【普遍的】と【不変的】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

同じ「ふへんてき」という読み方の「普遍的」と「不変的」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「普遍的」と「不変的」という言葉は同音の言葉ですが、それぞれの漢字によって使い方には少し違いがあります。




普遍的と不変的の違い

普遍的と不変的の意味の違い

普遍的と不変的の違いを分かりやすく言うと、普遍的とは広く行き渡る様子を意味し、不変的とは変化しない様子を意味するという違いです。

普遍的と不変的の使い方の違い

一つ目の普遍的を使った分かりやすい例としては、「倫理学における普遍的真理を探求する」「普遍的価値観の定義は難しい」「普遍的な成功の法則が知りたい」「万人受けする普遍的なデザインです」などがあります。

二つ目の不変的を使った分かりやすい例としては、「この世に不変的な価値なんて無いだろう」「不変的な日常がつまらない」「不変的な教育理念に賛同する」「不変的なファッションが好きです」などがあります。

普遍的と不変的の使い分け方

普遍的と不変的という言葉は、どちらも「ふへんてき」と読み、「普遍的なデザイン」「不変的なデザイン」など同じような表現をする言葉ですが、厳密な意味や使い方には違いがあります。

普遍的とは、広く行き渡る様子を意味します。いつでもどこでも誰にでも当てはまるさまや受け入れられるさまであり、「普遍的なデザイン」とは老若男女あるいは国や時代に関わらず、広く受け入れられているデザインを意味します。

不変的とは、変化しない様子を意味します。いつまでも状態が変わらないさまであり、「不変的なデザイン」とは、たとえ時代が変わっても変化せずに、同じデザインを保ち続けていることを表します。

このように、普遍的と不変的は、置き換えてしまうと意味が違ってしまう同音異義語です。誤って書き表すことのないように注意しましょう。

普遍的と不変的の英語表記の違い

普遍的を英語にすると「universal」「generally」となり、例えば上記の「普遍的真理」を英語にすると「universal truth」となります。

一方、不変的を英語にすると「invariant」「unchangeable」となり、例えば上記の「不変的な価値」を英語にすると「unchangeable value​」となります。

普遍的の意味

普遍的とは

普遍的とは、広く行き渡るさま、極めて多くの物事にあてはまるさまを意味しています。

表現方法は「普遍的な事実」「普遍的な考え」「普遍的な美しさ」

「普遍的な事実」「普遍的な考え」「普遍的な美しさ」などが、普遍的を使った一般的な言い回しです。

普遍的の使い方

普遍的を使った分かりやすい例としては、「顕著な普遍的価値の評価基準があります」「普遍的な愛をテーマにした映画です」「普遍的要素を取り入れたユニバーサルデザインだ」「普遍的​な美しさとは何だろう」などがあります。

その他にも、「感情を表す普遍的な表情がある」「生き物には普遍的な性質がある」「普遍的な音楽作りを目指す」「普遍的な人権の尊重を謳う」「世界遺産は顕著な普遍的価値を有している」などがあります。

普遍的という言葉の「普遍」とは、全体に広く行き渡ることを意味します。そのような性質や状態を表す「的」と結びつき、普遍的とは、広く行き渡るさまや、全てのものにあてはまる様子を意味する言葉です。

「顕著な普遍的価値」の意味

例文にある「顕著な普遍的価値」とは、「outstanding universal value」通称オー・ユー・ブイを日本語訳したものであり、世界遺産に登録されるための必要条件を意味します。世界遺産条約では、歴史や景観などの観点から著しい普遍的価値を有するものを、文化遺産や自然遺産と定義しています。

「普遍的無意識」の意味

普遍的という言葉を用いた哲学用語には「普遍的無意識」があります。心理学者のユングは、無意識を「個人的無意識」と「普遍的無意識」に分けて考え、 普遍的無意識は本能的傾向や、祖先の経験した行動様式や考え方が遺伝的に受継がれてきたものを指します。

普遍的の対義語

普遍的の対義語・反対語としては、例外であるさまや別扱いであるさまを意味する「例外的」、非常に珍しいことを意味する「空前絶後」、性質や内容などが他と著しく異なることを意味する「特殊」、普通の場合とは程度や事柄が違っていることを意味する「格別」などがあります。

普遍的の類語

普遍的の類語・類義語としては、広く認められ行き渡っているさまを意味する「一般的」、ある事柄の全体に及ぶさまを意味する「全般的」、世界全体に関係しているさまを意味する「世界的」などがあります。

不変的の意味

不変的とは

不変的とは、いつまでも変わらないさまを意味しています。

表現方法は「不変的なもの」「不変的な人気」「不変的な価値」

「不変的なもの」「不変的な人気」「不変的な価値」などが、不変的を使った一般的な言い回しです。

不変的の使い方

不変的を使った分かりやすい例としては、「飽きのこない不変的なデザインを追求する」「その言葉から不変的な意思を感じた」「この世界に不変的なものはありますか」「彼女には不変的な美しさを感じる」「斬新さよりも不変的を重視する」などがあります。

その他にも、「この世に不変的なものは無い」「不変的な本質を捉えよう」「不変的なライフスタイルを貫く」「時代は変わっても不変的な悩みがある」「不変的な英語表現はありません」「そこには不変的な真理があった」などがあります。

不変的という言葉の「不変」とは、ある状態を保つことや変化しないことを表します。不変的とは、ずっと性質や状態を変えないさまを意味する言葉です。変化しない物事や事象に対して用いられています。

「不変的な真理」の意味

上記の例文にある「不変的な真理」とは、いつどんな時にも変わることのない正しい物事の筋道を意味します。不変的を普遍的に置き換えて「普遍的な真理」となると、広く一般的に行き渡っている正しい物事の筋道の意味になります。

不変的の対義語

不変的の対義語・反対語としては、ある状態や性質などが他の状態や性質に変わることを意味する「変化」、変えることができることや変わることができることを意味する「可変」、時の流れとともに移り変わることを意味する「変遷」などがあります。

不変的の類語

不変的の類語・類義語としては、いつまでもその状態が続くさまを意味する「恒久的」、ある状態を保ち続けるさまを意味する「持続的」、ある状態が長続きするさまを意味する「永続的」などがあります。

普遍的の例文

1.喜怒哀楽は人間にとって普遍的な感情ですが、表現の度合いは人それぞれ違います。
2.普遍的な人の心を描き続けてきた作家が、惜しまれながらこの世を去った。
3.哲学の唯名論の考えによると、人間は普遍的なものとして存在しないものです。
4.英語で履歴書を書く際の普遍的なルールについて、例文を挙げながら説明します。
5.カリスマ経営者が成功の普遍的法則を記した本を出版し、話題となっている。
6.赤ちゃんは母乳で育てた方が良いという普遍的価値観に、どれだけの母親が苦しめられているかというのはあまり知られていない。
7.世界遺産委員会に推薦書を提出したものの、登録には至らなかった自然遺産の写真を眺めていたのだが、私の目から見ればどれも顕著な普遍的価値があるように思えてならない。
8.数学は普遍的なもので、例えば昔の人が書いた公式でもそのまま理解することができるので、なんだかロマンを感じてしまった。
9.失恋というのはいつの時代にも普遍的にみられることであって珍しいことではないが、本人にとっては大問題であることは間違いないだろう。
10.女性の美しさの基準は普遍的であると思っていたが、調べていくとどうやら時代によって美の価値観は違うものなのだと思い知らされた。

この言葉がよく使われる場面としては、全てのものにあてはまる様子を表現したい時などが挙げられます。

例文3のように、普遍的という言葉は哲学用語としても使われています。哲学における普遍とは、宇宙や世界の全体に関して言えることや、ある範囲のすべての事物に共通する性質を意味します。

不変的の例文

1.服を買う時には長く着られるように、不変的なデザインのものを選ぶようにしています。
2.日本語が変化してきたように、英語の文法や単語も不変的ではありません。
3.常に新しいものを作り続けているクリエイターは、逆に不変的なものを作ることが難しいという。
4.営利を目的とする企業にも、果たすべき不変的な使命があると思います。
5.流行に流されずに不変的な人気を誇っている名品バッグは、一生モノです。
6.むかしは写本の過程で書き写す人の個人的な意見などが書き加えられていたというのだから、印刷の技術は著者の書いた言葉や意見を不変的な存在に変えた偉大な発明だと思っている。
7.田舎の不変的な日常に飽き飽きしていたわたしたちは何か刺激が欲しかったので、バンド活動を始めてみようということになったのだ。
8.科学者のわたしも学生時代に哲学者になりたかったこともあったが、それは不変的な真理を探究したかったからで、それは今の研究にも通じている。
9.お店を経営していくうちに不変的な商売の戦略というものがあるのかどうか興味を持つようになりビジネス書を読み漁るようになった。
10.このブランドの不変的デザインが好きだったのに、デザイナーが変わり挑戦的なデザインが増えてからは、お店に足を運ぶこともなくなった。

この言葉がよく使われる場面としては、様変わりすることがないさまを表現したい時などが挙げられます。

例文5にある「不変的な人気」とは、時代や場所が変わっても、世間一般の評判が良い状態を保ち続けている様子を意味します。

普遍的と不変的という言葉は、どちらも「ふへんてき」と読む同音異義語です。どちらの言葉を使うか迷った場合、広い範囲に行き渡る様子を表現したい時は「普遍的」を、変化しない様子を表現したい時は「不変的」を使うようにしましょう。

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