【丁重】と【丁寧】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「丁重」(読み方:ていちょう)と「丁寧」(読み方:ていねい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「丁重」と「丁寧」という言葉は、どちらも礼儀正しく配慮が行き届いているさまを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




丁重と丁寧の違い

丁重と丁寧の意味の違い

丁重と丁寧の違いを分かりやすく言うと、丁重とは相手に対しての礼儀正しさや配慮を表し、丁寧とは自分の行いが礼儀正しく配慮があることを表すという違いです。

丁重と丁寧の使い方の違い

一つ目の丁重を使った分かりやすい例としては、「せっかくの申し出だが丁重に断るしかない」「ご丁重にお電話をいただき恐縮でございます」「丁重にお断りさせていただきます」「丁重さに欠けるメールだ」などがあります。

二つ目の丁寧を使った分かりやすい例としては、「ご丁寧にありがとうございます」「丁寧な暮らしぶりがうかがえる」「折り目正しく丁寧な人だ」「丁寧な言葉遣いに品を感じる」「丁寧語と尊敬語を使い分ける」などがあります。

丁重と丁寧という言葉は、礼儀正しく配慮が行き届いているさまという共通の意味がある言葉ですが、ニュアンスに違いがあります。丁重とは相手に対する礼儀正しさや配慮を表し、丁寧とは自分の行いとしての礼儀正しさや配慮を表します。

「丁重に断る」と「丁寧に断る」の違い

上記の例の「丁重に断る」とは、相手に配慮しながら礼儀正しく断ることを表します。これが「丁寧に断る」になると、礼儀正しい言動で断ることを表すのですが、相手への配慮という意味合いはありません。

また、丁重は改まった場面で使われ、丁寧は日常会話で使われる傾向があります。丁重と丁寧という言葉は、共通する意味を持つ言葉なのですが、ニュアンスや使われる場面が異なることに注意しましょう。

丁重と丁寧の英語表記の違い

丁重も丁寧も英語にすると「polite」「courtesy」「careful」となり、例えば上記の「申し出を丁重に断る」を英語にすると「decline an offer politely」となります。

丁重の意味

丁重とは

丁重とは、礼儀正しく手厚いことを意味しています。

その他にも、注意が行き届いていて丁寧なことの意味も持っています。

表現方法は「丁重にお詫び」「丁重に謝罪」「丁重にお断り」

「丁重にお詫びする」「丁重に謝罪する」「丁重にお断りする」「丁重に断る」「丁重にお礼をする」「丁重なご連絡」などが、丁重を使った一般的な言い回しです。

丁重の使い方

「今回は丁重に断るしかない」「訪問して丁重にお詫びする」「ご丁重なご挨拶恐れ入ります」「丁重にお断りする文章を考える」などの文中で使われている丁重は、「礼儀正しく手厚いこと」の意味で使われています。

一方、「会食では丁重なもてなしを受けた」「丁重に扱う必要がある案件だ」「丁重さや気配りを大事にした接客だ」などの文中で使われている丁重は、「注意が行き届いていて丁寧なこと」の意味で使われています。

丁重という言葉は、日常会話よりもビジネスシーンや改まった場面で使われることが多い言葉です。上記の例にあるように、丁重には二つの意味がありますが、どちらにしても相手を敬うというニュアンスがある言葉です。

丁重の読み方

丁重は「ていちょう」と読み「鄭重」とも書きますが、「鄭」は常用外漢字のため、一般に丁重と書き表します。なお、鄭重は「ていじゅう」と読んで、手厚く遇することの意味も持ちますが、丁重には、そのような読み方も意味もありません。

「慇懃丁重」の意味

丁重を用いた四字熟語には、「慇懃丁重」(いんぎんていちょう)があり、非常に丁寧なことや手厚いことを意味します。慇懃も丁重も、ともに礼儀正しく丁寧なことを意味する言葉です。ちなみに、丁寧すぎてかえって誠意が感じられず無礼であるさまを表す言葉に「慇懃無礼」があります。

丁重の対義語

丁重の対義語・反対語としては、物事の扱い方などが丁寧でないことを意味する「粗略」、やり方などがいい加減であることを意味する「適当」などがあります。

丁重の類語

丁重の類語・類義語としては、真心がこもっていて礼儀正しいことを意味する「慇懃」(読み方:いんぎん)、細かいところまで行きとどいていて丁寧なことを意味する「入念」などがあります。

丁重の重の字を使った別の言葉としては、注意深くて軽々しく行動しないことを意味する「慎重」、言動を慎んで軽はずみなことをしないことを意味する「自重」などがあります。

丁寧の意味

丁寧とは

丁寧とは、細かいところまで気を配ること、注意深く入念にすることを意味しています。

その他にも、言動が礼儀正しく配慮が行き届いていることの意味も持っています。

表現方法は「丁寧にする」「丁寧なおもてなし」「丁寧すぎる」

「丁寧にする」「丁寧なおもてなし」「丁寧すぎる」などが、丁寧を使った一般的な言い回しです。

丁寧の使い方

「丁寧かつ迅速なサービスだった」「丁寧な仕事ぶりが評価された」「丁寧な暮らしには程遠い生活だ」などの文中で使われている丁寧は、「細かいところまで気を配ること」の意味で使われています。

一方、「丁寧な言葉遣いを心掛ける」「丁寧すぎて回りくどい表現だ」「バカ丁寧な話し方をする人だ」などの文中で使われている丁寧は、「言動が礼儀正しく配慮が行き届いていること」の意味で使われています。

丁寧の由来は楽器

丁寧という言葉は、楽器の名に由来します。 古代中国の軍隊で、警戒や注意を知らせるために鳴らす楽器が「丁寧」と呼ばれ、そこから注意深くすることを「丁寧」と言うようになりました。転じて、細かい点まで注意が行き届いていることや、礼儀正しく手厚いことの意味を持っています。

「馬鹿丁寧」の意味

丁寧を用いた日本語には「馬鹿丁寧」があり、並みはずれて丁寧なことを意味します。馬鹿という言葉は、度が過ぎることを表しており、他にも、「馬鹿正直」や「馬鹿騒ぎ」という言葉があります。丁寧はプラスイメージの言葉ですが、馬鹿丁寧はマイナスイメージになるので使う時には注意が必要です。

「懇切丁寧」の意味

丁寧を用いた四字熟語には「懇切丁寧」があり、細かいところまで注意が行き届き、とても手厚くて親切なことを意味します。とても手厚くて親切なことを表す「懇切」と、細かいところまで行き届いているさまを表す「丁寧」が組み合わさった熟語です。「懇切丁寧に説明する」などと使います。

丁寧の対義語

丁寧の対義語・反対語としては、仕事を最後までやり遂げずに途中で投げ出すさまを意味する「いい加減」、いい加減に物事をするさまを意味する「ぞんざい」などがあります。

丁寧の類語

丁寧の類語・類義語としては、細かいところにまで注意を払い心を込めて丁寧に行うことを意味する「丹念」、手落ちがなくすべてに行き届いていることを意味する「周到」などがあります。

丁寧の寧の字を使った別の言葉としては、無事でやすらかなことを意味する「安寧」、穏やかな年や平和な年月を意味する「寧歳」などがあります。

丁重の例文

1.顧客から製品クレームを受けたら、丁重にお詫びの言葉を伝えるとともに早急に対処する姿勢を示すことが肝要である。
2.お客様をお迎えしたら、下座ではなく上座にお通しして丁重に扱うように。
3.角が立たないよう、丁重にお断りするよう部下に伝えた。
4.先日はご丁重なお見舞いをいただき、 誠にありがとうございました。
5.以前は「行く」の謙譲語に「伺う」と「参る」があったが、現在「参る」は丁重語に分類されている。
6.嫌いな相手の頼みごとにここぞとばかりに丁重にお断りさせていただきますと意趣返ししてやった。
7.海外から初めて日本に来たというお客様を丁重に接待するよう社長直々の依頼を受けた。
8.我が社は大変古風な会社なので、神経を尖らせて常に丁重な言動を心がけていないとお叱りを頂いてしまう。
9.旅館の女将の娘さんが運営を手伝っていたのだが、慇懃丁重で快い接客をしてくれ感嘆するとともに自分の息子に見習わせたいと思った。
10.パンに異物が混入いていたので販売元に電話をしたところ、わざわざ家まで来て丁重な謝罪をしてくれた上、高額な商品券まで渡してくれた。

この言葉がよく使われる場面としては、礼儀正しく手厚いこと、注意が行き届いていて丁寧なことを表現したい時などが挙げられます。

例文1から例文3のように、丁重は「お詫び」「扱う」「断る」という言葉と一緒に使われることが多い言葉です。例文4にある「ご丁重」とは、接頭辞の「ご」をつけることにより敬語になり、相手の言葉や態度などが礼儀正しくて丁寧であることを表現します。

例文5にある丁重語とは、2007年に文化審議会が示した敬語の分類の一つです。かつて敬語は「尊敬語、謙譲語、丁重語」の3種類でしたが、現在は「尊敬語、謙譲語、丁重語、丁寧語、美化語」の5種類に分類されています。

丁寧の例文

1.丁寧な暮らしブログに感化されて、手作りやエコにこだわってみたが、疲れるしお金もかかるし続けられなかった。
2.丁寧な暮らしのルール本を友人に勧められて読んでみたが、読んでるだけで疲れてしまった。
3.一日一日を丁寧に生きることは、忙しい毎日を送るビジネスマンには難しいことだろう。
4.上司に丁寧語の使い方がおかしいと指摘されてしまった。
5.相手を不快にさせない、上手で丁寧な断り方を知っておくと何かと役に立つだろう。
6.丁寧にやれば遅いと言われ、急いでやれば雑と言われる、いい仕事をするのは難しいことだ。
7.昔よく使った旅館は、室内の備品全てに懇切丁寧に手書きの使い方の紙が貼られていた。
8.丁寧な字が書かれているとそれだけで気分が随分と良くなるので、私ももっとうまい字を書けるようになろうと美文字講座に参加することにした。
9.その不動産屋の「懇切丁寧に真心込めて対応します」との宣伝に心を惹かれそこで新居を探すことにしたが、実際は担当者の表情は暗く扱いも雑だった。
10.冗談を言い合うような仲の友人が突然馬鹿丁寧に接してくるようになったので何か裏があるのではないかと思っていたところ、友人は金を貸してくれと頼み込んできた。

この言葉がよく使われる場面としては、細かいところまで気を配ること、言動が礼儀正しく配慮が行き届いていることを表現したい時などが挙げられます。

例文1や例文2にある「丁寧な暮らし」とは、些細な事にもこだわって生活することを表し、保存食を作ったり縫物をしたり、趣味の要素も交えて家事などを丁寧に行うことです。例文4にある「丁寧語」とは、相手に対し敬意を表し「です」「ます」の助動詞をつけて丁寧にいう言い方です。

丁重と丁寧という言葉は、どちらも特別なさまを表す言葉です。どちらの言葉を使うか迷った場合、相手に対しての礼儀正しさや配慮を表現したい時は「丁重」を、自分の行いが礼儀正しく配慮があることを表現したい時は「丁寧」を使うようにしましょう。

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