【乾かす】と【干す】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「乾かす」(読み方:かわかす)と「干す」(読み方:ほす)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「乾かす」と「干す」という言葉は、どちらも水分を取り除くという意味を持つ共通点があり、本来の意味は違いますが混同して使われる傾向があります。




乾かすと干すの違い

乾かすと干すの意味の違い

乾かすと干すの違いを分かりやすく言うと、水分を取り除くことに重点を置いているか、風通しの良い場所に出すことに重点を置いているかの違いです。

乾かすと干すの使い分け方

乾かすと書いた場合、方法はどんなやり方でも問題なく、ただ水分を取り除くことを目的としています。日光にあてたり、風や火などにあててみたりする他にも、ドライヤーやストーブなど人工的な方法を使っても乾かすと書きます。

一方で、干すという言葉は、水分を取り除くことよりも風通しの良い場所に置いたり、日光や火などにあてることに重点を置いています。わかりやすい例で考えると、濡れていないものに対しても、この「干す」という言葉は使えます。

例えば、衣類や本などを日光にさらして、カビや虫の害などを防ぐことを「虫干し」と言います。このように、干すというのは、水分を取り除くことよりも日光などにあてることに重点を置いている言葉だと言えます。

干すという言葉は、「乾す」という漢字でも書くことができます。しかし、この乾すという書き方は辞書には載っていますが、一般的ではないと記述されているので、漢字の表記で迷った際には「干す」という字を使うようにしましょう。

また、「乾かす」という言葉は、水分や湿気を取り去ることを意味しているので「乾かした」という表現を使った際には、水分は既に取り除かれているという意味になります。

対する「干す」という言葉は、日光などにあてることを意味しているので「干した」という表現で使った際、干したものの水分状態については不明です。

濡れたものは、干してもすぐには乾きませんし、そもそも干したものが濡れているものではない可能性もあります。

「洗濯物を乾かす」と「洗濯物を干す」の違い

わかりやすい例を挙げて考えます。「洗濯物を乾かした」と書いた場合、その洗濯物は既に乾いている状態です。「洗濯物を干した」と書いた場合、その洗濯物は、日の当たる場所に出されただけで、まだ濡れている可能性があります。

「干す」という言葉は、基本的に自然の中に放っておくことを意味しています。そこから転じて、干すという言葉には「役割を下ろされる」という意味も含まれます。これは役割を与えられずに、そのまま放っておかれるという意味で使われる言葉です。

乾かすと干すの英語表記の違い

乾かすも干すも英語にするとどちらも「dry」となり、例えば「洗濯物を乾かす」を英語にすると「Dry the laundry」となります。

乾かすの意味

乾かすとは

乾かすとは、水分や湿気を取り除くことを意味しています。日光や風、火などの自然物に限らず、ドライヤーやストーブなどの人工的なもので水分を飛ばすことも乾かすと言います。

表現方法は「髪の毛を乾かす」「マニキュアを乾かす」「靴を乾かす」

「髪の毛を乾かす」「マニキュアを乾かす」「靴を乾かす」などが、乾かすを使った一般的な言い回しです。

乾かすの使い方

乾かすを使った分かりやすい例としては、「子供が髪の毛を乾かす練習をしている」「靴が雨で濡れたらすぐに乾かした方が良い」「マニキュアを乾かさないと寝れない」「ペンキを乾かしている途中だったようだ」などがあります。

乾かすという言葉の一番の目的は「水分や湿気を取り除く」ことにあります。どうやって乾かすのか、その過程は重要ではありません。そのため、自然的な要素により乾いた場合でも、人工的な要素により乾いた場合でも「乾かす」という言葉は使えます。

乾かすという言葉を使う場合には、その対象物が誰が見ても、とても濡れている状態にある場合がほとんどです。湿っている程度ではなく、明らかに濡れているという場合に「乾かす」を使うようにします。

乾かすの対義語

乾かすの対義語・反対語としては、水分を含ませることを意味する「湿らす」、濡れた状態にすることを意味する「濡らす」などがあります。

乾かすの類義語

乾かすの類語・類義語としては、水分を取り除くことを意味する「脱水」があります。

乾かすの「乾」という字を使った言葉としては、熱を加えたりして目的のものから水分を除去することを意味する「乾燥」、収穫後のよくかわいた田を意味する「乾田」、杯をあげて飲みほすことを意味する「乾杯」などがあります。

干すの意味

干すとは

干すとは、広げた状態で日光や風にあてることを意味しています。干すという言葉を使う際には、干すものは必ずしも濡れている必要はなく、湿気程度であったり、カビ防止や、虫の害を防ぐ目的を示す場合もあります。

また、干すという言葉に含まれる「自然のままに放っておく」という意味が転じて、役割を下ろされる、放っておかれるという意味でも使われる言葉です。

表現方法は「洗濯物を干す」「人を干す」「干される」

「洗濯物を干す」「人を干す」「干される」などが、干すを使った一般的な言い回しです。「人を干す」とは「芸能界から干される」といった使い方で、仕事が与えられないなどマイナスイメージの強い言葉になります。

干すの使い方

干すを使った分かりやすい例としては、「外側に大きなタオルを干して内側に下着を干すと良い」「ベランダがあるから洗濯物を干せる」「冬は布団を干す長さが長くなる」「厚手の衣類などは外側で靴下や下着は内側に干すと乾きやすい」などがあります。

この言葉は、あまり良い言葉ではないので、使用する際には他人を不用意に傷つけないよう、十分に気を付けるようにしましょう。

干すの語源

干すという字は、もともとは日照りを表す「旱」(読み方:かん)という字を使っていましたが、それを簡単な表記に変更して「干」としたものです。つまり、干という字には、日照りという意味も含まれています。

干すという言葉の一番の目的は「日光や風などの自然物にあてる」ことにあります。その対象物は、濡れているものでなくても問題ありません。布団を干す場合や衣類や本などの虫干しをする場合にも、この干すという漢字が使われています。

干すの類語

干すの類語・類義語としては、内部の空気を排出することを意味する「換気」、グラスを空にすることを意味する「飲み干す」などがあります。

干すの「干」という字を使った言葉としては、海や水深の浅い湖などの水分を取り除き陸地にすることを意味する「干拓」、魚や貝などをほした食品を意味する「干物」、日のあたる野外に干すことを意味する「天日干し」などがあります。

乾かすの例文

1.洗濯物を乾かし終わったところだ。
2.濡れた靴下をストーブで乾かす。
3.川遊びのあと、焚火をして体を乾かす。
4.新しいドライヤーは軽くて髪を乾かしやすい。
5.手を洗った後、温風器で手を乾かす。
6.梅雨時は部屋干しの洗濯物が臭わないよう扇風機やサーキュレーターの風を当てるなど、早く乾かすための工夫をしている。
7.私がドライヤーで髪を乾かしている間、その音が苦手な娘はいつも手で耳を塞いでいる。
8.お風呂から上がりテレビを見ながら髪を乾かしていると、友だちから電話がかかってきました。
9.靴が雨で濡れたら、丸めた新聞紙を靴の中に入れてすぐに乾かした方が良い。
10.ベンチに座ってみるとおしりが真っ青に。どうやらペンキを乾かしている途中だったようだ。

この言葉がよく使われる場面としては、濡れたものの水分や湿気を飛ばしたい時が挙げられます。水分を取り除く方法としては、自然的な要素である日光や風などに限らず、人工的なドライヤーやストーブなども含まれます。

あくまでも、水分を飛ばすことが目的となっている言葉であり、その方法については重要視していません。また、例文1のように、「乾かし終わった」「乾かした」などと表現した場合、その対象物の水分はすでに取り除かれた状態であるとわかります。

このように、水分を除去することを目的としている文脈で使う場合には「乾かす」という言葉を使うようにしましょう。

干すの例文

1.洗濯物を干したところだ。
2.図書館の本を一斉に虫干しする。
3.休日に家族全員分の布団を干す。
4.役割を干されてしまって、やることがない。
5.魚を干して、干物をつくる。
6.食べきれない野菜は適当な厚さに切ってざるに並べて外に干すといいですよ。さっと水で戻せば簡単に調理できて、味も生の時より濃く感じられます。
7.私はバレないように家に帰ろうとした所、布団を干していた近所の奥さんとバッタリ顔が合ってしまった。
8.彼は紳士協定を破ったことで業界から干されていたのだが、今年から徐々に復帰していたようだ。
9.今日は雨が降るとは思わなかったので、お布団を干したまま外出をしてしまいました。
10.メディアのお偉方から業界から干してやると脅されたので、私は録音したものを公開することにしました。

この言葉がよく使われる場面としては、自然の力を利用して水分の除去や虫の害などを防止したい時などが挙げられます。自然の力とは、太陽光や風、火などを指します。

干すという言葉は、そのままにして放っておくという意味を持っています。つまり、対象物を太陽光などの下に広げて、そのまま放置するようなイメージです。水分を除去することが目的ではなく、そのまま放置しておくことが目的となっている言葉です。

例文1で考えると、これは洗濯物を干したというだけで、洗濯物の水分が除去されたかどうかは、この文脈からはわかりません。また、例文2のように、濡れているものでなくても、湿気が気になるものなどを太陽光の下に出すことを「干す」と表現します。

そのままにして放っておくという意味が転じて、例文4のように役割から外されて放置されるというような場面でも「干す」という言葉は使われます。あまり良い言葉ではないので、使用する際には気を付けるようにしましょう。

確実に水分を飛ばしたい時には「乾かす」、ただ放置しておくことを目的としている場合は「干す」という表現を使うようにします。

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