似た意味を持つ「健啖家」(読み方:けんたんか)と「大食漢」(読み方:たいしょくかん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「健啖家」と「大食漢」という言葉は、たくさん食べる人を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
健啖家と大食漢の違い
健啖家と大食漢の意味の違い
健啖家と大食漢の違いを分かりやすく言うと、健啖家とは男性にも女性にも使える表現、大食漢とは男性のみに使える表現という違いです。
健啖家と大食漢の使い方の違い
一つ目の健啖家を使った分かりやすい例としては、「父は健啖家である」「健啖家で長生きでありたい」「健啖家とは食欲旺盛の人のことだ」「彼は健啖だけが取り柄の健啖家だ」「健啖家の有名人は多くいる」などがあります。
二つ目の大食漢を使った分かりやすい例としては、「私は大食漢だからスタミナには自信がある」「大食漢が集まる焼肉屋がある」「大食漢キャラの食レポは面白い」「アスリートには大食漢が多い」などがあります。
健啖家と大食漢という言葉は、どちらも大量に食べる人を表し、似た表現をする言葉ですが、意味や使い方には違いがあります。
健啖家は女性にも男性にも使える
健啖家は、食欲の旺盛な人を意味します。一方の大食漢は、よく食べる男の人を意味します。つまり、健啖家は女性にも男性にも使えますが、大食漢は男性のみに使えます。
大量に食べる意味についても、健啖と大食はニュアンスの違いがあります。健啖は、好き嫌いなく食欲旺盛であることを表すプラスのイメージのある言葉です。一方の大食は、普通以上にたくさん食べることを表し、ただ大食いするというマイナスなイメージのある言葉です。
大食漢は男性を表す言葉であること、マイナスなイメージも持ち合わせていることから、使う時には注意が必要です。昨今は、たくさん食べる女性に対しても大食漢が使われるようになっていますが、本来は男性を表す言葉であることを覚えておきましょう。
健啖家と大食漢の英語表記の違い
健啖家も大食漢も英語にすると「great eater」「big eater」「glutton」となり、例えば上記の「私は大食漢だ」を英語にすると「I’m a big eater」となります。
健啖家の意味
健啖家とは
健啖家とは、食欲の旺盛な人を意味しています。
健啖家の使い方
健啖家を使った分かりやすい例としては、「祖父は何でも食べる健啖家だった」「健啖家の人との食事は楽しい」「健啖家と食の細い人の針の進み具合が違う」「経営者には健啖家が多いそうだ」などがあります。
その他にも、「健啖家であることは国際人の条件である」「彼女は痩せているけど健啖家だ」「健啖家である女の子との食事は楽しい」「好き嫌いなく食べる健啖家は長生きだ」「健啖家の友人はいつも元気だ」などがあります。
健啖の意味
健啖家という言葉は、好き嫌いなくよく食べることや食欲が旺盛なことを意味する「健啖」と、そうした性質の人を意味する「家」が組み合わった言葉です。「家」は、性別に関係なく人を表すため、健啖家は男性にも女性にも使える言葉です。
健啖とは、偏食せずによく食べることを意味するため、プラスのイメージがある言葉です。好き嫌いなく食べることは栄養のバランスが取れていることを表します。また、食べることは生きる力の源であり、パワーを感じさせる言葉なのです。
健啖家の対義語
健啖家の対義語・反対語としては、好き嫌いが激しく特定の食品だけを食べる人を意味する「偏食家」などがあります。
健啖家の類語
健啖家の類語・類義語としては、食い意地が張ってむやみに食べたがる人を意味する「食いしん坊」、食い道楽や食いしん坊を意味する「グルマン」などがあります。
健啖家の啖の字を使った別の言葉としては、喧嘩をする際などに飛び出す歯切れのよい言葉を意味する啖呵(読み方:たんか)、威勢のよい口上で品物を売る人を意味する「啖呵師」などがあります。
大食漢の意味
大食漢とは
大食漢とは、大食する人、ふつう大食する男性を意味しています。
大食漢の使い方
大食漢を使った分かりやすい例としては、「大食漢家族の食費は高いだろう」「大食漢は遺伝するのだろうか」「大食漢は生活習慣病が心配だ」「焼肉バイキングで大食漢の本領発揮だ」などがあります。
その他にも、「野球選手には大食漢が多い」「スタイルがいいのに大食漢な芸能人が羨ましい」「正岡子規は大食漢で有名な偉人だ」「食に興味がない彼が大食漢になることはない」などがあります。
大食の意味
大食漢という言葉は、日常生活で使われたり、大食い決定戦などのテレビ番組で耳にする馴染みのある言葉です。最近は男女関係なく使われるようになりましたが、「漢」という漢字は、男性を意味する言葉です。本来、大食漢という言葉は大食いする男性を意味する言葉なのです。
大食という言葉は、普通以上にたくさん食べることを意味しており、「無芸大食」「大食は命の取り越し」「大食短命」のようにマイナスなイメージで使われる言葉です。
「大食無芸」の意味
「大食無芸」とは、これといった特技や才能はない代わりに、食べることだけは人並みはずれていることを意味します。基本的には、そのような人をさげすむ場合に使われますが、親愛の情をこめていう場合や自分のことを謙遜する場合にも用いられる表現です。
「大食は命の取り越し」の意味
ことわざには「大食は命の取り越し」があり、大食いは死期をはやめるということを意味します。食べ過ぎると、糖分や脂質が増えて血液が汚れたり、内臓に負担がかかることから病気になりやすくなると言われています。似た意味の四字熟語に「大食短命」があります。
大食漢の対義語
大食漢の対義語・反対語としては、食べる分量が少ない人を意味する「小食家」などがあります。
大食漢の類語
大食漢の類語・類義語としては、あきるほど腹いっぱい食べることを意味する「飽食」、たくさん食べることを意味する「大食い」、食物を早く食うことを意味する「早食い」などがあります。
大食漢の漢の字を使った別の言葉としては、熱烈な意気と情熱をもって事に当たる男子を意味する「熱血漢」、乱暴をはたらく男を意味する「暴漢」などがあります。
健啖家の例文
この言葉がよく使われる場面としては、食欲の旺盛な人を表現したい時などが挙げられます。
例文2にある「健啖ぶり」とは、食欲旺盛であるさまを表します。語調を強めるときには「健啖っぷり」と表現することもあります。例文3から例文5のように、健啖家はプラスのイメージで使われる言葉です。例文5の食いしん坊とは、食い意地が張ってむやみと食べたがる人を意味します。
大食漢の例文
この言葉がよく使われる場面としては、大食する人、ふつう大食する男性を表現したい時などが挙げられます。
例文1にある「フードファイター」とは、早食いや大食いを競技として捉え大会に出場する選手を表す和製英語です。例文2や例文3にあるように、大食漢という言葉は基本的に男性を表す言葉です。女性にも使われるようになってきましたが、女性には使わない方が無難でしょう。
健啖家と大食漢という言葉は、どちらも大量に食べる人を表す言葉です。どちらの言葉を使うか迷った場合、食欲旺盛な男性または女性を表現したい時は「健啖家」を、大量に食べる男性を表現したい時は「大食漢」を使うようにしましょう。