似た意味を持つ「順不同」(読み方:じゅんふどう)と「敬称略」(読み方:けいしょうりゃく)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「順不同」と「敬称略」という言葉は、どちらも人名の一覧に添えられている言葉という共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
順不同と敬称略の違い
順不同と敬称略の意味の違い
順不同と敬称略の違いを分かりやすく言うと、順不同とは並べ方に一定の基準がないことを表し、敬称略とは敬称を省略していることを表すという違いです。
順不同と敬称略の使い方の違い
一つ目の順不同を使った分かりやすい例としては、「以下順不同でお名前を記載しております」「順不同になる場合もございます」「履修番号2~8を順不同で受講可能です」「配線は順不同で、どちら側に付けても構いません」などがあります。
二つ目の敬称略を使った分かりやすい例としては、「ここでは敬称略させていただきました」「敬称略をどこに書くか迷っています」「敬称略と書く位置は名簿の前か後ろです」「参加者一覧(敬称略、順不同)」などがあります。
順不同と敬称略の使い分け方
順不同と敬称略という言葉は、どちらも氏名リストに書き加えられていたり、複数の人名を読み上げる時に添えられることがありますが、意味や使い方には大きな違いがあります。
順不同とは、人や組織などの名前を並べる時に、五十音順や年齢、地位や優劣などに関係なく無作為に並べていることを意味します。一方、敬称略とは、人の名前を書いたり呼んだりする時に、「様」「先生」「社長」などの敬称を省略して呼び捨てにすることです。
上記の例文にある「参加者一覧(敬称略、順不同)」とは、参加者の氏名に敬称を付けず、かつ並び順が規則に従っていないことを表しています。このように、二つの言葉が併記されることがありますが、それぞれ別のことを指しているのです。
順不同と敬称略の英語表記の違い
順不同を英語にすると「random order」「no particular order」「arbitrary order」となり、例えば上記の「以下順不同」を英語にすると「listed in random order」となります。
一方、敬称略を英語にすると「titles omitted」「without honorifics」となり、例えば上記の「ここでは敬称略させていただきました」を英語にすると「have omitted honorific titles here」となります。
順不同の意味
順不同とは
順不同とは、一定の基準によった並び方になっていないこと、順序不同を意味しています。
順不同は順序不同の省略語
順不同とは、「順序不同」の省略形であり、順序や並べ方がそろっていないこと、一定の基準に沿った並べ方ではないことを意味します。順不同の「順」は基準に従った並び方のことを表し、「不同」は一定の基準にそって整理されていないさまを表します。
表現方法は「順不同で構いません」「順不同にて失礼します」
「順不同で構いません」「順不同にて失礼します」などが、順不同を使った一般的な言い回しです。
順不同の使い方
順不同を使った分かりやすい例としては、「記載順は順不同となっております」「順不同および敬称略にて失礼いたします」「この英語テキストは順不同になっています」「お待ち頂きながら順不同でお呼びすることがございます」などがあります。
その他にも、「テストの解答欄に順不同と書いてある」「数学で順不同で答えを3つ選ぶ問題が出た」「順不同可で完答5点、その他は2点」「入力するキーワードは順不同で構いません」「卒業生の就職先一覧(卒業時点、順不同)」などがあります。
順不同という言葉は、「参加者一覧」のような氏名リストに添えられています。氏名リストは、「五十音順」や、ビジネスであれば「役職順」などの一定基準で並べるのがマナーです。しかし、都合により順不同に並べる場合に、お詫びの意味合いを込めてリストの前後に「順不同」と書き入れます。
また、順不同はテストの解答方法に関しても用いられています。解答欄に順不同を記入されている場合、答えの順序は問わないという意味になります。例えば、答えがA・B・Cと3つある場合に、「A・C・B」と答えても「C・B・A」と答えても正解になります。
「順不同可」の意味
上記の例文にある「順不同可」の意味は、複数ある答えを書く時に、一定の規則順に書かなくてもよいと認めることを表しています。
順不同の対義語
順不同の対義語・反対語としては、五十音図の仮名の順序に従って配列することを意味する「五十音順」、日本語の仮名文字を順序決めする規則であることを意味する「あいうえお順」、年齢を順序決めする規則にすることを意味する「年齢順」などがあります。
順不同の類語
順不同の類語・類義語としては、作為がないことや偶然にまかせることを意味する「無作為」、思いのままにまかせることを意味する「任意」、無作為や任意であるさまを意味する「ランダム」、やり方などがいい加減であることを意味する「適当」などがあります。
敬称略の意味
敬称略とは
敬称略とは、人名を列挙する際、「様」「さん」などの敬称を省略することを意味しています。
敬称略の使い方
敬称略を使った分かりやすい例としては、「協賛者一覧(順不同、敬称略)」「敬称略で役職を省略する時の書き方を教えてください」「当塾の英語講師3人を敬称略してご紹介します」「メールでの敬称略の使い方が分かりません」などがあります。
その他にも、「役職を省略したため敬称略と断りを入れました」「議事録を作成する時にメンバーは敬称略で記しています」「敬称略で先にお詫びしてから呼び捨てで書き記す」「敬称略は失礼にあたりますか」などがあります。
敬称略とは、「敬称」と「略」の二つの言葉で成り立っています。「敬称」とは、人名や官職名などの下につけて、その人に対する敬意を表す「様」「先生」「部長」などのことです。「略」は省略することですから、敬称略とは、名前に敬称を付けずに呼び捨てにすることを意味する言葉です。
敬称略という言葉は、式典でたくさんの出席者の名前を記載したり、祝電や香典などを紹介する場面で使われています。ビジネスシーンにおいては、会議の議事録に記載するメンバーを記す場合などに、氏名リストの前か後に書き添えられています。
敬称略の対義語
敬称略の対義語・反対語としては、人の名前に「さん」をつけて呼ぶことを意味する「さん付け」、人の名前の下に「君」をつけて呼ぶことを意味する「君付け」などがあります。
敬称略の類語
敬称略の類語・類義語としては、人の名を「君」「様」「さん」などの敬称をつけずに呼ぶことを意味する「呼び捨て」、他人の名前を呼称する際に敬称をつけず名前のみで呼称することを意味する「呼びつけ」などがあります。
順不同の例文
この言葉がよく使われる場面としては、並べ方に一定の基準がないことを表現したい時などが挙げられます。
例文1にある「順不同」は、受付順とは関係ないことを表しています。例文2の「順不同」は、収録されている曲順とは無関係であることを表しています。
敬称略の例文
この言葉がよく使われる場面としては、人名を列挙する際に敬称を省略することを表現したい時などが挙げられます。
例文5では、役職や「様」などの敬称を省いていたにも関わらず、「敬称略」と記載していなかったことを詫びている文章です。敬称略である断りを入れないと単なる呼び捨てになるため、失礼にあたります。
順不同と敬称略とは、どちらも人名のリストに添えられている言葉です。どちらの言葉を使うか迷った場合、並べ方に一定の基準がないことを表現したい時は「順不同」を、敬称を省略することを表現したい時は「敬称略」を使うようにしましょう。