるなどの防衛策を画策します。
2.マーケティング会社が、2025年の日本における企業買収市場について公表しました。
3.買収されるとどうなるかは、従業員や取引先にとって大きな問題です。
4.バーガーキングが買収されるというニュースを聞いて、今後どうなるのか気になっています。
5.英語のテストが赤点だったことを親に告げ口しないように、妹をお菓子で買収しました。

この言葉がよく使われる場面としては、買い取ること、買い占めること、ひそかに金品などを与えて味方に引き入れることを表現したい時などが挙げられます。

例文1にある「敵対的買収」とは、買収する側が対象会社の取締役会の同意を得ずに買収を仕掛けることを意味します。一般的には、株式公開買い付け(TOB)により実施されます。「敵対的TOB」「敵対的M&A」「敵対的企業買収」とも言います。

合併と買収という言葉は、どちらも「M&Aの手法」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、複数の会社が一つの会社になることを表現したい時は「合併」を、一つの会社が他方の会社の経営権を取得することを表現したい時は「買収」を使うようにしましょう。

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