【如実】と【顕著】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「如実」(読み方:にょじつ)と「顕著」(読み方:けんちょ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「如実」と「顕著」という言葉は、どちらもあらわれることを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




如実と顕著の違い

如実と顕著の意味の違い

如実と顕著の違いを分かりやすく言うと、如実とは隠れていた事実が浮かび上がること、顕著とは分かっていた事実がよりはっきりと明らかになることの違いです。

如実と顕著の使い方の違い

一つ目の如実を使った分かりやすい例としては、「自分の計算力が伸びているのが如実にわかる」「手抜き工事が如実に現れる」「報告結果が如実に書き出されている」「この写真をみると被災地の惨状が如実です」などがあります。

如実は隠れていた事実が浮かび上がる時によく使う言葉です。上記の例で特に分かりやすいのが、「手抜き工事が如実に現れる」になります。これは、手抜き工事をしたという事実が隠れていたが、それが浮かび上がってきたという意味です。

二つ目の顕著を使った分かりやすい例としては、「洋画の悪いところが顕著に見て取れる」「症状が顕著に現れる」「急速に少子高齢化が進むという傾向が顕著だ」「人材不足の顕著化がみえてきた」「貧富の差が顕著に現れた」などがあります。

顕著は分かっていた事実がより明らかになる時に使う言葉です。上記の例で特に分かりやすいのが、「貧富の差が顕著に現れた」になります。元々貧富の差があることが分かっていたのですが、それがより明らかになったという意味です。

如実と顕著の英語表記の違い

如実を英語にすると「Truth」となり、例えば上記の「如実です」を英語にすると「It’s true」となります。一方、顕著を英語にすると「Remarkable」となり、例えば上記の「顕著に現れた」を英語にすると「Remarkably appeared」となります。

如実の意味

如実とは

如実とは、実際の通りであることを意味しています。

表現方法は「如実に現れる」「如実にわかる」

「如実に現れる」「如実にわかる」などが、如実を使った一般的な表現方法です。

如実の使い方

如実を使った分かりやすい例としては、「努力した結果が如実に現れた」「自分の読解力が伸びているのが如実にわかった」「如実的描写で締めくくられる」「非常時にはその人の人間性が如実に現れるだろう」などがあります。

その他にも、「構造改革の成果が如実に現れた」「寝不足が疲れの原因だったことが如実にわかる」「服選びのセンスが如実に現れた」「仕込みの丁寧さが如実にわかった」「今回の試験結果で勉強していることが如実にわかる」などがあります。

如実という言葉は物事が実際の通りであり、ありのままであるときに使います。また、隠れた事実が浮かび上がった時にも使う言葉になります。日常生活では使われる機会が少ないため、あまり馴染がないはずです。

如実の由来

また、如実という言葉の由来は元々仏教用語でした。教えの真実や道理にかなっていることの意味と真如(読み方:しんにょ)の意味を持っています。真如とは仏教用語でありのままの姿という意味です。

四字熟語「如実知見」の意味

如実を使った四字熟語としては、「如実知見」(読み方:にょじつちけん)があります。如実知見とは仏教用語で、現実をありのままに見抜くことの意味を持っています。

「如実知自心」の意味

他にも、如実を使った言葉として「如実知自心」(読み方:にょじちじしん)という言葉があります。真言宗の教えで、ありのままの自分を知るという意味です。

如実の類語

如実の如の字を使った別の言葉としては、文字通りであることを意味する「如法」、真理に到達した人のことを意味する「如来」、幻のように儚いおとを意味する「如幻」などがあります。

顕著の意味

顕著とは

顕著とは、誰が見てもはっきりと現れていることを意味しています。

表現方法は「顕著に見て取れる」「顕著である」「顕著になる」

「顕著に見て取れる」「顕著である」「顕著になる」などが、顕著を使った一般的な表現方法です。

顕著の使い方

顕著を使った分かりやすい例としては、「邦楽の悪いところが顕著に見て取れる」「大相撲の国際化が顕著になった」「様々な課題がより一層顕著化することが予想される」「人間の嫌な部分が顕著に現れた」などがあります。

その他にも、「コンテンツ利用の割合が高いのが顕著に見てとれます」「学歴別の平均年収の差も顕著になってきている」「ここ数年観光客の減少が顕著だ」「若者のラジオ離れが顕著に見て取れる」「体調の悪さが顕著に現れた」などがあります。

顕著という言葉は人と物事両方に使うことが出来ます。そのため、様々な場面や状況で使われています。

上記の「人間の嫌な部分が顕著に現れた」「体調の悪さが顕著に現れた」などは、人に対して顕著という言葉を使っている例です。特に「体調の悪さが顕著に現れた」はとても分かりやすい例となっており、誰が見ても明らかに体調が悪いことを意味しています。

また、上記の「学歴別の平均年収の差も顕著になってきている」「ここ数年観光客の減少が顕著だ」などは物事に対して顕著を使っている例になります。物事に対して使う場合は、結果や数字の変化などを表現することが多いです。

顕著の類語

顕著の類語・類義語としては、周囲のものと明確な違いがあって目立っていることを意味する「際立つ」、他のものをはるかに抜いてとても優れていることを意味する「卓抜」(読み方:たくばつ)、他と比べて特に目立っていることを意味する「一際」などがあります。

顕著の顕の字を使った別の言葉としては、現れることと隠れることを意味する「顕晦」(読み方:けんかい)、はっきりと姿を現すことを意味する「顕現」(読み方:けんげん)、はっきりと形に現れて存在することを意味する「顕在」(読み方:けんざい)などがあります。

如実の例文

1.テスト勉強を頑張った結果が如実に現れたのでとても満足した。
2.実力の差というのは如実にわかるので努力を怠ってはいけない。
3.この写真は被災地の惨状を如実に物語っている。
4.約一か月の間で今大会の視聴者が増加したことが如実にわかる結果となりました。
5.不規則な生活を毎日していたので、体調の悪さが如実に現れた。
6.どこかの国が自分たちの体制が素晴らしいといくらプロパガンダを吹聴しても、統計データをみればその国の発展具合は如実にわかるものだよ。
7.彼は上から会社のお荷物社員と陰で言われているが、彼は勤続30年だというのに何の役職もついていないことがそれを如実に物語っているだろう。
8.以前社長がお店の経営状態はトイレの状態ほど如実に語ってくれるものはないといっていたのだが、その意味が今になってわかった気がするのだ。
9.部活での練習を怠ると何事も結果として如実にあらわれるものだから、気が緩みがちな年明けだからこそしっかりと取り組まなければならない。
10.将棋というのは知らない人にとっては退屈な趣味なのかもしれないが、年齢を問わずに、その実力が如実にわかるものだからやっていて楽しいのだ。
11.旧友たちとの再会はまったくブランクを感じさせないもので、そのふたりのやり取りをみているとまるで20年前の情景が如実に再現されたかのようだった。

この言葉がよく使われる場面としては、事実がありのままであることを表現したい時などが挙げられます。

例文1や例文3のように隠れていた事実が浮かび上がる時にこの言葉を使うと使いやすいです。例文3を分かりやすい意味で説明すると、被災地は酷い被害を受けていた事実は知っていたが、写真をみたことにより悲惨な惨状を知ったという感じになります。

顕著の例文

1.東京では遊べる公園の数の減少が、より顕著に見て取れる。
2.新型ウイルスによる肺炎の感染拡大が顕著だ。
3.タイでの人件費の高騰が顕著化したことにより、新たなる政策を考えなければならない。
4.地球温暖化が起こり、気候変動がより顕著に現れるようになった。
5.日本の労働力不足問題がどんどん顕著化していく。
6.日本は長年の停滞のなかでIT化も進まなかったが、世界を見渡せばIT化は著しく、その顕著な変化をいずれ受け入れなくてはならないだろう。
7.そもそも彼の出身校はスポーツの名門としても有名だったが、彼はその中でも最も顕著な成功を収めた選手だったと言えるだろう。
8.久々に会った旧友による自意識過剰な物言いに何の驚きもないのは、小学生の頃から思い込みの激しさが顕著だったことがあげられるだろう。
9.わたしは大学のレポートで世帯の所得の違いよる子どもの教育の状況を調べていて、調査の結果、日本にいる外国人労働者の子どもには教育がしっかりと行き届いていない傾向が顕著にみられた。
10.今まで日本ではインターネット上に個人が顔を出すなど考えられなかったが、現在のYouTubeやtiktokなどの流行はデジタルネイティブ世代によるあたらしい顕著な社会現象だといえよう。
11.20代は悠々自適だったとしても、30代で結婚して子どもを二、三人育てるとなれば、教育費もあいまって家計が逼迫することが顕著にあらわれるだろう。

この言葉がよく使われる場面としては、誰の目から見ても明らかになっていることを表現したい時などが挙げられます。

例文1や例文4のように、物事の変化を表現する時に使うことが多い言葉です。ニュースなどでこの言葉を目にしたことがある人は多いはずです。

誰の目から見ても明らかになっていることを表現する時に使うため、グラフやデータなのど変化が見て分かりやすい物事に対してはよく使われます。

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