似た意味を持つ「阿吽の呼吸」(読み方:あうんのこきゅう)と「以心伝心」(読み方:いしんでんしん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「阿吽の呼吸」と「以心伝心」という言葉は、どちらも心が通じ合うことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「阿吽の呼吸」と「以心伝心」の違い
「阿吽の呼吸」と「以心伝心」の意味の違い
「阿吽の呼吸」と「以心伝心」の違いを分かりやすく言うと、「阿吽の呼吸」とは心が通じ合うだけでなく行動も伴う必要がある、「以心伝心」とは心が通じ合ってるだけで行動が伴う必要がないという違いです。
「阿吽の呼吸」と「以心伝心」の使い方の違い
一つ目の「阿吽の呼吸」を使った分かりやすい例としては、「チームスポーツは阿吽の呼吸がとても大切です」「彼らは阿吽の呼吸で仕事をこなしていく」「長年連れ添った妻とは阿吽の呼吸です」などがあります。
二つ目の「以心伝心」を使った分かりやすい例としては、「彼とは以心伝心の間柄です」「私と夫は以心伝心です」「僕らはいつも以心伝心している」「お二人のような以心伝心の関係を築きたいです」「彼らは以心伝心でお互いの気持ちが良くわかるしらしい」などがあります。
「阿吽の呼吸」と「以心伝心」の使い分け方
「阿吽の呼吸」と「以心伝心」は似たニュアンスを持つ言葉ですが、使い方に少し違いがあるので注意が必要です。
「阿吽の呼吸」は心が通じ合うだけでなく行動も伴っている場合にのみに使えるのに対して、「以心伝心」は心が通じ合ってるだけで行動が伴う必要がないというのが違いになります。
「阿吽の呼吸」と「以心伝心」の英語表記の違い
「阿吽の呼吸」を直訳した英語表現はないのですが近い表現として「chemistry」「synchro」などがあり、例えば上記の「彼らは阿吽の呼吸です」を英語にすると「They have a good chemistry」となります。
一方、「以心伝心」を英語にすると「telepathy」となり、例えば上記の「彼らは以心伝心でお互いの気持ちが良くわかるしらしい」を英語にすると「They seem to understand each other by some sort of telepathy」となります。
「阿吽の呼吸」の意味
「阿吽の呼吸」とは
「阿吽の呼吸」とは、二人以上で一緒に物事を行うとき互いの気持ちが一致することを意味しています。
「阿吽の呼吸」の使い方
「阿吽の呼吸」を使った分かりやすい例としては、「彼とは長年ペアを組んでいるので阿吽の呼吸だ」「テニスのダブルスでは阿吽の呼吸がとても大切です」「集団で狩りをする時は阿吽の呼吸が不可欠です」などがあります。
「阿吽の呼吸」は二人以上で一緒に物事を行うとき互いの気持ちが一致することを意味しており、心が通じ合うだけでなく行動も伴っている場合に使う言葉です。
「阿吽の呼吸」は日常生活、ビジネスシーン、スポーツシーン、漫画、アニメなど様々な場面で使うことができる言葉です。
「阿吽の呼吸」の由来
「阿吽の呼吸」の由来はサンスクリット語です。「阿吽の呼吸」の阿吽はサンスクリット語の「a-hum」を当てはめたものになります。
「阿吽の呼吸」の阿は口を開き、吽は口を閉じて発する声のことで、それが転じて呼気と吸気の意味になり、それがさらに転じて、互いに息を合わせることを「阿吽の呼吸」と言うようになりました。
また、金剛力士像や神社の狛犬、そしてシーサーなど一対で存在する宗教的な像は一方が口を開いた阿形で、もう一方が口を閉じた吽形になっています。このことから一対になっているものが息を合わせている様子が転じて、二人以上の人が息が合うことを「阿吽の呼吸」というようになった説もあります。
「阿吽の呼吸」の類語
「阿吽の呼吸」の類語・類義語としては、時間的に一致させることを意味する「シンクロ」、考え方や感じ方が通じ合うことを意味する「気が合う」、意気投合することを意味す「馬が合う」、気質が合うことを意味する「肌が合う」などがあります。
「以心伝心」の意味
「以心伝心」とは
「以心伝心」とは、無言のうちに心が通じ合うことを意味しています。
表現方法は「以心伝心の仲」「以心伝心する」
「以心伝心の仲」「以心伝心する」などが、「以心伝心」を使った一般的な言い回しになります。
「以心伝心」の使い方
「以心伝心」を使った分かりやすい例としては、「私と彼女は同期入社で以心伝心の仲です」「僕と彼は小さい頃からの付き合いなので以心伝心の間柄だ」「夫と息子は以心伝心なので母親としては少し羨ましいです」などがあります。
「以心伝心」は無言のうちに心が通じ合うことを意味する四字熟語です。また、相手と自分がお互いに心を読み取ることができるほど親しいという、主にプラスなイメージで使う言葉になります。
「以心伝心」の由来
「以心伝心」の由来は仏教用語です。元々は仏教用語として、釈迦の教えの真髄を経典などの文字や言葉によらず、師の心から弟子の心に伝えるという意味で使われていました。これが転じて、人同士が無言で伝え合うというニュアンスで使うようになったのが今の以心伝心です。
「意心伝心」は誤り
「以心伝心」を漢字で書く場合、「意心伝心」とするのは間違いなので気をつけましょう。
「以心伝心」の類語
「以心伝心」の類語・類義語としては、物事を行う調子や気分がぴったり合うことを意味する「息が合う」、互いの気持ちがぴったりと合うことを意味する「意気投合」、他人の考えや行動などに心から同感することを意味する「共鳴」などがあります。
「阿吽の呼吸」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、二人以上で一緒に物事を行うとき互いの気持ちが一致することを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文のように、「阿吽の呼吸」はスポーツシーンにおいてよく使われています。
「以心伝心」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、無言のうちに心が通じ合うことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文のように、「以心伝心」はプラスなイメージで使うのが一般的です。
「阿吽の呼吸」と「以心伝心」はどちらも心が通じ合うことを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、心が通じ合うだけでなく行動も伴っている時は「阿吽の呼吸」を、心が通じ合ってるだけで行動が伴う必要がない時は「以心伝心」を使うと覚えておきましょう。