似た意味を持つ「解析」(読み方:かいせき)と「分析」(読み方:ぶんせき)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「解析」と「分析」という言葉は、どちらも構成要素を明らかにすることを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
解析と分析の違い
解析と分析の意味の違い
解析と分析の違いを分かりやすく言うと、解析とは分析したうえで論理的に調べることという違いです。
解析と分析の使い方の違い
一つ目の解析を使った分かりやすい例としては、「卒業研究のテーマに解折幾何学を選んだ」「アプリ解析ツールで利用状況を把握する」「これは画期的な構造解析ソフトです」「解析力学を専攻しています」などがあります。
二つ目の分析を使った分かりやすい例としては、「失敗した原因を分析する」「この本は精神分析学の入門書です」「土壌を徹底的に分析した」「動物の行動を分析して繁殖活動につなげる」「情報分析力を鍛えたい」などがあります。
解析と分析の使い分け方
解析と分析という言葉は、どちらも構成要素を明らかにすることを表し、使い分けが難しい言葉ですが、厳密には意味が異なります。
解析とは、事柄を細かく分けて論理的に調べることを意味します。例えば「データ解析」とは、データを細かく分けて、そうなる原因を論理的に調べることを表します。
一方、分析とは、物事を分解して成分や要素を明らかにすることを意味します。「データ分析」とは、データを構成要素ごとに細かく分けること自体を表します。
つまり、解析とは、分析したうえで考えるという意味を含んだ言葉なのです。
解析と分析の英語表記の違い
解析も分析も英語にすると「analysis」となり、例えば上記の「解折幾何学」を英語にすると「analytical geometry」となります。
解析の意味
解析とは
解析とは、事物の構成要素を細かく理論的に調べることによって、その本質を明らかにすることを意味しています。
その他にも、解析学の略の意味も持っています。
解析の使い方
「地質に関する調査資料を解析する」「条件を変えても解析値に変化は無かった」「詳細な成分解析が可能な装置です」などの文中で使われている解析は、「物事を細かく解き分けて論理的に調べること」の意味で使われています。
一方、「微分積分は解析の基礎である」「解析概論の講義を受ける」「微分方程式で解析解を導く」「解析接続を用いて問題を解く」などの文中で使われている解析は、「解析学の略」の意味で使われています。
解析の語源
解析という言葉の「解」とは、一つにまとまったものを解き分けることや、ばらばらにすることを表し、「析」とは、分けて明らかにすること表します。解析とは、物事を細かくとき分けて、組織的論理的に調べることを意味します。また、学問としての解析学を指す言葉です。
「アクセス解析」の意味
解析という言葉を用いた日本語には「アクセス解析」があり、Webサイトに訪れるユーザーの行動や属性を分析することです。この分析をもとに、事業の成果を上げるための施策につなげることを目的としています。
解析の類語
解析の類語・類義語としては、まとまっているものや組み立ててあるものを分解することを意味する「解体」、物事を念入りに調べることを意味する「吟味」、物事を深く調べ意味や本質を説き明かすことを意味する「講究」などがあります。
分析の意味
分析とは
分析とは、複雑な事柄を一つ一つの要素や成分に分け、その構成などを明らかにすることを意味しています。
その他にも、物質の組成を調べ、成分の種類や量の割合を明らかにすることの意味も持っています。
分析の使い方
「火災の原因を分析する」「状況分析ができていない」「情報分析力が求められる職種だ」などの文中で使われている分析は、「事柄を一つ一つの要素や成分に分けて構成を明らかにすること」の意味で使われています。
一方、「幅広い分野の無機成分分析を請負っています」「定量分析により成分の質量を明らかにする」「化学分析の結果、ヒ素が含まれていた」などの文中で使われている分析は、「化学で、物質の成分を検出すること」の意味で使われています。
分析という言葉には、複数の意味があり、ビジネスシーンにおいてよく使われる言葉です。事柄を一つ一つの要素や成分に分けて構成を明らかにすることの意味では、特にマーケティングの分野で使われています。また、化学用語では、物質の成分を検出することの意味で使われています。
「分析哲学」の意味
また、分析という言葉は哲学用語としても使われています。「分析哲学」とは哲学の基本態度を分析に求める反形而上学的哲学諸流派のことであり、哲学でいう分析は、複雑な現象や概念などを、構成している要素に分けて解明することを意味します。
分析の対義語
分析の対義語・反対語としては、分析的思考によって捉えたいくつかの部分・要素を結び合わせて統一的に構成することを意味する「総合」、二つ以上のものを合わせて一つにすることを意味する「統合」、一つにまとめることを意味する「一括」などがあります。
分析の類語
分析の類語・類義語としては、物事を細かく分析し因果関係などを明確にすることを意味する「解剖」、一つに結合しているものを要素や部分に分けることを意味する「分解」、くわしく調べることを意味する「精査」、物事の種類や性質などを見分けることを意味する「識別」などがあります。
解析の例文
この言葉がよく使われる場面としては、物事を細かくとき分けて論理的に調べること、解析学を表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文4にある解析は「物事を細かくとき分けて論理的に調べること」の意味で、例文5の解析は「解析学」の意味で使われています。例文1にある「構造解析ソフト」とは、構造化されたデータやプログラムを解析するためのソフトウエアのことです。
分析の例文
この言葉がよく使われる場面としては、複雑な事柄を一つ一つの要素や性質に分けること、物質の成分の種類や量の割合を明らかにすることを表現したい時などが挙げられます。
例文2にある「分析化学」とは、試料中の化学成分の種類や存在量を解析したり、解析のための目的物質の分離方法を研究したりする化学分野のことです。
例文4にある「3C分析」とは、自社、競合、顧客のそれぞれをリサーチし、戦略を立てることに役立てることです。「PEST分析」とは、政治、経済、社会、技術といった4つの観点から外部環境を分析するマーケティングフレームワークのことです。
解析と分析という言葉は、どちらも構成要素を明らかにすることを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、事柄を細かく分けて論理的に調べることを表現をしたい時は「解析」を、物事をいくつかの要素に分けることを表現をしたい時は「分析」を使うようにしましょう。