似た意味を持つ「昇進」(読み方:しょうしん)と「昇格」(読み方:しょうかく)と「栄転」(読み方:えいてん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どの言葉を使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「昇進」と「昇格」と「栄転」という言葉は、身分や地位が上がることという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
昇進と昇格と栄転の違い
昇進と昇格と栄転の意味の違い
昇進と昇格と栄転の違いを分かりやすく言うと、昇進は転勤を伴わないで身分が上がることを表現する時に使い、昇格は身分や格式が上がることを表現する時に使い、栄転は転勤を伴って身分が上がることを表現する時に使うという違いです。
昇進と昇格と栄転の使い方の違い
昇進という言葉は、「次の昇進の機会は逃さないようにしたい」「後輩が昇進する話を聞いて少しばかり悔しい」などの使い方で、職務上の地位が上がることを意味します。
昇格という言葉は、「応援しているチームが昇格してファンも盛り上がっていた」「知り合いから親友に昇格するまでそんなに時間は掛からなかった」などの使い方で、格式や階級などが上がることを意味します。
栄転という言葉は、「栄転の話を聞いたのか壮行会を開いてくれた」「栄転祝いに同僚たちが奢ってくれた」などの使い方で、今までより高い地位や身分に就くことを意味します。
昇進と昇格と栄転の使い分け方
昇進と栄転という言葉は、どちらも職務上の地位が身分が上がることを意味しますが、前者が異動や転勤は伴わないのに対して、後者は異動や転勤を伴います。
一方の昇格も地位が上がることを意味しますが、職務を遂行するにあたっての能力や成績が上がったことで社内での評価が上がることを意味するうえ、職務以外の格式が上がることも意味します。
そのため、「親友に昇格した後も礼儀だけは忘れないようにした」「人が多く集まったことで部活に昇格することができた」などのように人だけでなく物や組織などに対しても使われることがあります。
これが、昇進、昇格、栄転の明確な違いです。
昇進の意味
昇進とは
昇進とは、職務上の地位が上がることを意味しています。
昇進には、就活生の採用と同様に、男女差別や外見、政治的意見、宗教、国籍などによる差別が残っていることで、国際的な課題とされています。
表現方法は「昇進する」「昇進祝い」「昇進挨拶」
「昇進する」「昇進祝い」「昇進挨拶」などが、昇進を使った一般的な言い回しです。
「昇進伝達式」の意味
昇進を使った言葉として、「昇進伝達式」があります。これは、大相撲の番付編成会議で新しく横綱や大関が誕生した場合に、その力士のもとに使者が赴いて昇進した旨を伝える儀式を指す言葉です。
一般的には、所属する部屋などで行われますが、報道陣が殺到して入りきらないことや、新横綱の門出を盛大に祝うために、伝達式が帝国ホテルにて行われたこともあります。
この他にも、大相撲関連の言葉に昇進という言葉は多く使われています。
昇進の対義語
昇進の対義語・反対語としては、旧日本軍の罰の一つで、階級を1つ下げることを意味する「降等」があります。
昇進の類語
昇進の類語・類義語としては、地位や程度が上がることを意味する「上進」、より高い位置や高い程度に向かっていくことを意味する「上昇」、社会的に高い身分や地位を得ることを意味する「出世」などがあります。
昇格の意味
昇格とは
昇格とは、格式や階級などが上がることを意味しています。
表現方法は「昇格する」「昇格しない」「昇格を断る」
「昇格する」「昇格しない」「昇格を断る」などが、昇格を使った一般的な言い回しです。
「J1昇格プレーオフ」の意味
昇格を使った言葉として、「J1昇格プレーオフ」があります。これは、2012年から2017年まで導入されていた日本のプロサッカーリーグの中でも、最上位カテゴリーであるJ1リーグに参入するためのシステムです。
2018年からは、ルールが変更され、名称も「J1参入プレーオフ」に変えられて導入されるようになりました。
このように、会社や企業などの内部での評価だけでなく、組織や集団などの評価や、他者からの好感度が上昇することにも使うことができます。
昇格の対義語
昇格の対義語・反対語としては、階級や地位などが下がることを意味する「降格」があります。
昇格の対義語
昇格の類語・類義語としては、等級が上がることを意味する「昇級」、現職よりも上位の職に任命されることを意味する「昇任」、武道や将棋などで段位が上がることを意味する「昇段」などがあります。
栄転の意味
栄転とは
栄転とは、今までより高い地位や役職に就くことを意味しています。
栄転に似た言葉に、同じ会社に勤めながら勤務地が変わることを意味する「転勤」や、企業が社員との雇用契約を維持した状態で他の企業へと異動することを意味する「出向」があります。
転勤や出向とは違って、栄転は必ず現状の地位よりも上進することも含みます。ただし、給料が必ず上がるわけではなく、職場や仕事が良いところに変わることを表すため、人によって栄転と感じるかに違いがあります。
表現方法は「栄転する」「栄転される」「栄転祝い」
「栄転する」「栄転される」「栄転祝い」などが、栄転を使った一般的な言い回しです。
栄転の対義語
栄転の対義語・反対語としては、低い地位や官職に落とすことを意味する「左遷」があります。
栄転の類語
栄転の類語・類義語としては、高い地位や身分を得ることを意味する「栄達」、地位や役職などが上がることを意味する「栄進」、下の地位にいたものを上の地位に抜擢して使うことを意味する「挙用」などがあります。
昇進の例文
この言葉がよく使われる場面としては、職務上の地位が上がることを意味する時などが挙げられます。
例文2の、自分に自信がなく昇進などを断るような心理的状況を「インポスター症候群」といいます。
どの例文の昇進も、昇格や栄転という言葉に置き換えて使うことができますが、栄転という言葉は、勤務地が変わってしまうため、意味合いが大きく変わってきます。
昇格の例文
この言葉がよく使われる場面としては、格式や階級などが上がることを意味する時などが挙げられます。
例文1や例文2のように、職務上のレベルアップ以外で格が上がることも意味します。
そのため、例文1や例文2の昇格は、昇進や栄転という言葉に置き換えて使うことができません。
栄転の例文
この言葉がよく使われる場面としては、今までより高い地位や役職に就くことを意味する時などが挙げられます。
例文3は栄転祝いの手紙などに書かれる文例の一つです。
また、例文3は「本社への」と書かれていることから、勤務地が変わることを表すため、昇進や昇格を置き換えて使うことはできません。
昇進と昇格と栄転どれを使うか迷った場合は、転勤を伴わないで身分が上がることを表す場合は「昇進」を、身分や格式が上がることを表す場合は「昇格」を、転勤を伴って身分が上がることを表す場合は「栄転」を使うと覚えておけば間違いありません。