似た意味を持つ「毀誉褒貶」(読み方:きよほうへん)と「賛否両論」(読み方:さんぴりょうろん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「毀誉褒貶」と「賛否両論」という言葉は、どちらも「相反する意見があること」を表しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
毀誉褒貶と賛否両論の違い
毀誉褒貶と賛否両論の意味の違い
毀誉褒貶と賛否両論の違いを分かりやすく言うと、毀誉褒貶とは良いと悪いの評価を表し、賛否両論とは賛成と反対の意見を表すという違いです。
毀誉褒貶と賛否両論の使い方の違い
一つ目の毀誉褒貶を使った分かりやすい例としては、「世間の毀誉褒貶に頓着しない」「毀誉褒貶が激しい人物です」「徳川慶喜は毀誉褒貶相半ばする将軍です」「これほど毀誉褒貶が分かれる人はいないだろう」などがあります。
二つ目の賛否両論を使った分かりやすい例としては、「彼の提案に会議では賛否両論があった」「働き方改革に賛否両論あります」「賛否両論の社会問題をテーマに議論する」「美味しいかまずいか賛否両論あるメニューです」などがあります。
毀誉褒貶と賛否両論の使い分け方
毀誉褒貶と賛否両論という言葉は、どちらも相反する意見があることを表し、同じように使われる言葉ですが、厳密な意味や使い方には違いがあります。
毀誉褒貶とは、褒めたり悪口を言ったりすることを意味します。上記の例文の「毀誉褒貶が分かれる」とは、褒める人がいる一方で、けなす人もいる状況を表し、世間の評価が分かれていることを意味します。
賛否両論とは、ある事柄について賛成と反対の両方の意見があることを意味します。上記の例文の「働き方改革に賛否両論ある」とは、働き方改革について賛成と反対が対立していて、意見がまとまらず議論の余地があることを表します。
つまり、毀誉褒貶とは「良い」「悪い」という評価に関しての相反する意見を表し、賛否両論とは「賛成」「反対」という提案や主張に関しての相反する意見を表すという違いがあります。
毀誉褒貶と賛否両論の英語表記の違い
毀誉褒貶を英語にすると「praise and censure」「public criticisms」となり、例えば上記の「毀誉褒貶に頓着しない」を英語にすると「be indifferent to praise or censure」となります。
一方、賛否両論を英語にすると「pros and cons」「mixed reviews」となり、例えば上記の「会議では賛否両論があった」を英語にすると「there were pros and cons at the meeting」となります。
毀誉褒貶の意味
毀誉褒貶とは
毀誉褒貶とは、褒めたりけなしたりすること、褒めたりけなしたりする世評を意味しています。
表現方法は「毀誉褒貶が激しい」「毀誉褒貶相半ばする」「毀誉褒貶が多い」
「毀誉褒貶が激しい」「毀誉褒貶相半ばする」「毀誉褒貶が多い」「毀誉褒貶を顧みない」などが、「毀誉褒貶」を使った一般的な言い回しになります。
毀誉褒貶の使い方
毀誉褒貶を使った分かりやすい例としては、「当時のマスコミから毀誉褒貶相半ばした政策でした」「彼の毀誉褒貶を顧みない気概は素晴らしい」「指導者は毀誉褒貶を避けられない」「巷の毀誉褒貶が激しい商品です」「毀誉褒貶が多い人はあまり友達がいないだろう」などがあります。
その他にも、「偏った考え方をするために毀誉褒貶が激しい人でした」「生徒からの毀誉褒貶相半ばする英語教師です」「時間の使い方で毀誉褒貶を受ける」「毀誉褒貶の中で我々は議論を重ねてきた」などがあります。
毀誉褒貶とは、褒めたりけなしたりする世間の評判のことを意味します。また、世間の評判が様々であることのたとえとしても使われる言葉です。
毀誉褒貶は「毀誉」と「褒貶」の二つの熟語から成り、「毀誉」は名誉を傷つけることと称えること、「褒貶」は良い評価を与えることと悪い評価を与えることを意味します。毀誉褒貶という言葉は、似た意味の熟語を重ねて意味を強調した四字熟語です。
「毀誉褒貶相半ばする」の意味
上記の例文にある「毀誉褒貶相半ばする」とは、良い評価、悪い評価が半分ずつであり、評価が分かれている様子を表します。「毀誉褒貶が激しい」とは、ある物事や人に対して褒める人が多い反面、けなす人も多いということを意味する言い回しです。
毀誉褒貶の対義語
毀誉褒貶の対義語・反対語としては、多くの人がみな口をそろえて同じことを言うことを意味する「異口同音」、多くの人の意見や評判がぴったり合うことを意味する「衆口一致」などがあります。
毀誉褒貶の類語
毀誉褒貶の類語・類義語としては、褒めたりけなしたりすることを意味する「上げ下げ」、人を褒めたりけなしたりすることを意味する「上げ下ろし」、よい行いを勧め悪事を懲こらしめることを意味する「勧善懲悪」などがあります。
賛否両論の意味
賛否両論とは
賛否両論とは、賛成意見と反対意見の二つがあることを意味しています。
表現方法は「賛否両論が巻き起こる」「賛否両論が分かれる」「賛否両論ある問題」
「賛否両論が巻き起こる」「賛否両論が分かれる」「賛否両論ある問題」「賛否両論の声が上がる」などが、「賛否両論」を使った一般的な言い回しになります。
賛否両論の使い方
賛否両論を使った分かりやすい例としては、「お中元ギフトの慣習には賛否両論あります」「税金の使い方に対して賛否両論が巻き起こった」「名古屋市長の判断には賛否両論がある」「賛否両論あるお弁当屋さんです」などがあります。
その他にも、「英語の早期教育には賛否両論あるでしょう」「恵比寿は住みやすい街か賛否両論あります」「小学生のスマホの使い方には賛否両論ある」「金沢へ出店は社内で賛否両論ありました」「この小説の評価については賛否両論です」などがあります。
賛否両論とは、ある事柄について賛成意見と反対意見の二つがあることを意味します。特に、賛成論と反対論とで優劣のつかない状態について表す言葉です。「賛否」は人の意見に同意すること人の意見を否定すること、「両論」は相対する二つの論を表します。
賛否両論の対義語
賛否両論の対義語・反対語としては、多くの人の議論によって意見がまとまり決まることを意味する「衆議一決」、その場にいるすべての人の意見が一致することを意味する「満場一致」などがあります。
賛否両論の類語
賛否両論の類語・類義語としては、あれこれ主張して議論がまとまらないことを意味する「甲論乙駁」(読み方:こうろんおつばく)、たくさんのさまざまな意見が出ることを意味する「議論百出」、いろいろな意見が入り乱れてまとまりがつかないさまを意味する「諸説紛紛」などがあります。
毀誉褒貶の例文
この言葉がよく使われる場面としては、褒めたり悪口を言ったりすることを表現したい時などが挙げられます。
例文3にある「身は褒貶毀誉の間に在りといえども、心は水の如く清し」とは、人からどう言われようとも、心は水の様に澄んでいることを意味します。なんと言われようとも、自身の行動に誇りを持っている様子を表します。
賛否両論の例文
この言葉がよく使われる場面としては、そのことについて賛成と反対の両方の意見があることを表現したい時などが挙げられます。
賛否両論という言葉は、賛成論と反対論とで優劣のつかない状態を表します。意見が対立することで、話がまとまらない状態を指す言葉です。
毀誉褒貶と賛否両論という言葉は、どちらも相反する意見があることを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、褒め言葉と悪口を表現したい時は「毀誉褒貶」を、賛成意見と反対意見を表現したい時は「賛否両論」を使うようにしましょう。