同じ「おもう」という読み方の「思う」と「想う」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「思う」と「想う」という言葉は同音の言葉ですが、それぞれの漢字によって使い方には少し違いがあります。
「思う」と「想う」の違い
「思う」と「想う」の意味の違い
「思う」と「想う」の違いを分かりやすく言うと、「思う」とは頭の中でイメージすること、「想う」とは心の中でイメージすることという違いです。
「思う」と「想う」の使い方の違い
一つ目の「思う」を使った分かりやすい例としては、「得意のドイツ語を仕事に活かしたいと思った次第です」「娘の将来を思う」「怪我をしてから思うようなプレーができない」「自分の思うままに行きたい」「あなたは正しいと思います」などがあります。
二つ目の「想う」を使った分かりやすい例としては、「彼女のことを想う」「故郷を想う気持ちが非常に強い」「心に想う人」「別れた彼のことを想うと夜も眠れない」「卒業した学校のことを懐かしく想う」「彼のことを大切に想う」などがあります。
「思う」と「想う」の使い分け方
「思う」と「想う」は、基本的にどちらを使っても問題ないのですが、使い分けが可能な言葉になります。
「思う」は、頭の中で考えることを意味しており、「想う」は、眼前にない物事について、心を働かせることを意味しています。簡単に言うならば、心の中でイメージすることです。そのため、「思う」よりも「想う」の方がより感情を込めた表現になっています。
もう一つの違いとしては、「思う」は常用漢字表に載っていて、「想う」は常用漢字表に載っていないという違いです。
「思う」は文化庁が定める常用漢字表に記載されているため法令や新聞などで使用できますが、「想う」は常用漢字表に記載されていないため法令や新聞などで使用できません。そのため、公的な書類などに記載する際には「思う」を使う方が良いでしょう。
「思う」と「想う」の英語表記の違い
「思う」も「想う」も英語にすると「think」「believe」「suppose」となり、例えば上記の「あなたは正しいと思います」を英語にすると「I think that you are right」となります。
「思う」の意味
「思う」とは
「思う」とは、頭の中でイメージすることを意味しています。
「思う」の使い方
「思う」を使った分かりやすい例としては、「意地悪されて落ち込んでいては相手の思う壺である」「この件について思うことがあります」「彼女が正しいと思います」「投球イップスで思うように投げられなくなった」「思っていたことが現実になる」などがあります。
その他にも、「自分の思うがままに行動する」「相手のことを思うがあまり言いたいことが言えない」「私は間違っていると思う」「この会議について思うことがあります」「言われてみれば思い当たる節がある」などがあります。
「思う」は頭の中でイメージすること、つまり、頭の中で考えるという意味で使う言葉になります。また、様々な場面で使うことができるので、とても馴染みのある言葉でしょう。
「思う」の「思」は常用漢字表に載っている言葉なので、公的な文章などでも使うことができます。
表現方法は「〇〇だと思う」「思うあまり」「思うことがある」
「〇〇だと思う」「思うあまり」「思うかもしれない」「思うくらい」「思うことがある」「思うように」「思う次第です」「思う壺」「思うがままに」などが、「思う」を使った一般的な表現方法になります。
「思う」の類語
「思う」の類語・類義語としては、知識や経験などに基づいて筋道を立てて頭を働かせることを意味する「考える」、ある事実を手掛かりにして推し量って決めることを意味する「推定」、判断してそう決めることを意味する「見做す」などがあります。
「思う」の思の字を使った別の言葉としては、経験や知識をもとにあれこれ頭を働かせることを意味する「思考」、注意深く心を働かせて考えることを意味する「思慮」、あれこれ考えを巡らすことを意味する「思案」、思い考えることを意味する「思念」などがあります。
「想う」の意味
「想う」とは
「想う」とは、心の中でイメージすることを意味しています。
表現方法は「心から想う」「大切に想う」
「心から想う」「大切に想う」などが、想うを使った一般的な表現方法です。
「想う」の使い方
「想う」を使った分かりやすい例としては、「大切な人を一番想う」「故郷のことを懐かしく想う」「彼のことを心から想う」「あなたに会いたいと想う」「大切な人に想う気持ちを伝えました」などがあります。
「想う」は心の中でイメージすること、つまり、眼前にない物事について、心を働かせたり、想像することという意味で使う言葉になります。
「想う」は、心に浮かべた対象に対して、強い感情を抱く場合によく使います。そのため、家族、恋人、友人、故郷など、大切なものを対象にして使うことが多いでしょう。
「想う」は日常生活で頻繁に使う言葉ではないのですが、小説、歌詞、映画、ドラマなどで頻繁に使われている言葉になります。
「想う」は常用外漢字
「想う」の「想」は常用漢字表に載っていない言葉なので、公的な文章などでは使うことができません。もし、公的な文章で使いたいのであれば、常用漢字である「思」を使った、「思う」を使うようにしましょう。
「想う」の類語
「想う」の類語・類義語としては、特定の異性を恋い慕うことを意味する「恋慕」(読み方:れんぼ)、特別に目をかけて可愛がることを意味する「愛寵」(読み方:あいちょう)、深く恋慕うことを意味する「恋着」(読み方:れんちゃく)などがあります。
「想う」の想の字を使った別の言葉としては、頭の中に思い描くことを意味する「想像」、前にあったことを想い浮かべることを意味する「想起」、考える限り最も素晴らしい状態のことを意味する「理想」、前もって予測することを意味する「予想」などがあります。
「思う」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、頭の中でイメージすることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文のように、様々な場面で使うことができる言葉になります。
「想う」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、心の中でイメージすることを表現したい時などが挙げられます。
「想う」は使う頻度が少ない言葉ですが、上記の例文のように、大切なものに対して、強い感情を抱いてる場合に使います。
「思う」と「想う」はどちらの言葉を使っても問題はありません。ただし、公的な文章に使う場合は、常用漢字表に載っている「思う」を使うと覚えておきましょう。