【印籠を渡す】と【引導を渡す】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た日本語の「印籠を渡す」(読み方:いんろうをわたす)と「引導を渡す」(読み方:いんどうをわたす)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「印籠を渡す」と「引導を渡す」という言葉は、間違えやすい日本語なのでご注意下さい。




「印籠を渡す」と「引導を渡す」の違い

「印籠を渡す」は「引導を渡す」の間違い

「印籠を渡す」と「引導を渡す」の違いを分かりやすく言うと、「印籠を渡す」とは「引導を渡す」の間違った使い方、「引導を渡す」とは諦めるように最終的な宣告をすることです。

「印籠を渡す」は誤字

一般的には「印籠を渡す」という言葉は存在しません。読み方が似ていることから、「引導を渡す」のことを間違えて「印籠を渡す」を使っている人がほとんどです。

「引導を渡す」は正しい日本語

正しい言葉である「引導を渡す」を使った分かりやすい例としては、「成長の見込みのない社員に引導を渡す」「最近台頭してきた新人が直接対決でベテランに引導を渡す」「不倫の恋に引導を渡す」「社長は怠け者の社員に引導を渡す」などがあります。

「引導を渡す」という言葉はあっても、「印籠を渡す」という言葉は存在しません。同時に「引導を渡す」という慣用句の意味について「諦めるように最終的な宣告をすること」と覚えておきましょう。

「引導を渡す」の英語表記

「引導を渡す」を英語にすると「say a requiem」「put an end to」「notice of dismissal」「teach him a lesson」となり、例えば上記の「社長は怠け者の社員に引導を渡す」を英語にすると「The boss gave the lazy employee a notice of dismissal」となります。

「印籠を渡す」の意味

「印籠を渡す」とは

「印籠を渡す」とは、「引導を渡す」の間違った使われ方です。

「印籠を渡す」という言葉は存在せず、間違った言葉として広まっています。読み方が似ているため、「引導を渡す」と混同してしまう人が多いようですが、間違った言葉なので使わないように気を付けましょう。

「印籠を渡す」と間違えやすい理由

「印籠を渡す」と「引導を渡す」を間違えやすい理由としては、「いんろう」と「いんどう」の発音が似ているため聞き間違えていることが原因です。

「印籠を渡す」の「印籠」の意味

「印籠を渡す」の「印籠」とは腰に下げる長円筒形の三重ないし五重の小箱のことを指しています。室町時代は印や印肉を入れていた容器で、江戸時代には薬を入れるようになりました。そのため、時代劇などではよく見かけますが、現代で使われることは少ないです。

もし、「印籠を渡す」とすると、腰に下げる長円筒形の三重ないし五重の小箱を相手に渡すという意味になっており、諦めるように最終的な宣告をすることを意味する「引導を渡す」とは全く違う意味の言葉になってしまうので、間違わないように注意しましょう。

「引導を渡す」の意味

「引導を渡す」とは

「引導を渡す」とは、諦めるように最終的な宣告をすることを意味しています。その他にも、僧が葬儀の際に棺の前に立ち死者に悟りを得るように法語を唱えることの意味も持っています。

「引導を渡す」の使い方

「引導を渡す」を使った分かりやすい例としては、「無駄欠勤を繰り返す新人に引導を渡す」「結果的にこの試合で引導を渡すこととなった」「不要社員に引導を渡すことができなくて困っています」「脈がない恋に引導を渡して欲しい」などがあります。

「引導を渡す」の語源

「引導を渡す」の語源は、人々を導いて仏道に入れることから来ています。そこから、仏教の葬儀の際に、僧が棺の前に立ち死者が悟りを得るように法語を唱えることの意味で使われるようになりました。現代ではそれがさらに転じて、諦めるように最終的な宣告をすることの意味で使われています。

「引導を渡す」はクビや退職の場面で使われる

「引導を渡す」は様々な場面で使われている慣用句です。ビジネスシーンにおいて使う場合はクビや退職を促す意味で使われており、スポーツシーンにおいては契約打ち切りや引退勧告の意味で使われています。また、恋愛においても使われており、恋を諦めさせる場合や相手を振る場合に使用します。

「引導を渡してやる」は漫画やアニメで使われる

「引導を渡してやる」「引導を渡してやるこの私がな」などの言い回しは、漫画やアニメなどでよく使われています。

「引導を渡す」の類語

「引導を渡す」の類語・類義語としては、最後であることを告げることを意味する「最終宣告をする」、不要になったもの捨てることを意味する「御払い箱」などがあります。

「印籠を渡す」の例文

1.「印籠を渡す」という言葉は存在しないので、おそらく「引導を渡す」の言い間違いだろう。
2.「引導を渡す」という言葉は諦めるように最終的な宣告をすることで、「印籠を渡す」という言葉はない。
3.「印籠を渡す」という言葉は、今のところ間違いだとされているが、多くの人が使うようになれば馴染んでくるのかもしれない。
4.見込みのない選手に印籠を渡すという言葉を使う人はいるが、正しくは見込みのない選手に引導を渡すです。
5.引導を渡すのは心苦しいという言葉はあるが、印籠を渡すのは心苦しいという言葉はない。

この言葉がよく使われる場面としては、「引導を渡す」という言葉を間違えて「印籠を渡す」と表現している時などが挙げられます。

「印籠を渡す」という言葉は辞書にも載っていませんし、広く使われている言葉ではなく、「引導を渡す」を間違えて使っている可能性が高いです。

「印籠を渡す」という言葉の意味を理解した上で、あえて使っている場合以外は、「印籠を渡す」ではなく、「引導を渡す」と表現するのが正しい使い方です。

「引導を渡す」の例文

1.この3年間で全く良い成績を残せていない選手に対して、引導を渡すことにした。
2.ピアニストになりたかったが私には才能がないことに気付いてしまった。自分に引導を渡すために近々実家に帰る予定です。
3.練習を何回も遅刻するなどあまりにも素行が悪いので、所属チームから引導を渡されてしまった。
4.人事部長を長年やっているが、引導を渡す瞬間が一番心苦しいです。
5.祖父の葬儀に来たお坊さんが引導を渡したので、これでお別れだろう。

この言葉がよく使われる場面としては、諦めるように最終的な宣告をすることを表現したい時などが挙げられます。その他にも、僧が葬儀の際に棺の前に立ち死者に悟りを得るように法語を唱えることを表現したい時にも使います。

例文1から例文4は諦めるように最終的な宣告をすることの意味で使われており、例文5は僧が葬儀の際に棺の前に立ち死者に悟りを得るように法語を唱えることの意味で使っています。

「印籠を渡す」と「引導を渡す」どちらを使うか迷った場合は、「印籠を渡す」は辞書にない言葉なので、辞書に載っている言葉の「引導を渡す」を使うようにしましょう。

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