似た意味を持つ「周知徹底」(読み方:しゅうちてってい)と「周知」(読み方:しゅうち)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「周知徹底」と「周知」という言葉は、どちらも「広く人々に知らせること」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
周知徹底と周知の違い
周知徹底と周知の意味の違い
周知徹底と周知の違いを分かりやすく言うと、周知よりも周知徹底の方が、重要事項に対して使われ、漏れの無いよう知らせることを意味するという違いです。
周知徹底と周知の使い方の違い
一つ目の周知徹底を使った分かりやすい例としては、「コンプライアンス遵守を従業員に対して周知徹底する」「あらゆる機会を捉えて周知徹底に努めます」「社内イントラネットを通じて周知徹底を図る」「事業目標を周知徹底する」などがあります。
二つ目の周知を使った分かりやすい例としては、「二人が付き合っていることはクラス内で周知の事実です」「迅速に周知させる方法を検討します」「ハザードマップを地域住民への周知する必要があります」などがあります。
周知徹底と周知の使い分け方
周知徹底と周知という言葉は、どちらも世間一般に広く知れ渡っていることや、広く知らせることを表しますが、厳密な意味や使い方には違いがあります。
二つの言葉に共通する「周知」とは、広く知らせることです。例えば、職場で新しい規則やルールが作られた際に、それを職場の従業員に知らせたり伝えたりすることを「周知する」といいます。
この「周知」に、余すところなく行き渡ることを表す「徹底」が結び付いた四字熟語が「周知徹底」です。周知徹底とは、広く世間に知らせて、すみずみまで知れ渡らせることを意味します。重要事項など、漏れなく確実に告知したい場合に使用される言葉です。
二つの言葉を比べると、周知よりも周知徹底の方が重要案件に使われ、漏れなく知れ渡らせることを表現する言葉なのです。
周知徹底と周知の英語表記の違い
周知徹底を英語にすると「full dissemination」「spreading of information」となり、例えば上記の「従業員に対して周知徹底」を英語にすると「full dissemination to all employees」となります。
一方、周知を英語にすると「common knowledge」「universal knowledge」となり、例えば上記の「周知の事実」を英語にすると「a matter of common knowledge」となります。
周知徹底の意味
周知徹底とは
周知徹底とは、広くすみずみまで、きちっと知れわたらせることを意味しています。
表現方法は「周知徹底する」「周知徹底願います」「周知徹底を図る」
「周知徹底する」「周知徹底願います」「周知徹底を図る」などが、周知徹底を使った一般的な言い回しです。
周知徹底の使い方
周知徹底を使った分かりやすい例としては、「再発防止策の周知徹底を図るべきです」「改めて安全確認の周知徹底に努める」「基本方針を全社員に周知徹底する」「住民に周知徹底する効率的な方法はないものか」などがあります。
その他にも、「メールの誤送信対策を周知徹底する」「学生への周知徹底をお願いします」「このようなことがないよう社員に周知徹底させます」「周知徹底のための広報活動を強化する」「特殊詐欺被害のポスターを作成し周知徹底を行う」などがあります。
周知徹底とは、ある情報や事柄を広く世間に知らせて、隅々まで行き渡らせることを意味する四字熟語です。「周知」は広く知れわたっていること、「徹底」は中途半端でなく一貫していることや、すみずみまで行き届くことを表します。
周知徹底という言葉は、ビジネスシーンでよく用いられ、特定の組織や従業員全体に情報を漏れなく知らせることを意味します。ただし、周知徹底には堅苦しいイメージがあるので、ソフトに伝えたい場合には「情報共有」や「お知らせ」などと言い換えるとよいでしょう。
周知徹底の対義語
周知徹底の対義語・反対語としては、外部には絶対に漏らしてならないことを意味する「極秘」、事の真相などを故意に覆い隠すことを意味する「隠蔽」、人に知らせないようにすることを意味する「隠し立て」などがあります。
周知徹底の類語
周知徹底の類語・類義語としては、個々の人がもつ情報を社内やチームなどの組織全体で共有することを意味する「情報共有」、組織や住民などのグループに対して特定のことに関する注意を促すことを意味する「注意喚起」などがあります。
周知の意味
周知とは
周知とは、世間一般に広く知れ渡っていること、広く知らせることを意味しています。
表現方法は「ご周知ください」「周知願います」「周知いただく」
「ご周知ください」「周知願います」「周知いただく」などが、周知を使った一般的な言い回しです。
周知の使い方
周知を使った分かりやすい例としては、「水害の危険性を住民に周知する」「遊具の使い方を周知する」「マニュアルをメンバーに周知させる」「脱炭素の目標値が非現実的であることは周知の事実です」などがあります。
その他にも、「マイナンバー制度の周知が徹底されていない」「ビジネスメールのマナーを周知する」「これは英語教育界では周知の事実だった」「使用者は就業規則を労働者に周知させる義務があります」などがあります。
周知という言葉の「周」は手抜かりがないことや、あまねく行き渡ることを表します。言葉などで伝えることを表す「知」と組み合わさり、周知とは、広く人々の間に知れ渡ること、多くの人が知っていることを意味します。
「周知の事実」の意味
周知を用いた言い回しには「周知の事実」があります。周知の事実とは、広く知られた事実のことであり、誰もが知っている常識的な事実に対して使われる言葉です。
周知の対義語
周知の対義語・反対語としては、他人に知られないようにすることを意味する「秘密」、秘密を守ることを意味する「守秘」、人目に触れないように隠しておくことを意味する「隠匿」などがあります。
周知の類語・類義語としては、世間一般に広く知られていることを意味する「公知」、告げ知らせることを意味する「通知」、事情や様子などを知らせることを意味する「案内」、相手方に決定事項や意向などを告げ知らせることを意味する「通告」、告げ知らせることを意味する「通達」などがあります。
周知徹底の例文
この言葉がよく使われる場面としては、広く知らせて隅々まで行き渡らせることを表現したい時などが挙げられます。
例文3の文中にある「周知徹底を図る」とは、まんべんなく情報が行き渡るように努めることを意味する表現です。「図る」とは、工夫して努力することです。
周知の例文
この言葉がよく使われる場面としては、広く知れ渡っていること、広く知らせることを表現したい時などが挙げられます。
例文1の「ご周知ください」、例文2の「ご周知願います」は、相手に周知を依頼する際に使う敬語表現です。接頭語の「ご」は、主として漢語の名詞の上に付いて、尊敬の意を表わします。
周知徹底と周知という言葉は、どちらも「広く知らせること」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、重要な事柄をすみずみまで確実に知らせることを表現したい時は「周知徹底」を使うようにしましょう。