似た意味を持つ「釈然としない」(読み方:しゃくぜんとしない)と「腑に落ちない」(読み方:ふにおちない)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「釈然としない」と「腑に落ちない」という言葉は、どちらもすっきりしないことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「釈然としない」と「腑に落ちない」の違い
「釈然としない」と「腑に落ちない」の意味の違い
「釈然としない」と「腑に落ちない」の違いを分かりやすく言うと、「釈然としない」とは理由が事情が分かっても納得できずすっきりしないこと、「腑に落ちない」とは、理由や事情に疑いを持っており納得できないことという違いです。
「釈然としない」と「腑に落ちない」の使い方の違い
一つ目の「釈然としない」を使った分かりやすい例としては、「この説明を聞いてもまだ釈然としない」「確かにその通りであるが、どこか釈然としない」「謝罪会見が行われたものの、どうも釈然としない」「彼女の説明には釈然としないものがある」などがあります。
二つ目の「腑に落ちない」を使った分かりやすい例としては、「腑に落ちない点がいくつかあるので、もう少し詳しく教えてください」「彼女の供述には腑に落ちない点がいくつかあります」「あなたの言うことは腑に落ちない」などがあります。
「釈然としない」と「腑に落ちない」の使い分け方
「釈然としない」と「腑に落ちない」はどちらもすっきりしないことを意味する言葉ですが、使い方に少し違いがあるので注意が必要です。
「釈然としない」は「説明をしてもらったもののどこか釈然としない」「この決定はやむを得ないが釈然としないものがある」などのように、理由が事情が分かったとしても、納得することができなく、すっきりしなかったりもやもやしている場合に使います。
一方、「腑に落ちない」は「彼がメンバーから落選したのは腑に落ちない」「この事件は腑に落ちない点がいくつかある」などのように、理由や事情がはっきりしておらず、何か隠されているような感じがして納得できないというニュアンスで使います。
したがって、「腑に落ちない」は理由や事情がはっきり分かれば納得する可能性があります。この微妙に異なっているニュアンスが「釈然としない」と「腑に落ちない」の違いです。
分かりやすい例を挙げると、「彼が日本代表メンバーから落選したのは釈然としない」は、日本代表メンバーに選ばれなかった理由を説明され理解したが、心理的に納得できなというニュアンスになります。
一方、「彼が日本代表メンバーから落選したのは腑に落ちない」は、選ばれなかった理由に疑いを持っており、隠された何かがあるのではないかと心理的に納得していないというニュアンスです。
「釈然としない」と「腑に落ちない」の英語表記の違い
「釈然としない」を英語にすると「not satisfied with」となり、例えば上記の「彼女の説明には釈然としないものがある」を英語にすると「I wasn’t completely satisfied with her explanation」となります。
一方、「腑に落ちない」を英語にすると「doesn’t make sense to me」「hard to understand」となり、例えば上記の「あなたの言うことは腑に落ちない」を英語にすると「Your story doesn’t make sense to me」となります。
「釈然としない」の意味
「釈然としない」とは
「釈然としない」とは、疑いや迷いが晴れなくてすっきりしないことを意味しています。
表現方法は「釈然としない気持ち」「釈善としないものを感じる」「いまいち釈然としない」
「釈然としない気持ち」「釈善としないものを感じる」「いまいち釈然としない」などが、「釈然としない」を使った一般的な言い回しになります。
「釈然としない」の使い方
「釈然としない」を使った分かりやすい例としては、「事情を聞いたとしても、どこか釈然としない」「相手側の対応に釈然としない」「丁寧な説明をしてもらったものの、まだ釈然としない」「釈然としない気持ちも分かるが、この状況を変えることはできないだろうなどがあります。
「釈然としない」は疑いや迷いが解けてすっきりすることを意味する「釈然」に、打ち消しの言葉である「しない」が合わさったので否定形になり、疑いや迷いが晴れなくてすっきりしないことの意味で使われている言葉です。
「釈然としない」は物事の理由が事情が分かったとしても、納得することができなく、すっきりしなかったり、もやもやしている場合に使います。
また、「釈然としてしない」はビジネスシーンなど目上の人に使うことはできません。なぜなら、納得ができないやすっきりしないというニュアンスを持っているため、目上の人に対して使うの失礼だからです。
「釈然としない」の類語
「釈然としない」の類語・類義語としては、しっくりしない感じのことを意味する「違和感がある」、半分信じて半分疑っている状態のことを意味する「半信半疑」、疑わしいと思う気持ちを持つことを意味する「疑念を抱く」などがあります。
「腑に落ちない」の意味
「腑に落ちない」とは
「腑に落ちない」とは、納得がいかないことを意味しています。
表現方法は「腑に落ちない気持ち」「腑に落ちない理由」「腑に落ちない感情」
「腑に落ちない気持ち」「腑に落ちない理由」「腑に落ちない感情」などが、「腑に落ちない」を使った一般的な言い回しになります。
「腑に落ちない」の使い方
「腑に落ちない」を使った分かりやすい例としては、「彼が落選したのは腑に落ちない」「話を聞いてみると腑に落ちない点がいくつかあります」「彼は同じことを何度も主張しているが、なんだが腑に落ちない」などがあります。
「腑に落ちない」は納得がいかないことや合点がいかないことを意味する慣用句です。腑とははらわたのことで、心や考えが宿るところという意味があります。これに否定形の落ちないが合わさり、人の意見などに納得がいかないことを「腑に落ちない」と言うようになりました。
また、「腑に落ちない」は、理由や事情がはっきりしておらず、何か隠されているような感じがして納得できないというニュアンスで使います。したがって、理由や事情がはっきり分かれば納得する可能性があると覚えておきましょう。
「腑に落ちない」の対義語
「腑に落ちない」の対義語・反対語としては、納得がいくことを意味する「腑に落ちる」があります。
「腑に落ちない」の類語
「腑に落ちない」の類語・類義語としては、承知できないことを意味する「合点がいかない」、納得がいかないことを意味する「解せない」、事案としては終了しているが納得のできない部分があることを意味する「疑問が残る」などがあります。
「釈然としない」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、疑いや迷いが晴れなくてすっきりしないことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「釈然としない」はマイナスのイメージで使われている言葉です。
「腑に落ちない」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、納得がいかないことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「腑に落ちない」はマイナスのイメージで使われている言葉です。
「釈然としない」と「腑に落ちない」はどちらもすっきりしないことを表します。
どちらの言葉を使うか迷った場合、理由が事情が分かっても納得できずすっきりしないことを表現したい時は「釈然としない」を、理由や事情に疑いを持っており納得できないことを表現したい時は「腑に落ちない」を使うと覚えておきましょう。