似た意味を持つ「民主主義」(読み方:みんしゅしゅぎ)と「資本主義」(読み方:しほんしゅぎ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「民主主義」と「資本主義」という言葉は、どちらも「国家の仕組み」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
民主主義と資本主義の違い
民主主義と資本主義の意味の違い
民主主義と資本主義の違いを分かりやすく言うと、民主主義とは政治の仕組みを表し、資本主義とは経済の仕組みを表すという違いです。
民主主義と資本主義の使い方の違い
一つ目の民主主義を使った分かりやすい例としては、「日本で初めて民主主義を唱えた人物は誰でしょう」「民主主義の定義をわかりやすく解説します」「民主主義の歴史について振り返ってみましょう」「民主主義を破壊するテロ行為に抗議する」などがあります。
二つ目の資本主義を使った分かりやすい例としては、「あなたが考える資本主義経済の問題点は何ですか」「資本主義のメリットとデメリットについて話し合う」「資本主義に反対する国もあります」「人々は資本主義の限界に気付き始めている」などがあります。
民主主義と資本主義の使い分け方
民主主義と資本主義という言葉は、どちらも国の仕組みや体制を表しますが、意味や使い方には違いがあります。
民主主義とは、政治形態の一つであり、市民が権力を持ち行使する政治の仕組みを意味します。民主主義をわかりやすく言うと、「物事をみんなで決めていく」という考え方であり、多数決の原理が働いています。比較される政治の仕組みには「君主制」や「独裁政治」があります。
資本主義とは、経済体制の一つであり、人々や企業が自由に経済活動を行う仕組みを意味します。資本主義は「個人が自由に商売ができる」という仕組みであり、資本家が労働者の労働力によって商品やサービスを生み出し利潤を得ます。比較される経済の仕組みには「社会主義」「共産主義」があります。
つまり、民主主義とは政治を表し、資本主義とは経済を表す言葉です。日本は民主主義国家であり、資本主義国家でもありますが、指し示す分野や内容が異なることに注意しましょう。
民主主義と資本主義の英語表記の違い
民主主義を英語にすると「democracy」となり、例えば上記の「民主主義を唱える」を英語にすると「advocate democracy」となります。
一方、資本主義を英語にすると「capitalism」となり、例えば上記の「資本主義経済」を英語にすると「capitalist economy」となります。
民主主義の意味
民主主義とは
民主主義とは、人民が権力を所有し行使する政治形態、人間の自由と平等を尊重する立場を意味しています。
表現方法は「民主主義を守る」「民主主義の危機」「民主主義国家」
「民主主義を守る」「民主主義の危機」「民主主義国家」などが、民主主義を使った一般的な言い回しです。
民主主義の使い方
民主主義を使った分かりやすい例としては、「あなたは民主主義国家をいくつ言えますか」「地方自治は民主主義の学校であると言われています」「台湾はアジアで民主主義指数の首位となった」などがあります。
その他にも、「次回の民主主義サミットの開催国は日本です」「民主主義サミット参加国一覧を確認する」「英語教育の現場で民主主義的なクラス運営を目指す」「民主主義の問題点を思いつく限り挙げてください」などがあります。
民主主義とは、古代ギリシャに始まり、18世紀の市民革命を経て成立した政治形態です。近代民主主義においては、「国民主権」「基本的人権」「法の支配」「権力の分立」などが重要とされています。現代では、政治形態だけでなく、人間の自由と平等を尊重する立場を指す言葉にもなっています。
「民主主義サミット」の意味
上記の例文にある「民主主義サミット」とは、2021年にアメリカ合衆国大統領バイデン氏が主催したWeb会議形式の仮想サミットです。中国やロシアなど覇権主義的な国々に対抗し、民主主義各国の結束を図る狙いあります。2023年の民主主義サミットは、120ヶ国・地域の首脳が招待されました。
「民主主義指数」の意味
民主主義を用いた日本語には、「民主主義指数」があります。民主主義指数とは、イギリスの経済週刊誌「エコノミスト」傘下の調査機関EIUが発表する各国の民主主義の水準を測る指数です。「選挙手続と多元主義」「政府の機能」「政治への参加」「政治文化」「市民の自由」から評価します。
民主主義の対義語
民主主義の対義語・反対語としては、君主によって統治される政治形態を意味する「君主制」、少数者が国家権力を独占し恣意的に行う政治を意味する「独裁政治」などがあります。
民主主義の類語
民主主義の類語・類義語としては、差別をなくし万人平等の社会の実現を目ざす主義を意味する「平民主義」、民衆の意思に従って政治が行われる政治体制を意味する「民主制」、民主主義や民主政体を意味する「デモクラシー」などがあります。
資本主義の意味
資本主義とは
資本主義とは、資本家が労働者から労働力を買い、商品を生産して利潤を得る経済構造を意味しています。
表現方法は「資本主義による格差」「資本主義社会」「資本主義国家」
「資本主義による格差」「資本主義社会」「資本主義国家」などが、資本主義を使った一般的な言い回しです。
資本主義の使い方
資本主義を使った分かりやすい例としては、「資本主義では利潤を追求します」「社会主義と資本主義の違いを簡単に説明します」「中学生であれば資本主義について理解しているだろう」「日本は新しい資本主義を模索しています」などがあります。
その他にも、「資本主義社会は多くの矛盾を抱えています」「資本主義の問題点には何がありますか」「資本主義の展望について英語でスピーチする」「資本主義経済では労働力も商品と考えます」などがあります。
資本主義とは、封建制度に次いで現れ産業革命によって確立された経済体制です。生産手段をもつ資本家が、生産手段をもたない労働者の労働力を買い入れて、商品生産やサービスの提供を行ってて利潤を追求する経済の仕組みを意味します。「資本」とは、商売や事業をするのに必要な基金のことです。
「資本主義社会」の意味
資本主義を用いた日本語には「資本主義社会」があります。資本主義社会とは、資本の蓄積のために生産が行われている社会であり、資本家階級と労働者階級という二大階級の対立のなかで、前者が支配している社会を指す言葉です。
資本主義の対義語
資本主義の対義語・反対語としては、中央政府に管理運営される経済体制を意味する「計画経済」、すべての財産を共有する思想を意味する「共産主義」、生産手段の社会的共有によって平等な社会を実現しようとする思想を意味する「社会主義」などがあります。
資本主義の類語
資本主義の類語・類義語としては、個々の経済主体が自由に活動する経済制度を意味する「市場経済」、個人の自由な活動を重んずる思想的立場を意味する「自由主義」、営利目的の個人的所有者たちによって制御されている経済的政治的システムを意味する「キャピタリズム」などがあります。
民主主義の例文
この言葉がよく使われる場面としては、人民が権力や権威を所有し、それを自ら行使する政治的な形態を表現したい時などが挙げられます。
例文1に関して、民主主義のメリットは政治に民意を反映させることが可能であること、デメリットは少数の意見が通らないことや、政治や施行に時間がかかること等が挙げられます。
資本主義の例文
この言葉がよく使われる場面としては、生産のための組織が資本によってつくられている経済体制を表現したい時などが挙げられます。
例文4について、資本主義のメリットは、自由な商売ができて競争によって経済が発展することなどが挙げられます。デメリットとしては、競争社会によって貧富の差が拡大することなどです。
民主主義と資本主義という言葉は、どちらも「国家の仕組み」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、市民が権力を持ち行使する政治の仕組みを表現したい時は「民主主義」を、市民が自由に経済活動を営む経済の仕組みを表現したい時は「資本主義」を使うようにしましょう。