同じ「ついきゅう」という読み方、似た意味を持つ「追求」と「追及」と「追究」の違いと使い方を分かりやすく解説しているページです。
どの言葉を使えば日本語として正しいのか、このページの使い方を参考にしてみて下さい。
「追求」「追及」と「追究」という言葉は、どれも追い求めることを意味するという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使用される傾向があります。
追求と追及と追究の違い
追求と追及と追究の意味の違い
追求と追及と追究の違いを分かりやすく言うと、追及は目的を追い求めることを意味していて、追及は責任や過失を問いただすことを意味していて、追究は未知の物事を明らかにしようとすることを意味しているという違いです。
追求と追及と追究の使い分け方
追求という言葉をベースにして考えると、三つの言葉の意味の違いが分かりやすくなります。追及も追究も、どちらも追求の一種です。両方とも「追い求めること」ですが、意味合いが違ってきます。
最初の「追求」というのは、目的を追い求めることです。例えば「利益の追求」や「勝利の追求」、「理想を追求する」などのように使われます。手元にないものを手に入れようとする活動のことが「追求」と表現されます。
次の「追及」というのは、例えば「責任の所在を追及する」というように使われます。何か問題が発生した時に、関係者に叱責交じりに問いただすことが「追及」と表現されます。不祥事の当事者を「追い詰める」ことが「追及」です。
最後の「追究」というのは、未知の物事を解明しようとすることです。目標を追い求める「追求」では、対象は既知の物(すでに分かっている物)ですが、「追究」では対象は未知の物です。例えば「真相を追究する」や「原因を追究する」などのように使われます。
追求の意味
追求とは
追求とは、目的を追い求めることを意味しています。
表現方法は「理想を追求する」「利益を追求する」「知識の追求」
「理想を追求する」「利益を追求する」「知識の追求」などが、追求を使った一般的な言い回しです。
追求の使い方
例えば「文化庁」は、文化の振興を追求する日本の行政機関です。また、日本国憲法第13条の「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利」の文言も有名です。
追求というのは、目的を予め定めて、それに向かって前進するというイメージの言葉です。既知の物事(すでに分かっている物事)に到達し、それを手に入れようとすることを表現するのが追求という言葉です。
追求の求の字には、「もとめる」や「探す」の他に、「欲しがる」という意味があります。追求の対象になるものは、自分のものにしたい物です。
とはいえ、購入できる品物(家や車、趣味の品から日用品)は欲しいものであっても、追求の対象にはなりません。追求は自分が目的に向かって前進するというイメージを持つ言葉ですが、物を購入することに自分が前進するという意味合いがないからです。
もう少し簡単にいうと、追求の対象になるものは物理的に形のはっきり物したものではなくて、理想や勝利、利益や夢などのように、抽象的なものです。「理想の追求」「勝利を追及した非情な采配」などのように使われます。
追求の対義語
追求の対義語・反対語としては、諦めて止めることを意味する「断念」などがあります。
追求の類語
追求の類語・類義語としては、心の底から願うことを意味する「希求」、手に入れるために探し求めることを意味する「探求」、意見や証拠など募ることを意味する「徴する」などがあります。
追求の追の字を使った別の言葉としては、後を追いかけることを意味する「追跡」「追尾」、気に入られようと媚びることを意味する「追従」(読み方:ついしょう)などがあります。
追及の意味
追及とは
追及とは、問題の所在を当事者に問いただすことを意味しています。
表現方法は「責任を追及する」「追及をかわす」「追及を受ける」
「責任を追及する」「追及をかわす」「追及を受ける」などが、追及を使った一般的な言い回しです。
追及の使い方
追及というのは、トラブルや不祥事が生じた時に、当事者に問いただすことです。単にトラブルや不祥事の詳細を明らかにすることだけを表現するのではなく、明らかにするために関係者を問い詰める様子を表現するのが、追及という言葉です。
ただし、単に叱責や非難をすることは追及ではありません。原因や責任の所在を明らかにするために、あえて厳しく問いただすのが追及です。怒りなどの感情とは、本来は切り離すべきものが、追及です。
「トラブルの原因となったお店の責任者を追及する」や「国会での追及が続いた」、「今回の1件の責任の所在を追及する」などのように使われます。
追及の類語・類義語としては、口頭で取り調べを行うことを意味する「尋問」、厳しく問いただすことを意味する「詰問」、裁判などで罪を厳しく問いただすことを意味する「糾問」などがあります。
追及の及の字を使った別の言葉としては、話がある事柄にふれることを意味する「言及」、話などが過去に遡ることを意味する「遡及」、物事が一般的に広く行き渡ることを意味する「普及」などがあります。
追究の意味
追究とは
追究とは、未知の事柄を明らかにすることを意味しています。
表現方法は「課題を追究する」「学問を追究する」「原因を追究する」
「課題を追究する」「学問を追究する」「原因を追究する」などが、追究を使った一般的な言い回しです。
追究の使い方
追究も、追求と同じように「追い求める」ことですが、対象が違います。追求は、予め目標を立て、それを追い求めることですが、追究は、分からないことを明らかにするという意味での追い求めることです。
追究の究の字は、「物事をこれ以上ないところまで突き詰めてゆくこと」「本質を明らかにする」という意味を持っています。
追究という言葉は、学問や事件の捜査などの場面を表現する言葉ですが、追求という言葉は目的を追い求めること全般を表現する言葉です。追究は、未知の事柄を追い求めることです。それに対して、追求は予め立てた目標を追い求める、既知(すでに知っていること)の追求です。
例えば「真理を追究する」や「原理を追究する」などのように使います。
追究の類語
追究の類語・類義語としては、物事の本質や原因を突き詰めて明らかにすることを意味する「究明」、物事の本質を探り求めることを意味する「探究」、学問に携わることを意味する「学究」などがあります。
追求の例文
この言葉がよく使われる場面としては、目的を追い求めることを表現したい時などが挙げられます。
目的というのは、単に自分の欲しいものではなく、達成のために自分自身を鍛えることを要求する、抽象的なものであることが多いです。絶えざる前進を求めるもの、厳しいものが目標と呼ばれます。
例文3の「自分の可能性を追求」という表現は、自己を鍛錬するという意味合いを込めて追及が使われている典型的な例ですが、その他の二つの例文の追求という言葉にも、そうした意味が響いていることを聞きとれるようになって下さい。
追及の例文
この言葉がよく使われる場面としては、トラブルや不祥事の責任を問い詰める様子を表現したい時などが挙げられます。
追及は、他人に厳しく当たるという意味合いを含む言葉です。相手を追い詰めるように質問をするのが、追及です。言及の典型的なものとしては、国会中継で野党側が政権に批判的な質問をすることがあります。
追及とはただ単に非難することではありません。原因や責任の所在を追究するために、厳しく問いただすことというのが、追及の正しい意味です。怒りなどの感情に身を任せることを避け、あえて厳しく問いただすことが、追及という言葉の本来の意味です。
追究の例文
この言葉がよく使われる場面としては、物事の本質を明らかにすることを表現したい時などが挙げられます。共に物事を追い求めるという意味を持つため、追求と追究は特に混同される言葉です。
物事の本質を明らかにするという意味合いが必要な場合には、追究を使うということを覚えておいてください。この言葉が使用される場面は決して多くなく、追求という言葉のほうが使用される頻度は高いですが、大事な使い分けです。