【焼け石に水】と【火に油を注ぐ】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「焼け石に水」(読み方:やけいしにみず)と「火に油を注ぐ」(読み方:ひにあぶらをそそぐ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「焼け石に水」と「火に油を注ぐ」という言葉は、似ていても意味は大きく異なりますので、ご注意下さい。




「焼け石に水」と「火に油を注ぐ」の違い

「焼け石に水」と「火に油を注ぐ」の意味の違い

「焼け石に水」と「火に油を注ぐ」の違いを分かりやすく言うと、「焼け石に水」とは努力や援助が少なくて何の役にも立たないこと、「火に油を注ぐ」とは勢いの盛んなものにさらに勢いを加えるようなことをすることという違いです。

「焼け石に水」と「火に油を注ぐ」の使い方の違い

一つ目の「焼け石に水」を使った分かりやすい例としては、「それは焼け石に水だ」「試験三日前に勉強を始めても焼け石に水だろう」「この件に関しては今更何をしても焼け石に水だ」などがあります。

二つ目の「火に油を注ぐ」を使った分かりやすい例としては、「激怒している彼に対して何か言ってしまうと火に油を注ぐことになるだろう」「火に油を注ぐことだけは絶対にしないようにしよう」「彼女の仲裁はかえって火に油を注ぐようなものでした」などがあります。

「焼け石に水」と「火に油を注ぐ」の使い分け方

「焼け石に水」と「火に油を注ぐ」は似たようなことわざですが、意味は全く異なっているので間違えないように注意しましょう。

「焼け石に水」は努力や援助が少なくて何の役にも立たないことを意味しており、事態を改善しようと思っていたのに足りなかった場合に使います。

一方、「焼け石に水」は勢いの盛んなものにさらに勢いを加えるようなことをすることを意味しており、少しのことで事態がさらに悪化してしまう場合に使います。

したがって、「焼け石に水」と「火に油を注ぐ」は限りなく反対語に近い表現です。

「焼け石に水」と「火に油を注ぐ」の英語表記の違い

「焼け石に水」を英語にすると「a drop in the bucket」となり、例えば上記の「それは焼け石に水だ」を英語にすると「That was only a drop in the bucket」となります。

一方、「火に油を注ぐ」を英語にすると「add fuel to the fire」「pour oil on the fire」となり、例えば上記の「彼女の仲裁はかえって火に油を注ぐようなものでした」を英語にすると「She tried to mediate, but, in fact, she ended up adding fuel to the flames」となります。

「焼け石に水」の意味

「焼け石に水」とは

「焼け石に水」とは、努力や援助が少なくて何の役にも立たないことを意味しています。

「焼け石に水」の使い方

「焼け石に水」を使った分かりやすい例としては、「怒っている彼女をなだめようとしても焼け石に水だった」「これだけ長い渋滞ならあと30分早く出発しても焼け石に水だっただろう」「テスト前日に勉強を始めても焼け石に水だ」などがあります。

「焼け石に水」の由来

「焼け石に水」の「焼け石」とは火で焼けて熱くなった石のことを指しています。焼け石は非常に熱くて少し水をかけても全く温度が下がることはありません。つまり「焼け石に水」とは焼け石に水を少しばかりかけてもすぐ蒸発してしまうことを表します。

これが転じて、努力や援助が少なくて何の役にも立たないことを「焼け石に水」と言うようになりました。

「焼け石に水」は全く効果がないわけではなく、効果が薄かったり、効果が望めない場合に使うことが多いです。また、基本的にマイナスなイメージで使う言葉ですが、何もしないよりマシだというニュアンスでプラスのイメージで使うこともあります。

「焼け石に水」の類語

「焼け石に水」の類語・類義語としては、無益な苦労のことを意味する「徒労」、意味のないことを意味する「無意味」、価値がないことを意味する「無価値、体力や勢力などがないことを意味する「無力」などがあります。

「火に油を注ぐ」の意味

「火に油を注ぐ」とは

「火に油を注ぐ」とは、勢いの盛んなものにさらに勢いを加えるようなことをすることを意味しています。

「火に油を注ぐ」の使い方

「火に油を注ぐ」を使った分かりやすい例としては、「良かれと思って伝えた言葉が火に油を注ぐことになった」「火に油を注ぐ発言をしてしまったことを後悔している」「あまり問題をつつくと火に油を注ぐ結果になる」などがあります。

「火に油を注ぐ」は悪い結果に繋がった場合にのみに使う言葉です。「この商品は火に油を注ぐような人気が出て、大ヒットした」「本イベントは口コミで広まり、火に油を注ぐような盛り上がりをした」などのように、良い結果に繋がった場合には使わないと覚えておきましょう。

したがって、「火に油を注ぐ」はマイナスなイメージでしか使わない言葉になります。

「火に油を注ぐ」の由来

勢いよく燃えている火に油を注ぐと、ますます火勢が強くなります。これが転じて、勢いの盛んなものにさらに勢いを加えるようなことをすることを「火に油を注ぐ」というようになりました。

「火に油を注ぐ」の類語

「火に油を注ぐ」の類語・類義語としては、気持ちを煽りある行動を起こすように仕向けることを意味する「扇動する」、相手がある行動をするように仕向ける「煽る」、以前よりも激しくさせることを意味する「激化させる」などがあります。

「焼け石に水」の例文

1.雨が降っているのにイベントを開催しても、焼け石に水で誰も来ないだろう。
2.いつも遅刻をしておいて、今後は絶対にしないと誓っても焼け石に水だ。
3.今から勉強しても焼け石に水なので、諦めてぶっつけ本番で挑むことにした。
4.ほんの少しだけご飯の量を減らしてダイエットしても焼け石に水だ。本気で痩せたいならもっと運動するべきです。
5.この方法では焼け石に水だ。もっと効率の良い方法を探さないといけない。
6.これだけ借金があるんじゃたとえ妻がパートに出たとしても焼け石に水だろう。固定費は毎月かかるため、給付金を一時的に支給されても正直焼け石に水だと思う。
7.息子は試験の一日前に急いで勉強をはじめても焼け石に水なのだからと何もしないで寝てしまった。
8.副業を始めてはじめての収益だが、はっきりいって焼け石に水程度のもので家計を助けるには程遠い。
9.政府は貧困世帯に10万円の給付金を考えているが、その程度では焼け石に水と言っていいだろう。
10.日本が仮に石炭火力発電をやめても、他の国がやめないのなら焼け石に水になるだろうよ。

この言葉がよく使われる場面としては、努力や援助が少なくて何の役にも立たないことを表現したい時などが挙げられます。

上記の例文のように、「焼け石に水」は効果が全くない場合だけではなく、効果が薄い場合にも使うことができます。

「火に油を注ぐ」の例文

1.遅刻して上司を怒らせているのに、ウソの言い訳をしてごまかしたのがバレて火に油を注ぐ結果となった。
2.相手が怒っているのに揚げ足を取ってしまったので、火に油を注ぐことになりました。
3.立て籠もり事件のニュースをテレビで放送してしまい、それを犯人に見られて火に油を注ぐこととなった。
4.彼が怒っている時に口を挟むと火に油を注ぐことになるので、黙っておいた方がいいだろう。
5.デモ運動が盛んな時に政治家の汚職事件が発覚してしまい、まさに火に油を注ぐこととなった。
6.友人夫婦がもめていたので、反省しているから許してやってと奥さんに頼んだら、2人で私を馬鹿にしているとますます怒り出し火に油を注ぐ結果となってしまった。
7.姑が小言を言っていても嫁が口答えしないのは、余計なことを言って火に油を注ぐ結果を避けたかったからだ。
8.上司は仕事を部下に丸投げしているのに、部下に元気がないね?なんていうから火に油を注ぐことになるのだよ。
9.SNSでタレントの炎上騒ぎがあったのだが、当の本人は火に油を注ぐことしか言わないのでもはや収拾がつかないだろう。
10.男の女性に対する失言に仲間が擁護することで火に油を注ぐ結果となったのだから仲間意識もほどほどにした方がいい。

この言葉がよく使われる場面としては、勢いの盛んなものにさらに勢いを加えるようなことをすることを表現したい時などが挙げられます。

上記の例文のように、「火に油を注ぐ」は悪い結果に繋がった場合に使う言葉です。

「焼け石に水」と「火に油を注ぐ」は意味は全く異なっています。努力や援助が少なくて何の役にも立たないことを表現したい時は「焼け石に水」を、勢いの盛んなものにさらに勢いを加えるようなこと表現したい時は「火に油を注ぐ」を使うと覚えておきましょう。

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