似た意味を持つ「腹いせ」(読み方:はらいせ)と「八つ当たり」(読み方:やつあたり)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「腹いせ」と「八つ当たり」という言葉は、どちらも怒りや不満を発散することを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「腹いせ」と「八つ当たり」の違い
「腹いせ」と「八つ当たり」の意味の違い
「腹いせ」と「八つ当たり」の違いを分かりやすく言うと、「腹いせ」は原因となった相手に仕返しすること、「八つ当たり」は関係のない相手に不満をぶつけることという違いです。
「腹いせ」と「八つ当たり」の使い方の違い
一つ目の「腹いせ」を使った分かりやすい例としては、「試合に負けた腹いせに相手チームのベンチを荒らしました」「彼は振られた腹いせに元カノの噂を広めた」「腹いせにSNSで悪口を書き込むのはやめたほうがいいです」「失敗した上司に腹いせをする」などがあります。
二つ目の「八つ当たり」を使った分かりやすい例としては、「イライラして八つ当たりしたことを後悔しています」「仕事が上手くいかないからといって他人に八つ当たりするのは良くないです」「仕事のストレスを家族に八つ当たりする」などがあります。
「腹いせ」と「八つ当たり」の使い分け方
「腹いせ」と「八つ当たり」はどちらも怒りや不満を発散することを意味する言葉ですが、使い方に少し違いがあるので注意が必要です。
「腹いせ」は「自分が不利益を被ったので、その仕返しとして腹いせをする」のように、特定の相手や原因に対して意図的に仕返しをする行為に対して使う言葉になります。
一方、「八つ当たり」は「仕事で嫌なことがあったからといって家族に八つ当たりする」のように、本来関係のない相手に対して怒りや不満をぶつける行為に対して使う言葉です。
つまり、原因となった相手に仕返しするのが「腹いせ」、関係のない相手に不満をぶつけるのが「八つ当たり」と覚えておきましょう。
「腹いせ」と「八つ当たり」の英語表記の違い
「腹いせ」を英語にすると「revenge」 「retaliation」 「venting frustration」となり、例えば上記の「失敗した上司に腹いせをする」を英語にすると「He took revenge on his boss for the failure」となります。
一方、「八つ当たり」を英語にすると「taking it out on someone」 「lashing out」 「misdirected anger」となり、例えば上記の「仕事のストレスを家族に八つ当たりする」を英語にすると「He takes his work stress out on his family」となります。
「腹いせ」の意味
「腹いせ」とは
「腹いせ」とは、怒りや恨みをはらすことを意味しています。
表現方法は「腹いせをする」「腹いせする人」
「腹いせをする」「腹いせする人」などが、「腹いせ」を使った一般的な言い回しになります。
「腹いせ」の使い方
「腹いせ」を使った分かりやすい例としては、「上手くいかなかった腹いせで物に当たるのは情けない」「彼は理不尽な扱いを受けた腹いせに無断欠勤したらしいです」「試験に落ちた腹いせで先生に嫌がらせをしました」「彼女は失恋の腹いせに高額な買い物をしたそうだ」などがあります。
「腹いせ」は自分が受けた不満や怒り、悔しさなどの負の感情を別の形で晴らそうとする行為を表す言葉です。
「腹いせ」の特徴
「腹いせ」は怒りや不満をそのまま我慢できずに、自分の中で処理できなかった感情を何らかの形で外にぶつける時に生まれる行動になります。
「腹いせ」は特定の相手や原因に対して意図的に仕返しをする行為に対して使う言葉です。そのため、関係のない相手に不満をぶつけるのではなく、関係がある相手に対して使うというのが特徴です。
「腹いせ」の類語
「腹いせ」の類語・類義語としては、そばに居て災いが降りかかることを意味する「とばっちり」などがあります。
「八つ当たり」の意味
「八つ当たり」とは
「八つ当たり」とは、腹を立てて関係のない人にまで当たり散らすことを意味しています。
表現方法は「八つ当たりする人」「八つ当たりできる相手」
「八つ当たりする人」「八つ当たりできる相手」などが、「八つ当たり」を使った一般的な言い回しになります。
「八つ当たり」の使い方
「八つ当たり」を使った分かりやすい例としては、「彼は疲れるとすぐに家族に八つ当たりする」「ストレスが溜まるとすぐに周りに八つ当たりする人がいます」「母に叱られた腹いせで弟に八つ当たりした」「八つ当たりばかりしていると人が離れていくと思います」などがあります。
「八つ当たり」は自分の中に溜まった怒りや苛立ちなどの負の感情を、全く関係のない他者や物事にぶつけてしまう行為を表す言葉です。簡単に言うならば、本来向けるべき相手とは違う相手に理不尽に怒りをぶつけることを指します。
「八つ当たり」の特徴
「八つ当たり」は何の関係もない家族にきつく当たってしまったり、思い通りにいかないことが続いたときに、近くにいた友人に強く当たってしまったりする場合によく使う言葉です。そのため、本来関係のない相手に対して怒りや不満をぶつける行為に対して使うというのが特徴です。
「八つ当たり」をしないためには、自分の感情の動きを客観的に把握し、怒りの原因を見つめ直すことが大切と言われています。
「八つ当たり」の類語
「八つ当たり」の類語・類義語としては、つらさや不愉快さなどを除いたり忘れたりするために気をまぎらわすことを意味する「憂さ晴らし」などがあります。
「腹いせ」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、怒りや恨みをはらすことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「腹いせ」は原因となった相手に仕返しする時に使う言葉です。
「八つ当たり」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、腹を立てて関係のない人にまで当たり散らすことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「八つ当たり」は関係のない相手に不満をぶつける時に使う言葉です。
「腹いせ」と「八つ当たり」はどちらも怒りや不満を発散することを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、原因となった相手に仕返しするのが「腹いせ」、関係のない相手に不満をぶつけるのが「八つ当たり」と覚えておきましょう。