似た意味を持つ「当職」(読み方:とうしょく)と「小職」(読み方:しょうしょく)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「当職」と「小職」という言葉は、どちらも第一人称を表しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
当職と小職の違い
当職と小職の意味の違い
当職と小職の違いを分かりやすく言うと、当職とは弁護士などの士業の一人称を表し、小職とは公務員や会社員の役職付の一人称を表すという違いです。
当職と小職の使い方の違い
一つ目の当職を使った分かりやすい例としては、「当職は割に合わないので転職を考えている」「当職宛に送付してください」「当職は弁護士と会計士の資格を兼ね備えています」「当職そこが知りたかったのです」などがあります。
二つ目の小職を使った分かりやすい例としては、「小職の立場をわきまえて任務を遂行するのみ」「小職宛てにメールでお送りください」「ご不明な点は小職までご照会ください」「小職がお伺いいたします」などがあります。
当職と小職の使い分け方
当職と小職という言葉は、ビジネスシーンにおいて「自分」や「私」を意味する一人称を表す時に使われている言葉ですが、使い分けが必要です。当職は弁護士や公認会計士などの士業の人に使われ、小職は、公務員や会社員の役職付の人がへりくだった表現として使われています。
二つの言葉は、一人称を表すだけでなく、それぞれ違う意味も持っています。当職という言葉は、この職務や現在の職業の意味も持ち、小職という言葉は、地位の低い官職の意味も持っています。これらが、当職と小職という言葉の明確な違いになります。
当職と小職の英語表記の違い
当職を英語にすると「this duty」「this task」「this job」となり、例えば上記の「当職は割に合わない」を英語にすると「this job doesn’t pay」となります。
一方、小職を英語にすると「lowly government servant」「humble government servant」「I」となり、例えば上記の「小職の立場」を英語にすると「position of lowly government servant」となります。
当職の意味
当職とは
当職とは、この職業・職務を意味しています。
その他にも、現在の職業・職務の意味も持っています。
表現方法は「当職は」「当職としては」「当職宛て」
「当職は」「当職としては」「当職宛て」などが、当職を使った一般的な言い回しです。
当職の使い方
「当職は著作権案件を得意とする弁護士です」「当職は土地家屋調査士です」「当職宛てにご連絡ください」「当職は個人情報を適切に管理している」「当職らの個人的な見解である」などの文中で使われている当職は、「この職業・職務」の意味で使われています。
一方、「一身上の都合により当職を退くことにした」「当職では人材サービスに携わっている」「現職の経験を活かして転職したい」などの文中で使われている当職は、「現在の職業・職務」の意味で使われています。
当職は弁護士・税理士・社会保険労務士が使う言葉
当職という言葉は上記の例にあるように二つの意味を持っており、特に、弁護士や税理士、社会保険労務士などのいわゆる「士業」の一人称を表す言葉として使われています。士業は会社組織ではなく、それぞれが独立して業務を行うため、「当職」と表現されています。
当職を一人称として使う場合、一般の会社員は使えません。ただし、「現在の職業」という意味で使う場合は士業だけでなく他の職業にも使えます。つまり、民間企業の会社員が「当職を退く」という使い方はできますが、「当職宛てにご送付ください」は誤った用法になります。
当職の対義語
当職の対義語・反対語としては、 以前に従事していた職業や職務を意味する「前職」などがあります。
当職の類語
当職の類語・類義語としては、現在ある職務に就いていることやその職業や職務を意味する「現職」、官職にある者が自分をさしていう語を意味する「本官」、その人が主とする職業を意味する「本職」などがあります。
当職の当の字を使った別の言葉としては、そのことに直接関係する人や本人を意味する「当人」、ある仕事や任務を処理する立場にあることを意味する「当局」、一定の事柄を受け持つことを意味する「担当」などがあります。
小職の意味
小職とは
小職とは、地位の低い官職を意味しています。
その他にも、官職についている人が自分をへりくだっていう語の意味も持っています。
表現方法は「小職にて対応」「小職までご連絡下さい」「小職宛て」
「小職にて対応」「小職までご連絡下さい」「小職宛て」などが、小職を使った一般的な言い回しです。
小職の使い方
「小職の立場で僭越ですがお話があります」「小職として職務を全うするのみ」「自分には地方の小職が居心地がよい」「町役場の小職の傍ら農業を営む」などの文中で使われている小職は、「地位の低い官職」の意味で使われています。
一方、「小職は労働基準監督官です」「書類は小職宛てにご送付ください」「小職までお問い合わせください」などの文中で使われている小職は、「官職についている人が自分をへりくだっていう語」の意味で使われています。
小職の読み方
小職は「しょうしょく」と読みます。「こじょく」とも読みますが、この場合、江戸時代に芸者のもとで雑用をする女児を意味し、意味が異なるので注意しましょう。
小職の由来
小職という言葉は、もともと地位の低い官職を意味する言葉であり、その意味が転じて、官職についている人が自分をへりくだっていう語になりました。官職とは今で言うところの公務員のことですが、現在、小職は公務員だけでなく民間企業のある役職にある人も使うようになっています。
小職はが役職についている人が使う言葉
小職は、役職についている人が自分のことを控えめに表現する一人称のことです。話し言葉ではあまり使われず、メールや手紙などの文語として使われています。男性でも女性でも使用できますが、役職がついていない平社員や新入社員が小職という言葉を使うことは出来ないことを覚えておきましょう。
小職の対義語
小職の対義語・反対語としては、高い位の官職や役人などを敬っていう二人称の人代名詞を意味する「貴職」、男性が対等または目下の男性に対して用いる二人称の人代名詞を意味する「貴公」などがあります。
小職の類語
小職の類語・類義語としては、自分の属している方やこちらを意味する「当方」、官吏が自分を謙遜していう語を意味する「小官」、地位の低い役人を意味する「小吏」などがあります。
小職の小の字を使った別の言葉としては、身分が低いことを意味する「小身」、臣下が自分をへりくだっていう語を意味する「小臣」、気が小さくて臆病なことを意味する「小心」などがあります。
当職の例文
この言葉がよく使われる場面としては、この職業や職務、現在の職業や職務を表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文4にある当職は、弁護士の一人称として使われています。当職という言葉は、士業にある人が「私」「自分」を表す一人称として使われることが多くあります。
例文5にある「当職員」とは、「当」と「職員」が組み合わさった言葉であり、官公庁・病院・学校などに籍を置く人を表し、「当」は「わたくしどもの」の意味があります。
小職の例文
この言葉がよく使われる場面としては、地位の低い官職、官職についている人が自分をへりくだっていう語を表現したい時などが挙げられます。
例文2にある「小職宛」とは、 役職付の人が自分宛にメールや郵便物を送ってほしい時に使う言葉です。「私」ではなく「小職」を用いることで、相手に対して自分をへりくだった表現になります。例文3にある「小生」とは、男性が自分のことを控えめに表現する際に使う一人称の言葉です。
当職と小職という言葉は、一人称を表す言葉です。どちらの言葉を使うか迷った場合、士業の人の第一人称を表現したい時は「当職」を、公務員や会社員の役職付の人の第一人称を表現したい時は「小職」を使うようにしましょう。