似た意味を持つ「つつがなく」と「滞りなく」(読み方:とどこおりなく)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「つつがなく」と「滞りなく」という言葉は、どちらも問題なく終わることを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「つつがなく」と「滞りなく」の違い
「つつがなく」と「滞りなく」の意味の違い
「つつがなく」と「滞りなく」の違いを分かりやすく言うと、「つつがなく」とは何か問題が起こりそうだったが問題なく終わること、「滞りなく」とは何か問題が起こる気配もなく物事が順調に終わることという違いです。
「つつがなく」と「滞りなく」の使い方の違い
一つ目の「つつがなく」を使った分かりやすい例としては、「お陰様で新店舗の開店準備はつつがなく進んでおります」「つつがなくお過ごしでしょうか」「皆さまはつつがなく新春をお迎えのことと存じます」「イベントをつつがなく終わることができました」などがあります。
二つ目の「滞りなく」を使った分かりやすい例としては、「全ての議案が滞りなく可決された」「結婚式は滞りなく進みました」「本日のイベントは滞りなく開催中です」「日米首脳会談が滞りなく執り行われました」「プログラムは滞りなく進んでいます」などがあります。
「つつがなく」と「滞りなく」の使い分け方
「つつがなく」と「滞りなく」は、どちらも問題なく終わることを意味しているのですが、使い方に少し違いがあります。
「つつがなく」は、病気や災難に遭う可能性があったが、遭わずに無事に終わったというニュアンスなので、何か問題が起りそうだったが何も起こらなかったという意味で使います。
もう一方の「滞りなく」は、物事が順調に進むというニュアンスなので、何も問題が起こる気配もなく物事が順調に終わるという意味で使います。
「つつがなく」は結婚式や葬儀の場面で使えない
また、結婚式やお葬式において、「滞りなく」は問題無く使えるのですが、「つつがなく」は使えないと覚えておきましょう。本来、結婚式やお葬式はアクシデントが起こることなく予定通りに進むのが前提なので、問題が起こる気配がなく順調に進む「滞りなく」を使うのが正解です。
「つつがなく」と「滞りなく」の英語表記の違い
「つつがなく」を英語にすると「safely」「without incident」となり、例えば上記の「イベントをつつがなく終わることができました」を英語にすると「We succeed the event without any incident」となります。
一方、「滞りなく」を英語にすると「without delay」となり、例えば上記の「プログラムは滞りなく進んでいます」を英語にすると「The program is proceeding without delay」となります。
「つつがなく」の意味
「つつがなく」とは
「つつがなく」とは、病気や災難などが無く日々を送ることを意味しています。
「つつがなく」の使い方
「つつがなく」を使った分かりやすい例としては、「お陰様でつつがなく毎日を過ごしております」「こちらの計画はつつがなく進んでいますのでご安心ください」「健康でつつがなく暮らすのが一番です」「つつがなく生きるために神社でお参りしよう」などがあります。
「つつがなく」の漢字表記
「つつがなく」を漢字で表すと「恙無く」「恙なく」とすることができます。
「つつがなく」の語源
また、「恙無く」の「恙」(読み方:つつが)という漢字が「つつがなく」の語源になっています。「恙」とは、病気や災難のことを意味しており、それに打消しの「無い」が合わさったことで、病気や災難が無いという意味の「つつがない」という言葉になりました。
「つつがなく」は病気や災難などがなく日を送るという意味なのですが、病気や災難はいつ起こってもおかしくないため、何か問題が起こりそうだったが問題なく終わるというニュアンスで使われるようになりました。
表現方法は「つつがなく暮らす」「つつがなく過ごす」「つつがなくお過ごしでしょうか」
「つつがなく暮らす」「つつがなく過ごす」「つつがなくお過ごしでしょうか」「お陰様でつつがなく」「つつがなく進む」「つつがなく終了」などが、「つつがなく」を使った一般的な表現方法になります。
「つつがなく」の類語
「つつがなく」の類語・類義語としては、普段と変わりないことを意味する「無事」があります。
「つつがなく」を漢字にした「恙無く」の無の字を使った別の言葉としては、危険や間違いの無いことを意味する「無難」、無事であることを意味する「無異」、何もなく虚しいことを意味する「虚無」、全く無いことを意味する「絶無」などがあります。
「滞りなく」の意味
「滞りなく」とは
「滞りなく」とは、物事が順調に進むことを意味しています。
「滞りなく」の使い方
「滞りなく」を使った分かりやすい例としては、「事業が滞り泣く終われたのは皆様のご協力のおかげです」「本イベントは滞りなく終了いたしました」「息子の結婚式が滞りなく執り行われました」「こちらの作業は滞りなく進んでおります」などがあります。
「滞りなく」の語源
「滞りなく」は、物事が順調に進まないことを意味する「滞る」に打消しの「無い」が合わさったことで物事が順調に進むという意味の言葉になりました。
「滞りなく」は結婚式や葬式の場面で使える
「滞りなく」は何も問題が起こる気配がなく、物事順調に進んだ時に使うため、結婚式や葬式などでよく使われています。
表現方法は「滞りなく終わる」「滞りなく進む」「滞りなく執り行う」
「滞りなく終わる」「滞りなく進む」「滞りなく執り行う」「滞りなく開催」などが、「滞りなく」を使った一般的な表現方法になります。
「滞りなく」の類語
「滞りなく」の類語・類義語としては、物事が成功した状態であることを意味する「成功裏」、物事が支障なく滑らかに運ぶことを意味する「スムーズ」、始めから終わりまで良いことを意味する「首尾よく」、物事が調子良く運ぶことを意味する「順調」などがあります。
「滞りなく」の滞の字を使った別の言葉としては、物事が順調に運ばないことを意味する「滞る」、物事が順調に進まず滞ることを意味する「滞留」、商品が売れ残って貯まっていることを意味する「滞貨」、物事が順調に進まないで滞ることを意味する「延滞」などがあります。
「つつがなく」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、病気や災難などが無く日々を送ることを表現したい時などが挙げられます。
「つづがなく」は上記の例文のように、ビジネスシーンでも日常生活でも使える言葉になります。
「滞りなく」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、物事が順調に進むことを表現したい時などが挙げられます。
「滞りなく」は物事が順調に進むことを表現しているため、例文1や例文4のように、結婚式やお葬式などでも使える言葉です。
「つつがなく」と「滞りなく」どちらを使うか迷った場合は、何か問題が起こりそうだったが、問題なく終わることを表現したい時は「つつがなく」を、何か問題が起こる気配もなく物事が順調に終わることを表現したい時には「滞りなく」を使うと覚えておきましょう。