似た意味を持つ「鼻が高い」(読み方:はながたかい)と「鼻にかける」(読み方:はなにかける)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「鼻が高い」と「鼻にかける」という言葉は、どちらも得意気になることを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「鼻が高い」と「鼻にかける」の違い
「鼻が高い」と「鼻にかける」の意味の違い
「鼻が高い」と「鼻にかける」の違いを分かりやすく言うと、「鼻が高い」とはプラスのイメージで使う、「鼻にかける」とマイナスのイメージで使うはという違いです。
「鼻が高い」と「鼻にかける」の使い方の違い
一つ目の「鼻が高い」を使った分かりやすい例としては、「立派な息子を持って私も鼻が高い」「彼女がミスキャンパスで優勝して鼻が高いです」「娘が有名私立大学に合格したので、親として鼻が高い」「彼女は美しい娘を持って鼻が高い」などがあります。
二つ目の「鼻にかける」を使った分かりやすい例としては、「彼は成績が良いのを鼻にかけているのであまり好きではありません」「彼女は美人で周りからチヤホヤされているが、本人もそれに鼻をかけている」「彼女はいつも金持ちの父親を鼻にかけている」などがあります。
「鼻が高い」と「鼻にかける」の使い分け方
「鼻が高い」と「鼻にかける」はどちらも得意気になることを意味する言葉ですが、使い方に少し違いがあるので注意が必要です。
「鼻が高い」は「娘が東京大学に合格して鼻が高い」「彼女が美少女コンテストで優勝して鼻が高い」などのように、誇らしい気持ちであることをプラスのイメージで表現したい時に使います。
一方、「鼻にかける」は「彼は高収入なことを鼻にかけているので苦手です」「お金持ちなことを鼻にかけているが親の脛かじりなだけだ」などのように、得意気になっていることをマイナスのイメージで表現する時に使います。
「鼻が高い」と「鼻にかける」の英語表記の違い
「鼻が高い」を英語にすると「be proud of」となり、例えば上記の「彼女は美しい娘を持って鼻が高い」を英語にすると「She is proud of having a beautiful daughter」となります。
一方、「鼻にかける」を英語にすると「boast」となり、例えば上記の「彼女はいつも金持ちの父親を鼻にかけている」を英語にすると「She is always boasting of her rich father」となります。
「鼻が高い」の意味
「鼻が高い」とは
「鼻が高い」とは、誇らしい気持ちであることを意味しています。その他にも、顔立ちの表現の意味も持っています。
「鼻が高い」の使い方
「鼻が高い」を使った分かりやすい例としては、「地元から日本代表選手が誕生したので私たちも鼻が高い」「イケメンの彼氏がいるので私も鼻が高いです」「教え子の論文が高く評価されたので、私も鼻が高い」などがあります。
「鼻が高い」は相手を誇らしく思った場合に使う褒め言葉なので、基本的にプラスのイメージで使います。また、全く意味が異なっていますが、顔立ちを表現する時にも使える言葉です。したがって、前後の文章によってどちらの意味で使っているか判断しましょう。
「鼻が高い」の由来
「鼻が高い」の由来は二通りあります。
一つ目は得意気になって自惚れている顔です。人は得意気になったり自慢している時は顔を上に向けてふんぞり返って威張るような態度を取ります。この顔を上に向けると鼻筋も上に向いて威張っている様子が転じて、誇らしい気持ちであることを「鼻が高い」と言うようになりました。
二つ目は妖怪である天狗です。天狗は深山に住むという妖怪ですが、元々は仏教の道を歩んでいた山伏や僧侶と言われています。しかし、何かあるとすぐ自慢したり、自信過剰な性格なせいで、仏教界から魔界に堕ちて妖怪となったそうです。
そんな性質を持つ天狗は鼻が高い妖怪なので、これが転じて誇らしい気持ちであること「鼻が高い」と言うようになりました。
「鼻が高い」の類語
「鼻が高い」の類語・類義語としては、得意で自慢したい気持ちであることを意味する「誇らしい」、世間に対して面目が立ち得意であることを意味する「肩身が広い」、いかにも得意そうであることを意味する「鼻高々」などがあります。
「鼻にかける」の意味
「鼻にかける」とは
「鼻にかける」とは、自慢することを意味しています。
「鼻にかける」の漢字表記
「鼻にかける」を漢字にすると、「鼻に掛ける」と表記することができます。
「鼻にかける」の使い方
「鼻にかける」を使った分かりやすい例としては、「ブスなのに鼻にかけている人がいるが、救いようがないと思います」「彼は出身大学を鼻にかけるので、仲の良い友人はいません」「彼は営業成績がトップなことを鼻にかける」などがあります。
「鼻にかける」は自慢することや得意気になることを意味する言葉で、その様子を本人ではなく、周りの人がマイナスなイメージで表現する場合に使う慣用句です。
「鼻にかける」の由来
「鼻にかける」の由来はアヘン戦争です。アヘン戦争とは1840年から1842年にかけて、清国のアヘン輸入禁止によってイギリスと清国との間に起こった戦争のことを指しています。
中国は世界的な大国と言われていましたが、アヘン戦争でイギリスに敗れて、勝利した西洋人が大量に中国へ移住してきたり、不平等な通商条約を押し付けられました。しかし、敗戦国である中国は、西洋人の横暴な振る舞いにも我慢するしかありません。
そのため、西洋人は横暴な振る舞いする人種だとイメージが植え付けられました。また、西洋人はアジア人は違い鼻が高い人種です。これらが転じて、自慢することや得意気になることをマイナスなイメージで表現することを、「鼻にかける」と言うようになりました。
「鼻にかける」の類語
「鼻にかける」の類語・類義語としては、いかにも自分を誇るようであることを意味する「自慢たらしい」、いい気になって自慢することを意味する「天狗になる」、実際以上に自分がすぐれていると思い込んで得意になることを意味する「自惚れる」などがあります。
「鼻が高い」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、誇らしい気持ちであることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「鼻が高い」はプラスのイメージで使うことが多い言葉です。
「鼻にかける」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、自慢することを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「鼻にかける」はマイナスのイメージで使うことが多い言葉です。
「鼻が高い」と「鼻にかける」はどちらも得意気になることを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、プラスのイメージで使うのが「鼻が高い」、マイナスのイメージで使うのが「鼻にかける」と覚えておきましょう。