【発想】と【着想】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「発想」(読み方:はっそう)と「着想」(読み方:ちゃくそう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「発想」と「着想」という言葉は、どちらも「頭に浮かぶアイデア」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




発想と着想の違い

発想と着想の意味の違い

発想と着想の違いを分かりやすく言うと、発想とはアイデア全般を表し、着想とは仕事や計画を進めるためのアイデアを表すという違いです。

発想と着想の使い方の違い

一つ目の発想を使った分かりやすい例としては、「思いがけない角度から斬新な発想を生み出す」「発想力を鍛える方法はありますか」「情報が多すぎて発想が貧困になる」「人に伝わるイラストを発想できるようになりたい」などがあります。

二つ目の着想を使った分かりやすい例としては、「新たな着想を得て企画に結び付ける」「童話の世界から着想を得る」「新しい着想を具体化した者が発明者です」「子どもの遊びから着想を得てヒット商品を生み出した」などがあります。

発想と着想の使い分け方

発想と着想という言葉は、どちらも頭に浮かぶ考えやアイデアを表しますが、厳密な意味や使い方には違いがあります。

発想とは、頭に浮かんだ新しい考えや思いつきを意味し、日常会話からビジネスシーンで使用される言葉です。「作品の発想」のような使い方で芸術分野でも、「発想記号」などの使い方で音楽分野でも用いられ、幅広い領域で用いられています。

着想とは、ある物事を成し遂げるための工夫やアイデアを意味し、主にビジネスシーンで使用されています。「着想を得る」の言い回しで、外部からの刺激などから考えを獲得することを表現することが多い言葉です。

つまり、発想とは分野にとらわれずアイデア全般を指し、着想とは仕事を進めるうえでのアイデアを指します。二つの言葉を比べると、着想よりも発想の方が広い意味を持ち、汎用性のある言葉だと言えるでしょう。

発想と着想の英語表記の違い

発想も着想も英語にすると「idea」「conception」となり、例えば上記の「斬新な発想」を英語にすると「a novel idea」となります。

発想の意味

発想とは

発想とは、物事を考え出すこと、新しい考えや思いつきを得ることを意味しています。

その他にも、「芸術作品など、表現のもとになる考えを得ること」「音楽で、楽曲のもつ気分や情緒を緩急・強弱などによって表現すること」の意味も持っています。

発想の読み方

発想の読み方は「はっそう」です。同じ読み方をする熟語に「発送」や「発走」がありますが、意味が異なるため書き間違いに注意しましょう。

表現方法は「発想力」「発想をする」

「発想力」「発想をする」などが、発想を使った一般的な言い回しです。

発想の使い方

「彼は発想力が高いアイデアマンである」「英語圏の文化や発想の違いに理解を示す」「セキュリティ対策には発想の転換が必要だ」などの文中で使われている発想は、「物事を考え出すこと」の意味で使われています。

一方、「アート思考はゼロから生み出す発想法です」の文中で使われている発想は「表現のもとになる考えを得ること」の意味で、「曲のイメージを発想記号で表現する」の文中で使われている発想は「楽曲のもつ気分や情緒を表現すること」の意味で使われています。

発想とは、上記の例文にあるように複数の意味を持ちますが、一般的には「考え出すこと、新しい考えや思いつきを得ること」の意味で用いられる言葉です。発想の「発」は物事を引き起こすことや生じさせること、「想」は考えや思いあるいは芸術作品などの構想を表します。

「発想記号」の意味

発想を用いた日本語には「発想記号」があります。発想記号とは、楽曲演奏上の表現方法を指示する、譜面上の記号を意味します。速度記号や強弱記号のほか、スラー、スタッカートなどの奏法を指示する記号のことです。

発想の対義語

発想の対義語・反対語としては、形だけ似た動作をすることを意味する「真似」などがあります。

発想の類語

発想の類語・類義語としては、ふと浮かんだ考えや思いついたことを意味する「思いつき」、考えが浮かぶことを意味する「考え付く」、創作や思考の過程で瞬間的に浮かぶ考えを意味する「インスピレーション」などがあります。

着想の意味

着想とは

着想とは、ある物事を遂行するための工夫や考え、思いつき、アイデアを意味しています。

着想の読み方

着想の読み方は「ちゃくそう」です。誤って「きそう」「じゃくそう」などと読まないようにしましょう。

表現方法は「着想を得る」「着想する」「着想した」

「着想を得る」「着想する」「着想した」などが、着想を使った一般的な言い回しです。

着想の使い方

着想を使った分かりやすい例としては、「臨床から着想を得る」「日本家屋が着想の源になっています」「今までにない着想を得る方法をご紹介します」「ストレングスファインダーから診断ツールの着想を得た」などがあります。

その他にも、「伝統工芸品から着想を得て制作しました」「インドにおける英語の授業に着想を得る」「着想源の秘密をあなたにだけ教えましょう」「日本の神話から着想を得た異世界ファンタジーです」などがあります。

着想の「着」は訓読みで「つく」と読み、関わりを持つことや定まった状態がつくられることを表します。思いや考えを表す「想」と組み合わさり、着想とは、物事をうまく進めるための工夫やアイデアを意味します。

「妄想着想」の意味

着想を用いた日本語には「妄想着想」があります。妄想着想とは、突然何らかの原因や動機がなく、異常な考えを思いつき確信することを意味する心理用語です。主に、統合失調症の特徴的な妄想として知られています。

着想の対義語

着想の対義語・反対語としては、他のものをまねることや似せることを意味する「模倣」などがあります。

着想の類語

着想の類語・類義語としては、考えをつけることや工夫をこらすことを意味する「着意」、思いつくことや考え出すことを意味する「発意」、工夫して考え出すことを意味する「考案」などがあります。

発想の例文と使い方

1.豊かに生きるための発想力や想像力を育むためには、幼児期の過ごし方が重要です。
2.ブレインストーミングはアイデアを発想するための手法で、新規事業のアイデア出しにも有効です。
3.脳の使い方を変えると、さまざまな発想が湧き上がるかもしれません。
4.たとえ語彙力が乏しくても、発想の転換で英語を言い換えれば英会話を楽しむことができます。
5.楽曲のフレーズをどう解釈するかを伝えるために、できるだけ発想記号を使うようにしています。

この言葉がよく使われる場面としては、考えが浮かぶこと、考えのもとになる思いつき、思想や感情などをある形に構成して表現すること、楽曲のもつ気分を的確に表現するための演奏の緩急や強弱などを表現したい時などが挙げられます。

上記の例文にあるように、発想の慣用的な言い回しには「発想力」「発想する」「発想の転換」などがあります。「発想力」とは、アイデアを生み出す能力を意味します。「発送の転換」とは、考えや物の見方の角度を変えることです。

着想の例文と使い方

1.人気を博しているファッションデザイナーは、仕事から離れているときにこそ新作の着想を得ることを明かした。
2.遺伝子研究から着想した美容液はSNSで話題となっており、どのお店でも品薄の状態です。
3.事業アイデアを既存事業から着想する方法は、独自の強みを活かしたビジネスとなります。
4.この曲はロック調に仕上がっていますが、実は中国語の発音から着想したものです。
5.消費者と接することが着想をもたらすと考え、企画職を目指す者には営業を経験してもらっています。

この言葉がよく使われる場面としては、仕事や計画などの糸口となるような考え、工夫を表現したい時などが挙げられます。

上記の例文にあるように、着想という言葉はビジネスシーンで使用されることが多くあります。着想の慣用的な言い回しには、「着想を得る」「着想する」「着想をもたらす」などがあります。

発想と着想という言葉は、どちらも「頭に浮かんだアイデア」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、あらゆるアイデアを表現したい時は「発想」を、仕事や計画を進めるためのアイデアを表現したい時は「着想」を使うようにしましょう。

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