似た意味を持つ「潮時」(読み方:しおどき)と「引き際」(読み方:ひきぎわ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「潮時」と「引き際」という言葉は、似ていても意味は大きく異なりますので、ご注意下さい。
潮時と引き際の違い
潮時と引き際の意味の違い
潮時と引き際の違いを分かりやすく言うと、潮時とは物事を行うのに丁度良いタイミングのこと、引き際とは現在の地位から退くタイミングのことという違いです。
潮時と引き際の使い方の違い
一つ目の潮時を使った分かりやすい例としては、「付き合って2年経つので結婚の潮時だろう」「そろそろ引退の潮時かもしれない」「企業の潮時を見計らう」「今が選手交代の潮時だろう」「潮時を見て帰宅することにした」「今年は引退する潮時です」などがあります。
二つ目の引き際を使った分かりやすい例としては、「ダメな男は引き際が悪い」「モテる女性は引き際が良い」「人間は引き際が肝心です」「引き際が美しいスポーツ選手は多い」などがあります。
潮時と引き際は間違いやすい言葉ですが、意味が異なっているので注意する必要があります。潮時は物事を始めたり終わったりするのに良いタイミングのことで、引き際は現在の地位や立場などから退く時期や身の処し方のことを意味しています。
潮時を引き際と同じ意味の終わることの意味で使う人がいるのですが、それは間違いになります。潮時を終わることの意味で使う場合は、終わる良いタイミングという意味で使うようにしましょう。
潮時と引き際の英語表記の違い
潮時を英語にすると「tidal hour」「chance」「good timing」となり、例えば上記の「今年は引退する潮時です」を英語にすると「This year is a good timing to retire」となります。
一方、引き際を英語にすると「time to quit」となり、例えば上記の「人間は引き際が肝心です」を英語にすると「It’s important for humans to know when to quit」となります。
潮時の意味
潮時とは
潮時とは、物事を行うのに丁度良いタイミングのことを意味しています。その他にも、潮が満ちる時のことを意味しています。
潮時の使い方
「この回がピッチャー交代の潮時だろう」「そろそろ私達潮時かな」「結婚の潮時を見計らう」「株の売買には潮時を見る力が大切です」などの文中で使われている潮時は、「物事を行うのに丁度良いタイミングのこと」の意味で使われています。
一方、「潮時表を見て釣りに行くことにしよう」「潮時を見極めることが海釣りをする上で大切です」などの文中で使われている潮時は、「潮が満ちる時のこと」の意味で使われています。
潮時は二つの意味を持つ言葉ですが、一般的に使われているのは、物事を行うのに丁度良いタイミングのことの意味になります。
潮時の由来
潮時は元々、潮が満ちる時のことの意味で使われていました。漁師達の間では潮が満ちている時に漁に出るタイミングが完璧とされていて、それが転じて、物事を行うのに良いタイミングという意味で使われるようになりました。
潮時の誤用に注意
潮時は本来、物事を始めたり辞めたりする良いタイミングで使う言葉なので、ポジティブなイメージでしか使わないのですが、物事の終わりという意味で間違えている人を多く見かけます。
文化庁が発表した平成24年度の国語に関する世論調査によると、本来の意味である、「丁度良いタイミング」で使う人が60%、間違った意味である、「物事が終わり」で使う人が36.1%という結果が出ています。
上記のように間違えてしまう原因としては、プロスポーツ選手の引退会見で、「私は選手としてそろそろ潮時だと思ったので引退を決意しました」やドラマ、映画などで恋人に向かって、「私達の関係もそろそろ潮時だね」という終わる時に使うフレーズをよく見かけるからです。
上記の「私は選手としてそろそろ潮時だと思ったので引退を決意しました」は、引退したくないけど引退するという意味で使われたのではなく、引退する良いタイミングだったという意味で使われています。
引退、別れる、辞めるなどのマイナスなイメージを持つ言葉一緒に使うこともあるので勘違いしやすいのですが、潮時がついたらプラスのイメージの言葉になると覚えておきましょう。
表現方法は「潮時がきた」「潮時かな」「そろそろ潮時」
「潮時がきた」「潮時かな」「そろそろ潮時」「潮時を見る」「潮時を見計らう」「潮時を待つ」「人生の潮時」などは、潮時を使った一般的な表現方法になります。
潮時の類語
潮時の類語・類義語としては、何かを行なうのに良い機会のことを意味する「時機」、何かをするのに良い時機のことを意味する「時節」、事をするのに最も都合の良い時機を意味する「機会」、丁度良い時のことを意味する「頃」などがあります。
潮時の潮の字を使った別の言葉としては、物事をするのに良い時のことを意味する「潮合い」、物事の始まる時のことを意味する「潮先」、潮が引くことを意味する「潮干」、時勢の動きのことを意味する「潮流」などがあります。
引き際の意味
引き際とは
引き際とは、現在の地位や立場などから退く時期や身の処し方のことを意味しています。
引き際の使い方
引き際を使った分かりやすい例としては、「引き際が悪い男はモテない」「恋愛は引き際が肝心です」「スポーツ選手は引き際が大事です」「引き際の見極め方は難しい」「弊社の社長は引き際が潔かった」などがあります。
引き際は、現在の地位や立場などから退く時期や身の処し方のことを意味しているため、終わる時に使う言葉になります。
表現方法は「引き際が肝心」「引き際が良い」「引き際が大事」
「引き際が肝心」「引き際が良い」「引き際が悪い」「引き際が美しい」「引き際が潔い」「引き際が大事」「引き際が大切」「引き際が上手」「引き際が下手」などは、引き際を使った一般的な表現方法になります。
引き際の類語
引き際の類語・類義語としては、ついに諦めなければならなくなった時の態度や決断力のことを意味する「往生際」(読み方:おうじょうぎわ)などがあります。
引き際の際の字を使った別の言葉としては、ある場所に丁度入ろうとする所を意味する「入り際」、帰ろうとしている時のことを意味する「帰り際」、物事がまさに行われようとする時のことを意味する「間際」、物事の行われる間際のことを意味する「物際」などがあります。
潮時の例文
この言葉がよく使われる場面としては、物事を行うのに丁度良いタイミングのことを表現したい時などが挙げられます。その他にも、潮が満ちることを表現したい時にも使います。
上記の例文のように、物事を行うのに丁度良いタイミングの意味で使うのが一般的になります。
引き際の例文
この言葉がよく使われる場面としては、現在の地位や立場などから退く時期や身の処し方のことを表現したい時などが挙げられます。
例文3の引き際が肝心や、例文4の引き際が大事はよく使われる表現方法になります。
潮時と引き際は間違いやす言葉ですが、意味が異なっているので注意してください。
物事を始めたり終わったりするのに丁度良いタイミングというポジティブなことを表現したい場合は、「潮時」、現在の地位や立場などから退く時期や身の処し方のことを表現したい時には「引き際」を使うと覚えておきましょう。