似た意味を持つ「刹那」(読み方:せつな)と「瞬間」(読み方:しゅんかん)と「一瞬」(読み方:いっしゅん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どれを使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「刹那」と「瞬間」と「一瞬」という言葉は、どれもほんの少しの時という意味を表すという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
刹那と瞬間と一瞬の違い
刹那と瞬間と一瞬の意味の違い
刹那と瞬間と一瞬の違いを分かりやすく言うと、短い間のことか、きわめて短い間のことか、更にきわめて短い間のことかの違いです。
刹那と瞬間と一瞬の時間の違い
刹那と瞬間と一瞬を、時間の短い順番に並べると一瞬⇒瞬間⇒刹那という順になります。
刹那と瞬間と一瞬の語源の違い
まず、刹那という言葉を考えます。この刹那という言葉はインドの伝承に基づく梵語(読み方:ぼんご)と呼ばれるもので、きわめて短い時間のことを意味しています。仏教用語では、時間の最小単位とも呼ばれているものです。
つまり、刹那とは最小の「単位」であり、具体的な時間を表現しているものではありません。刹那主義という言葉がありますが、これは「目の前にある現実を、感覚で充実させて生きる」という意味の言葉です。
上記のことから、刹那とは、目の前にある時間を、最小単位として捉えているということになり、人それぞれの感覚によって長さは異なってきます。刹那とは「今、この時」という意味を持つ言葉であると覚えておくようにしましょう。
次に、瞬間という言葉を考えます。瞬間の「瞬」という字は「またたき」という意味の漢字です。またたきとは、「星のまたたき」という風に使われるように、光がちらちらとついたり消えたりすることや、人間がまばたきをする様子などを示す言葉です。
つまり、瞬間とは星がまたたく程の短い時や、まばたきをするほどの短い時を示します。しかし、瞬間という言葉は、この「瞬」という漢字の後に「間」という字を組み合わせています。
この「間」という字は、物と物との隙や、ゆとりを意味する言葉です。時間の「間」という字でもあります。瞬間とは、短い時のことを示しながらも、ある一定の「ゆとり」「時間の幅」を意味している言葉です。
例えば「その瞬間に」という言葉は「その短い時間に」というような意味を持っています。ごく短い時であっても、瞬間とは、ある一定の時間を示すものであると覚えておくようにしましょう。
最後に一瞬という言葉を考えます。この一瞬という言葉は、上記の「瞬間」と同じように、またたきを意味する「瞬」という字が入っています。しかし、瞬間と違い、一瞬という言葉は「一」という字を組み合わせています。
この「一」という字は、「わずか」という意味を持つ言葉です。つまり、一瞬というのは、瞬間とは違い、時間として認識できないほど、短い時のことを示す言葉であると言えます。
例えば「一瞬の出来事だった」という言葉は「時間として認識できないほどの時に起こった出来事だった」という意味になります。「気が付けば」というようなニュアンスを含んでいて、意識が向いた時には、もう出来事が起こっていたという意味になります。
刹那と瞬間と一瞬の使い分け方
「刹那」は時間の最小単位であり、目の前にある今、という意味で、人によって長さの違う時間であること、「瞬間」とはまばたきするくらい短い時間であること、「一瞬」とは、時間として認識できないほど短い時であることを覚えておくようにしましょう。
刹那の意味
刹那とは
刹那とは、インド伝承の梵語で、ちょっとの間を意味しています。刹那というのは「今、この時」という意味でも使われる言葉です。
刹那は時間の最小単位
刹那という言葉は、きわめて短い時間のことを意味していて、仏教では時間の最小単位と呼ばれています。しかし、これはあくまで単位であり、刹那という時間の長さについては、人それぞれで差のあるものです。
「刹那的な生き方」の意味
例えば「刹那的な生き方」という文章で考えると、これは「その時その時での生き方」という意味になり、未来を見据えずに今だけを見つめた生き方ということになります。
この例文における「刹那」とは「今」という意味であり、人生という長い時間の中で考えると、とても短い時ということになりますが、ある程度の長さを持った時間を表現しているとも言えます。
「刹那の快楽に酔う」の意味
他にも「刹那の快楽に酔う」という文章で考えると、これは「今、この時の楽しさに浸る」というような意味となります。この例文で考えても、刹那というのが、ある程度の長さを持った時を示すことがわかります。
しかし、別の例文で考えると、例えば「何かが光ったその刹那、私は気を失った」というような文章の場合、この刹那とは「光ったその時」という意味になり、とても短い時間を意味することになります。
このように、刹那とは、感じる人によってそれぞれ時間に大きく幅の出る表現です。「今、この時」という言葉で置き換えられるような場合に「刹那」という言葉を使うようにします。
刹那の類語
刹那の「那」という字が含まれる単語としては、物事の最後の所や底の部分を意味する「那落」、布施をする人を意味する「檀那」などがあります。
瞬間の意味
瞬間とは
瞬間とは、まばたきするほど、短い時間のことを意味しています。きわめて短い時のことを意味していますが「間」という字が入っているので、ある程度の長さを持った時ということになります。
瞬間とは、きわめて短い時間のことや、何かをしたその途端のことを意味しています。ほとんど時の経過を感じられないほどの短い時を示す言葉ですが、それでも時間の経過があることを意味する言葉です。
表現方法は「瞬間湯沸かし器」「瞬間接着剤」
「瞬間湯沸かし器」や「瞬間接着剤」などを想像するとわかりやすいでしょう。瞬間湯沸かし器は、短時間でお湯を沸かせる道具ですが、時の長さを感じられないほどの早さではありませんし、瞬間接着剤も同じように短時間で接着出来ますが時間は必要です。
このように、きわめて短いものの、ある程度の時間が必要な場合に「瞬間」という言葉を使います。瞬間の「間」が、隙間やゆとりを示す言葉であると覚えておくと、意味を思い出しやすくなります。
瞬間の類語
瞬間の「間」という字が含まれる単語としては、物事と物事とのあいだの時間を意味する「間隔」、物事のとぎれる間の時間を意味する「合間」、ある期日から、他の期日に至るまでの間を意味する「期間」などがあります。
一瞬の意味
一瞬とは
一瞬とは、まばたきをするほど、きわめてわずかな時を意味しています。一瞬の「一」というのは「わずか」という意味を持つ言葉で、本当に短い時のことを一瞬と表現します。
一瞬の時間
一瞬とは、人間が一回まばたきをするほど短い間のことや、星がまたたくほどの短い時のことを意味しています。この一瞬という言葉を使う際には「時間を全く感じることが出来ないほどに短い」という意味が含まれるのだと覚えておくようにしましょう。
また、実際にはある程度の時間がかかったことに対しても、とても短い時間に感じた場合、強調の意味を含めて「一瞬だった」などと表現することがあります。一瞬とは、瞬間よりも短く、時間を感じる暇もなかったほどであることを表現します。
表現方法は「一瞬の出来事」「一瞬の油断」「一瞬一瞬」
「一瞬の出来事」「一瞬の油断」「一瞬一瞬」などが、一瞬を使った一般的な言い回しです。
一瞬の類語
一瞬の「一」という字が含まれる単語としては、ちょっとだけ見やることを意味する「一瞥」、ほんのわずかであり、かすかであることを意味する「一抹」、ごくわずかであることを意味する「一縷」などがあります。
刹那の例文
この言葉がよく使われる場面としては、「今、その時」ということや「その場限り」ということを表現したい時などが挙げられます。
刹那とは、仏語であり、時間の最小単位を表す言葉です。しかし、時間の短さについては、人それぞれで感覚に違いがあります。つまり、人によって、刹那という言葉が意味する時間の長さは違ってくるということです。
刹那という言葉は、人それぞれ違う、ほんの短い時を示す言葉であり、目の前にある時間のことを意味していると覚えておくようにしましょう。その場限りの幸せを見つめて生きることを「刹那主義」などと表現することを覚えておくとわかりやすいでしょう。
瞬間の例文
この言葉がよく使われる場面としては、きわめて短い時間について表現する時などが挙げられます。人間がまばたきをするくらいの短い時間のことを意味していて、何か物事を行った途端、という意味もあります。
瞬間とは、「間」という字が入っているので、ある程度の時間の幅を持ちながらも、きわめて短い時を表現している言葉です。瞬間湯沸かし器がお湯を沸かす速度や、瞬間接着剤が物を接着するのにかかる時間を想像するとわかりやすいでしょう。
瞬間とは、短くても時間を感じることが出来る範囲での時のことを示します。刹那よりも短く、一瞬よりは長い時間のことであると覚えておくようにしましょう。
一瞬の例文
この言葉がよく使われる場面としては、人間がまばたきするほどの、きわめてわずかな時について表現する時などが挙げられます。一瞬とは、ごく短い時のことを意味し、時間という幅を感じる暇さえないような状態を指します。
また、一瞬とは、とても短い時間だったことを強調させたい時にも使われる言葉です。例文5のように、実際には一瞬ではなかったとしても、感じた本人が「一瞬だった」と思った時には、このような表現を使うことが出来ます。
刹那や瞬間よりも、より短く、時間を捉えることさえ出来ないほどのことを「一瞬」と表現すると覚えておくようにしましょう。