似た意味を持つ「カバー」と「リカバー」と「リカバリー」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どの言葉を使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「カバー」と「リカバー」と「リカバリー」という言葉は、取り戻すことという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
カバーとリカバーとリカバリーの違い
カバーとリカバーとリカバリーの意味の違い
カバーとリカバーとリカバリーの違いを分かりやすく言うと、カバーは補足や支援を表現する時に使い、リカバーは回復することを表現する時に使い、リカバリーは回復そのものを表現する時に使うという違いです。
カバーとリカバーとリカバリーの使い方の違い
カバーという言葉は、「自分のミスをカバーしてくれた上司に頭があがらない」「周りをよく見てカバーに回れる人間になりたい」などの使い方で、不備や不足を補うこと、弱点を他の者が援護することを意味します。
リカバーという言葉は、「肌質をリカバーするためのケア商品を購入する」「彼をリカバーするのはだいぶ慣れてきた」などの使い方で、回復することや取り戻すことを意味します。
リカバリーという言葉は、「うんともすんとも言わないためリカバリーが必要だろう」「足の怪我からリカバリーまでそんなに時間を要しなかった」などの使い方で、取り戻すこと、回復や復旧を意味します。
カバーとリカバーとリカバリーの使い分け方
リカバーとリカバリーはどちらも回復させることを意味する言葉ですが、前者は「リカバーする」などのように動詞的な使い方をし、後者は「リカバリーが大切だ」などのように名詞的な使い方をします。
英語では区別される言葉ですが、日本語ではあまり区別されずに「リカバーする」と「リカバリーする」などのようにどちらの使われ方もされています。
一方のカバーという言葉は、リカバーやリカバリーという言葉とは失ったものを取り戻す点が共通していますが、取り戻すことだけではなく、不備や不足を補う場合にも使われる言葉です。
これが、カバー、リカバー、リカバリーの明確な違いです。
カバーの意味
カバーとは
カバーとは、不備や不足を補うこと、弱点を他の者が援護することを意味しています。
その他にも、物事を覆い隠すものや包むものを意味する言葉でもあり、「ブックカバー」や「枕カバー」などのように使われます。多くのカバーは紙や布で出来ています。
また、音楽分野で使われるカバーという言葉は、他者の楽曲を歌唱、編曲などをして発表することを意味します。自身で自分の曲を編曲して歌うことは「セルフカバー」と言います。
カバーの使い方
カバーを使った表現として、「ミスをカバーする」「コミュニケーション面でのカバーはバッチリだ」「彼のプレーをカバーするべきだった」などがあります。日常会話、ビジネスシーンどこでも使うことができる言葉です。
カバーの対義語
カバーの対義語・反対語としては、妨げることを意味する「邪魔」、邪魔をすることを意味する「妨害」、隔ててさえぎることを意味する「阻害」があります。
カバーの類語
カバーの類語・類義語としては、物の表面に覆いかぶせることを意味する「被覆」、失策に備えて他の選手が後方を守ることを意味する「バックアップ」があります。
リカバーの意味
リカバーとは
リカバーとは、回復することや取り戻すことを意味しています。
リカバーの語源
ラテン語の「L.capere」という言葉から派生した「recover」をカタカナ読みで使っている言葉です。「re」という接頭語には再びという意味があることから、「recover」は元の状態へと戻ることを意味します。
また、「remote continual verification」から文字を取って「RECOVER」と称される常時遠隔監視システムも同じ読み方をします。国際原子力機関と各国の原子力施設を通信回線で結んで監視を行うシステムを指します。
表現方法は「リカバーする」「リカバーできる」
「リカバーする」「リカバーできる」などが、リカバーを使った一般的な言い回しです。
リカバーの対義語
リカバーの対義語・反対語としては、壊れてしまうことを意味する「崩壊」、さまたげることを意味する「障害」、物事の進行が損なわれるような事情を意味する「故障」があります。
リカバーの類語
リカバーの類語・類義語としては、壊れたり痛んだりしたものを元の状態にすることを意味する「復旧」、もとの形態や位置に戻すことを意味する「復元」、物事をもとの性質などに戻すことを意味する「還元」などがあります。
リカバリーの意味
リカバリーとは
リカバリーとは、取り戻すこと、回復や復旧を意味しています。
表現方法は「リカバリーする」「リカバリーを図る」「リカバリー室」
「リカバリーする」「リカバリーを図る」「リカバリー室」などが、リカバリーを使った一般的な言い回しです。
リカバリーを使った言葉として、「リカバリーショット」「サーマルリカバリー」があります。
「リカバリーショット」の意味
一つ目の「リカバリーショット」とは、ゴルフでミスショットをしてしまった後の挽回のための一打を意味する言葉です。この言葉を「その商品は会社のリカバリーショットとなるだろう」などのように比喩的に使うこともできます。
「サーマルリカバリー」の意味
二つ目の「サーマルリカバリー」とは、廃棄物を燃やす時に発生する熱を発電などのエネルギーとして再利用することを指す言葉で、「サーマルリサイクル」、「エネルギーリカバリー」や「熱回収」とも呼ばれています。
リカバリーの対義語
リカバリーの対義語・反対語としては、次第に悪くなることを意味する「悪化」があります。
リカバリーの類語
リカバリーの類語・類義語としては、からだなどの調子が正常な状態に戻ることを意味する「復調」、病気が治るころを意味する「快復」、悪い状態から力を盛り返すことを意味する「再起」、病気や傷が完全に治ることを意味する「全快」などがあります。
カバーの例文
この言葉がよく使われる場面としては、不備や不足を補うこと、弱点を他の者が援護することを意味する時などが挙げられます。
例文3の「カバー」のように、他のもので覆い隠すことも意味する言葉としても使うことができます。
リカバーの例文
この言葉がよく使われる場面としては、回復することや取り戻すことを意味する時などが挙げられます。
例文3の「リカバー」は、パソコンなど購入後すぐの初期状態に戻すことを意味する言葉として使われる言葉です。
リカバリーの例文
この言葉がよく使われる場面としては、取り戻すこと、回復や復旧を意味する時などが挙げられます。
例文3の「リカバリーショット」とは、挽回するための策を意味する比喩表現です。
カバーとリカバーとリカバリーどれを使うか迷った場合は、補足や支援を表す場合は「カバー」を、回復することを表す場合は「リカバー」を、回復そのものを表す場合は「リカバリー」を使うと覚えておけば間違いありません。