似た意味を持つ「傲慢」(読み方:ごうまん)と「高慢」(読み方:こうまん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「傲慢」と「高慢」という言葉は、どちらも「おごりたかぶるさま」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
傲慢と高慢の違い
傲慢と高慢の意味の違い
傲慢と高慢の違いを分かりやすく言うと、傲慢とは思い上がりから自分本位に行動すること、高慢とは自惚れて人を見下すことという違いです。
傲慢と高慢の使い方の違い
一つ目の傲慢を使った分かりやすい例としては、「彼の傲慢な態度には腹が立つ」「なんて傲慢な政治家の発言だろう」「傲慢で自己中心的な考えを持った人だ」「傲慢な人は嫌われる」「傲慢な性格を直したい」などがあります。
二つ目の高慢を使った分かりやすい例としては、「あの高慢の鼻を折ってやりたい」「高慢な女優だが人気がある」「転入生の高慢な態度に嫌悪感を抱いた」「彼の高慢ちきな所は変わっていない」などがあります。
傲慢と高慢の使い分け方
傲慢と高慢という言葉は、音の響きが似ており、どちらも「おごりたかぶって人を見下すさま」を表すマイナスイメージのある言葉です。二つの言葉は似たような表現をする言葉ですが、厳密には意味は異なります。
傲慢とは、他人をあなどり思い上がった態度を取り、自己本位に行動するさまを意味します。一方の高慢とは、自己の能力や容貌などが優れているとう自惚れて、人を軽蔑するさまを意味します。
つまり、傲慢は思い上がった心が行動や振る舞いに現れていることですが、高慢は思い上がった心にとどまっています。傲慢と高慢という言葉を比べると、周囲に迷惑な行動をとる傲慢の方が、悪質なイメージを持つ言葉と言えるでしょう。
傲慢と高慢の英語表記の違い
傲慢を英語にすると「arrogance」「insolence」「hauteur」となり、例えば上記の「傲慢な態度」を英語にすると「an attitude of arrogance」となります。
一方、高慢を英語にすると「pride」「boastful」「self-conceited」となり、例えば上記の「高慢の鼻を折る」を英語にすると「humble a person’s pride」となります。
傲慢の意味
傲慢とは
傲慢とは、おごりたかぶって人を見下すことを意味しています。
表現方法は「傲慢な性格」「傲慢な人」「傲慢な態度」
「傲慢な性格」「傲慢な人」「傲慢な態度」などが、傲慢を使った一般的な言い回しです。
傲慢の使い方
傲慢を使った分かりやすい例としては、「傲慢な性格で周囲に疎まれている」「傲慢な人の対処法を知りたい」「見識がある人は傲慢にならない」「傲慢と善良をテーマにした小説だ」「傲慢無礼な人だな」などがあります。
その他にも、「傲慢な人に振り回されてしまう」「立場が弱い者には傲慢な態度を取る」「自分の傲慢さに気付くことができた」「彼の傲慢な振る舞いに嫌気がさす」「傲慢不遜な人は周囲に煙たがられる」などがあります。
傲慢という言葉は、あなどることや人を見下すことを表す「傲」、他をみくびっておごることを表す「慢」が組み合わさった熟語です。傲慢とは、おごりたかぶって人をあなどることや、人をみくだして礼儀を欠くことを意味する言葉です。
傲慢という言葉を用いた四字熟語には「傲慢不遜」「傲慢無礼」があります。
四字熟語「傲慢不遜」の意味
「傲慢不遜」は、おごりたかぶって人を見下すさまや、思いあがって謙虚さのないさまを意味します。
四字熟語「傲慢無礼」の意味
「傲慢無礼」は、おごりたかぶって、他人をあなどり、礼儀を知らないような態度をとることを意味します。
傲慢の対義語
傲慢の対義語・反対語としては、控え目でつつましいことや相手の意見などを受け入れることを意味する「謙虚」、言動をひかえめにすることを意味する「謹慎」、慎み深くへりくだることを意味する「恭謙」などがあります。
傲慢の類語
傲慢の類語・類義語としては、へりくだる気持ちがないことや思いあがっていることを意味する「不遜」、人に対して威圧的な態度をとるさまを意味する「居丈高」、人を無視した態度をとることや無遠慮なことを意味する「横柄」などがあります。
高慢の意味
高慢とは
高慢とは、自分の才能や容貌などが人より優れていると思い上がって、人を見下すことを意味しています。
表現方法は「高慢な態度」「高慢になる」「高慢な人」
「高慢な態度」「高慢になる」「高慢な人」などが、高慢を使った一般的な言い回しです。
高慢の使い方
高慢を使った分かりやすい例としては、「自惚れが大きい高慢な人だ」「高慢な振る舞いが鼻につく」「高慢に人を見下している」「彼女は高慢な社長令嬢だ」「自慢高慢馬鹿のうちと言うから相手にするな」などがあります。
その他にも、「あの高慢ちきとは口を利きたくない」「いつか彼の高慢の鼻を折るつもりだ」「高慢は鼻持ちならないものだ」「知らず知らずのうちに高慢になっていた」「高慢は出世の行き止まりとはよく言ったものだ」などがあります。
高慢という言葉の「高」とは、高さだけでなく、偉そうにすることの意を持っています。あなどるという意を持つ「慢」と結びつき、高慢とは、自分は才能や能力、容貌などが優れていると自惚れて、人を見下すことを意味する言葉です。
「高慢ちき」の意味
高慢という言葉を用いた日本語には「高慢ちき」があり、いかにも高慢で憎らしいことを意味し、高慢な人をののしっていう語として使われています。例えば「高慢ちきな小娘だ」と表現した場合、「高慢な小娘」よりも悪口や非難する気持ちを表します。
高慢の対義語
高慢の対義語・反対語としては、へりくだることや控え目な態度をとることを意味する「謙遜」、うやまいつつしむ気持ちの深いさまを意味する「敬虔」、自分を劣ったものとしていやしめることを意味する「卑下」などがあります。
高慢の類語
高慢の類語・類義語としては、おごり高ぶることや自慢する気持ちを意味する「慢心」、いばって他人を見下げるような態度をとることを意味する「尊大」、おごり高ぶることや自慢する気持ちを意味する「慢心」などがあります。
傲慢の例文
この言葉がよく使われる場面としては、おごりたかぶって人を見下すことを表現したい時などが挙げられます。
例文4にある「傲慢不遜」とは、人を見下し思い上がる様子を表わした四字熟語です。「傲岸不遜」とも言います。例文5の「キリスト教の七つの大罪」とは、七つの欲望のことであり、傲慢・貪欲・邪淫・憤怒・貪食・嫉妬・怠惰を指します。
高慢の例文
この言葉がよく使われる場面としては、自分の才能や容貌などが人より優れていると思い上がって、人を見下すことを表現したい時などが挙げられます。
例文1にある「高慢さが鼻につく」とは、高慢な感じがうっとうしくつきまとって気に入らない様子を表しています。例文4にある「高慢な態度」とは、人を見下したような態度であり、上から目線の態度のことです。
傲慢と高慢という言葉は、どちらも「おごりたかぶり人を見下すこと」を意味します。どちらの言葉を使うか迷った場合、思い上がりから自分本位に行動することを表現したい時は「傲慢」を、自惚れて人を見下すことを表現したい時は「高慢」を使うようにしましょう。