【感化】と【影響】と【触発】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「感化」(読み方:かんか)と「影響」(読み方:えいきょう)と「触発」(読み方:しょくはつ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どの言葉を使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「感化」と「影響」と「触発」という言葉は、影響を与えて変化させることという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




感化と影響と触発の違い

感化と影響と触発の意味の違い

感化と影響と触発の違いを分かりやすく言うと、感化は感情や考え方が変化する時に使い、影響は何かが変化するとは限らない時に使い、触発は目的や行動が変化する時に使うという違いです。

感化と影響と触発の使い方の違い

感化という言葉は、「新しい物語に触れるとすぐ感化されてしまう」「先生の話に感化を受けて進路を決めた」などの使い方で、感情や考え方を変化させることを意味します。

影響という言葉は、「先日の実験の影響が表れた」「生物の進化は大きな影響を及ぼす」などの使い方で、物事の力や作用が及ぶことを意味します。

触発という言葉は、「他のグループの新曲に触発されて作られた楽曲」「友人に触発されて自分も行動に移した」などの使い方で、刺激を与えて行動させることを意味します。

感化と影響と触発の使い分け方

影響は、なんらかの力が作用した後に考え方や行動が変化する感化や触発と違って、何かが作用した後でも何も変わらない場合に使うことができます。

また、作用することだけではなく、作用したその結果も意味します。そのため「影響をもたらす」と表現は「結果をもたらす」という言い方に変えることができますが、「感化をもたらす」「触発をもたらす」のような言い方に変えることはできません。

また、影響と触発は「影響する」「触発する」という能動的な使い方ををしますが、感化は「感化される」「感化を受ける」という受動的な使い方をするのがほとんどです。

これらが、感化、影響、触発の明確な違いです。

感化の意味

感化とは

感化とは、考え方や行動に影響を与えて自然にそれを変えさせることを意味しています。

表現方法は「感化される」「感化を受ける」「感化させる」

「感化される」「感化を受ける」「感化させる」などが、感化を使った一般的な言い回しです。

感化を使った言葉として、「感化院」「感化事業」があります。

「感化院」の意味

一つ目の「感化院」とは、犯罪などの不良行為をするおそれなどがある児童や、生活指導を要する児童を入所ないし通所させて必要な指導を行い自立を支援する福祉施設を指す言葉です。

1900年に感化法が制定されて設置が義務付けられ、1933年には「少年教護院」、1947年には「教護院」と名称を変えて、現在では児童自立支援施設と呼ばれています。

「感化事業」の意味

二つ目の「感化事業」とは、犯罪行為や不良行為を行った者や、そのおそれのある少年少女らを保護し、矯正教育を施す事業を指す言葉です。日露戦争後から一般化した名称で、貧民の救済などの社会事業と合わせて、当時は感化救済事業と呼ばれました。

感化の類語

感化の類語・類義語としては、良い感化を受けることや与えることを意味する「薫染」(読み方:くんせん)、なびき従うことを意味する「風動」、他のものに力を及ぼして影響を与えることを意味する「作用」などがあります。

影響の意味

影響とは

影響とは、物事の力や作用が他のものにまで及ぶことを意味しています。また、作用が及んだ結果も意味します。

表現方法は「影響を受ける」「影響を与える」「影響が出る」

影響を使った表現として、「影響を受ける」「影響を与える」「影響が出る」「影響が表れる」「影響をもたらす」「影響を及ぼす」「影響されやすい」「影響が小さい」などがあります。どれもビジネス会話や日常生活など様々なところで使われます。

また、「影響を受ける」「影響されやすい」などは感化や触発などに置き換えて使うことができますが、他の表現では何らかの効果などを受けた結果を意味して影響という言葉が使われているため、「感化が出る」「触発が小さい」などのようには使えません。

影響の類語

影響の類語・類義語としては、物事の成り行きや結果を意味する「首尾」、意外な出来事などによって強く心を揺り動かされることを意味する「衝撃」、発表された事柄や出来事などの影響によって起こる様々な反応を意味する「反響」などがあります。

触発の意味

触発とは

触発とは、刺激を与えて行動の意欲を起こさせることを意味しています。その他にも、物に触れて装置を発動させたり爆発させたりすることも意味します。

表現方法は「触発する」「触発される」「触発を受ける」

「触発する」「触発される」「触発を受ける」などが、触発を使った一般的な言い回しです。

「触発機雷」の意味

触発を使った言葉として、「触発機雷」があります。これは、水中に設置される兵器の一つで、船が接近あるいは接触した際、自動もしくは遠隔操作によって爆発する兵器です。機雷は機械水雷の略称です。

「一発触発」「一髪触発」「一触触発」は間違い

また、触発を使った誤った言葉として「一発触発」「一髪触発」「一触触発」などがあります。どれも本来は「一触即発」(読み方:いっしょくそくはつ)と表記する四字熟語の間違いです。この言葉は、少しでも触れると爆発しそうな状態を意味します。

触発の対義語

触発の対義語・反対語としては、あることが原因となって他のことを引き起こすことを意味する「誘発」があります。

触発の類語

触発の類語・類義語としては、気持ちを煽ってある行動を起こすように仕向けることを意味する「煽動」、物事の動きを活発にさせることを意味する「刺激」、相手を刺激して好奇心などをかきたてるよう仕向けることを意味する「挑発」などがあります。

感化の例文

1.両親に感化されてアニメやマンガが好きになったと言っても過言ではない。
2.宗教は強制的な信仰を強いるものではなく、人々によい感化を与えてくれるものである。
3.テレビや本で知ることができる、歴史に名を遺す偉人のエピソードに感化を受けることも学習の一環だと思っている。
4.大正生まれの祖父は言葉のチョイスが古く、児童自立支援施設のことは感化院と言うし、中華街のことは南京町と言う。
5.映画に感化されやすい友人は、会うたびに将来の夢や服装が変わるので、最近はそれを見て友人が見た映画をあてるのが僕たちの間で流行っている。
6.会社の後輩が、たまたま参加した自己啓発セミナーですっかり感化されたようで、デスクまわりはそれ関連の本で溢れ、私までセミナーに誘われるようになった。

この言葉がよく使われる場面としては、考え方などを変えさせるような影響を与えることを意味する時などが挙げられます。

基本的には例文のように受け身の形で使いますが、例文2は主語が宗教であるため受け身にはなっていません。。

また、どの例文の感化も、影響という言葉に置き換えて使うことはできますが、好みなどが変わったのみで行動については言及されていないため、触発を置き換えて使うことはできません。

影響の例文

1.店や商品などに関して一言SNSで発信しただけで、大きな影響力をもたらす人は迂闊な発言ができないように思う。
2.他人の言葉に影響されやすいため、一度決めた自分の答えも再度迷ってしまうことがある。
3.子どもにとって周囲の友だちの影響は大きく、皆が持っているからほしいという感情になることもある。
4.台風接近の影響で気圧が下がり、頭痛や耳鳴りといった不調に見舞われている。
5.幼稚園で初めて集団生活を始めた娘は、もちろん良い影響もいっぱい受けてくるが、反面悪い影響も受けてくる。
6.本業に影響が出ない範囲で副業をしてきたが、副業の収入が本業を超えそうになってきたので、本と副を入れ替えようか迷っている。
7.ひとたび人身事故が起こると、その沿線だけでなく連絡している多くの路線に影響が出る。

この言葉がよく使われる場面としては、物事の作用が他のものに及ぶことを意味する時などが挙げられます。

例文2の影響は感化に置き換えても問題ありませんが、例文1と例文3の影響は感化にも触発にも置き換えて使うことはできません。

触発の例文

1.名作に触発されて制作された物語は、その名作のファンにも受け入れられた。
2.サークル活動を行い始めてから触発を受けることが非常に多くなり、いい機会に恵まれたと感じている。
3.新たな危機が触発する恐れがあると不安視されている。
4.アールヌーヴォーを紹介した展示に触発されて、ミュシャのリトグラフを収集するようになった。
5.昨日見た片付け番組に触発され、母は今日は朝早くからキッチン、居間、洗面、寝室と片っ端から要らないものを捨て始めた。
6.息子が急に獣医になりたいと言い出したが、どうやら人から借りた漫画に触発されたようだ。
7.最近は「触発された」よりも、「インスパイアされた」という言い方をよく聞く。

この言葉がよく使われる場面としては、刺激を与えて行動意欲を起こさせることを意味する時などが挙げられます。

例文3の触発は、刺激を与えられることで爆発するように襲い掛かることを意味しています。

感化と影響と触発どれを使うか迷った場合は、感情や考え方を変えさえることを表す場合は「感化」を、何かが変化するとは限らないことを表す場合は「影響」を、行動や変化を変えさせることを表す場合は「触発」を使うと覚えておけば間違いありません。

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