似た意味を持つ「居丈高」(読み方:いたけだか)と「高飛車」(読み方:たかびしゃ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「居丈高」と「高飛車」という言葉は、どちらも相手を押さえつけるようなさまを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
居丈高と高飛車の違い
居丈高と高飛車の意味の違い
居丈高と高飛車の違いを分かりやすく言うと、居丈高とは態度そのものに重きを置いた表現、高飛車とは言動に重きをおいた表現という違いです。
居丈高と高飛車の使い方の違い
一つ目の居丈高を使った分かりやすい例としては、「上司が部下に居丈高に振る舞う」「議会では居丈高な姿勢で回答を繰り返した」「彼の居丈高な雰囲気が人を寄せ付けない」「居丈高な態度や発言が多い人だな」などがあります。
二つ目の高飛車を使った分かりやすい例としては、「高飛車な発言とは裏腹に思いやりを感じた」「高飛車な話し方はやめた方がいいよ」「才色兼備な姉は高飛車で怖い」「高飛車な人の対処法が知りたい」などがあります。
居丈高と高飛車の使い分け方
居丈高と高飛車という言葉は、どちらも「相手を一方的に上から押さえつけるような態度に出ること」を意味しています。この意味ではどちらの言葉を使っても間違いではありませんが、ニュアンスの違いがあるので、厳密に表現したい時には使い分けた方が良い言葉です。
居丈高は座っていることを語源とし、静的な威圧感を表すニュアンスがあり、態度そのものに重きを置いた表現です。一方、高飛車は将棋の戦法を語源とし、動的で高圧的なニュアンスがあるので、言動に重きを置いた表現です。このようなニュアンスの違いで使い分けられます。
さらに、居丈高と高飛車は共通する意味の他に、それぞれ別の意味もあります。居丈高は座った時の背が高いことや、相手を見くだすさまの意味も持ちます。高飛車は将棋で、飛車を定位置から前に進めて攻勢をとる形の意味も持ちます。これらが、居丈高と高飛車という言葉の明確な違いになります。
居丈高と高飛車の英語表記の違い
居丈高も高飛車も英語にすると「high-handed」「domineering」「supercilious」となり、例えば上記の「居丈高に振る舞う」を英語にすると「act high-handedly」となります。
居丈高の意味
居丈高とは
居丈高とは、人に対して威圧的な態度をとるさまを意味しています。
その他にも、「座ったときの背が高いさま」や「上半身を伸ばすようにして相手を見くだすさまの意味も持っています。
表現方法は「居丈高な態度」「居丈高な物言い」「居丈高な人」
「居丈高な態度」「居丈高な物言い」「居丈高な人」などが、居丈高を使った一般的な言い回しです。
居丈高の使い方
「居丈高な振る舞いはやめた方がいいよ」「答弁のときの居丈高な態度が気に食わない」「SNSでは居丈高な調子を見せる」「居丈高なシニア世代に困っている」「居丈高な態度はトラブルの元である」などの文中で使われている居丈高は、「人に対して威圧的な態度をとるさま」の意味で使われています。
一方、「居丈高なのに意外と身長が低いね」の文中で使われている居丈高は「座ったときの背が高いさま」の意味で使われています。「下手に出る相手には居丈高に振る舞う」「先輩に対して居丈高な態度はまずいよ」などの文中で使われている居丈高は「相手を見くだすさま」の意味で使われています。
居丈高の読み方
居丈高とは「いたけだか」と読みます。「いけだか」や「いじょうだか」と誤読しないように注意しましょう。また、力で押さえつけ人を恐れさせる意を持つ「威」という漢字を使って「威丈高」とも書き表すことができます。
居丈高の語源
居丈高という言葉は、「座った姿勢で背が高く見えるさま」を原義とした言葉です。そこから転じて、背筋を伸ばして体を大きく見せること、さらに人を威圧するような態度や、怒りを含んでいきり立つさまの意味も持つようになりました。
居丈高は三つの意味がありますが、原義以外の「人に対して威圧的な態度をとるさま」「相手を見くだすさま」の意味で使われることが多い言葉です。同じ意味を持つ砕けた表現には「上から目線」があります。
居丈高の対義語
居丈高の対義語・反対語としては、控え目でつつましいことを意味する「謙虚」、相手に対してへりくだった態度をとることを意味する「低姿勢」、性質や態度がものやわらかであることを意味する「柔和」などがあります。
居丈高の類語
居丈高の類語・類義語としては、おごりたかぶって人を見くだすことを意味する「傲慢」、思いあがっていることを意味する「不遜」、いばって他人を見下げるような態度をとることを意味する「尊大」、相手に対して威圧的な態度をとることを意味する「高姿勢」などがあります。
高飛車の意味
高飛車とは
高飛車とは、 相手に対して高圧的な態度をとることを意味しています。
その他にも、将棋の浮き飛車の意味も持っています。
表現方法は「高飛車な態度」「高飛車な話し方」「高飛車な言い方」
「高飛車な態度」「高飛車な話し方」「高飛車な言い方」などが、高飛車を使った一般的な言い回しです。
高飛車の使い方
「売り出し中の女優が高飛車発言で炎上中だ」「彼女はどこにいっても高飛車に出るので煙たがられる」「高飛車に威圧感を与えたりしないように」「美人は高飛車な女が多いのだろうか」などの文中で使われている高飛車は、「高圧的な態度をとること」の意味で使われています。
一方、「序盤から互いに高飛車に構えた」「久しぶりに高飛車戦法を試してみる」「先手は高飛車に出て角頭の歩を狙っている」「高飛車で敵陣を威圧する」などの文中で使われている高飛車は、「将棋の浮き飛車」の意味で使われています。
高飛車の語源は将棋用語
高飛車という言葉は、将棋用語を語源としています。将棋の駒の「飛車」を自陣の前方に高く進める戦法のことを高飛車と呼びました。転じて、相手に対して高圧的な態度をとることや、頭ごなしに相手をおさえつけることの意味で、一般的に使われるようになりました。
高飛車の対義語
高飛車の対義語・反対語としては、人に対して言葉や行動を慎み控えることを意味する「遠慮」、言動を遠慮がちにすることを意味する「控え目」、考え方や言動などがおだやかで行きすぎがないことを意味する「穏健」などがあります。
高飛車の類語
高飛車の類語・類義語としては、威力などで相手を押さえつけようとするさまを意味する「威圧的」、権力に物を言わせて人を押さえつけようとするさまを意味する「高圧的」、いばって人を無視した態度をとることや無礼なことを意味する「横柄」などがあります。
居丈高の例文
この言葉がよく使われる場面としては座った時の背が高いこと、人に対して威圧的な態度をとるさま、相手を見くだすさまを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文のように、居丈高の原義である「座った時の背が高いこと」の意味で使われることはあまりありません。例文1から例文4では、人を威圧するような態度を持ったり、見下した態度を取る人物を表しています。
高飛車の例文
この言葉がよく使われる場面としては、相手に対して高圧的なさま、将棋で浮飛車のことを表現したい時などが挙げられます。
例文4にある「タカビー」とは「高飛車な人」を意味し、そういった人を軽蔑する意を込めて使われました。例文5にあるように、将棋用語の高飛車は使われなくなっており、代わって「浮飛車」という言葉が使われています。
居丈高と高飛車という言葉は、どちらも相手を押さえつけるような態度や言動を表す言葉です。どちらの言葉を使うか迷った場合、態度そのものに重きを置いた表現をしたい時は「居丈高」を、言動に重きを置いた表現をしたい時は「高飛車」を使うようにしましょう。