似た意味を持つ「冷や水を浴びせる」(読み方:ひやみずをあびせる)と「水を差す」(読み方:みずをさす)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「冷や水を浴びせる」と「水を差す」という言葉は、どちらも他人のモチベーションを下げることを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「冷や水を浴びせる」と「水を差す」の違い
「冷や水を浴びせる」と「水を差す」の意味の違い
「冷や水を浴びせる」と「水を差す」の違いを分かりやすく言うと、「冷や水を浴びせる」は一般的に使われていない、「水を差す」は一般的に使われているという違いです。
「冷や水を浴びせる」と「水を差す」の使い方の違い
一つ目の「冷や水を浴びせる」を使った分かりやすい例としては、「そんな冷や水を浴びせるようなことは言うなよ」「彼の言動で私は冷や水を浴びせられたような気分になりました」「彼女は冷や水を浴びせることばかり言うのでみんなから嫌われている」などがあります。
二つ目の「水を差す」を使った分かりやすい例としては、「便乗値上げは景気回復に水を差すことになるだろう」「喜んでいたのに水を差されて気分が悪くなりました」「彼の反則行為は試合に水を差すこととなりました」「円安が海外旅行に水を差しました」などがあります。
「冷や水を浴びせる」と「水を差す」の使い分け方
「冷や水を浴びせる」と「水を差す」はどちらも他人のモチベーションを下げることを意味しており、大きな違いはありません。あえて違いを挙げるならば、「冷や水を浴びせる」は一般的に使われていないのに対して、「水を差す」は一般的に使われているという点です。
また、「冷や水を浴びせる」と「水を差す」はどちらも辞書に載っている正しい日本語なので、好きな方を使って問題ないと覚えておきましょう。
「冷や水を浴びせる」と「水を差す」の英語表記の違い
「冷や水を浴びせる」も「水を差す」も英語にすると「throw cold water on」「throw a wet blanket on」となり、例えば上記の「円安が海外旅行に水を差しました」を英語にすると「The drop in the value of the yen threw cold water on the craze for overseas travel」となります。
「冷や水を浴びせる」の意味
「冷や水を浴びせる」とは
「冷や水を浴びせる」とは、意気込んでいる人にまるで冷水をかけるように元気を失わせるような言動をすることを意味しています。
表現方法は「冷や水を浴びせる人」「冷や水を浴びせられる」
「冷や水を浴びせる人」「冷や水を浴びせられる」などが、「冷や水を浴びせる」を使った一般的な言い回しになります。
「冷や水を浴びせる」の使い方
「冷や水を浴びせる」を使った分かりやすい例としては、「いい気分になっていたところに冷や水を浴びせられました」「冷や水を浴びせるような発言はしない方がいいだろう」「上司から冷や水を浴びせられてやる気がなくなりました」などがあります。
「冷や水を浴びせる」は意気込んでいる人にまるで冷水をかけるように元気を失わせるような言動をすることを意味する慣用句です。慣用句とは二語以上の単語が結合して、それ全体である特定の意味を表す言葉のことを指しています。
「冷や水を浴びせる」は頑張っている人のやる気を失わせる場合に使う言葉なので、マイナスなイメージでしか使わない言葉です。
「冷や水を浴びせる」の由来
「冷や水を浴びせる」の由来は冷水です。冷水は冷たい水のことを意味しており、この冷水を意気込んでいる人にかけて、相手の元気を失われるような言動をすることを、「冷や水を浴びせる」と言うようになりました。
また、元々は「冷や水を浴びせる」ではなく、「冷水を浴びせる」という慣用句であったため、「冷水を浴びせる」の形で使っても問題ないと覚えておきましょう。
「冷や水を浴びせる」の由来
「冷や水を浴びせる」の類語・類義語としては、言動に非難やからかいをすることを意味する「半畳を入れる」があります。
「水を差す」の意味
「水を差す」とは
「水を差す」とは、仲のいい者同士やうまく進行している事などにわきから邪魔をすることを意味しています。その他にも、水を加えて薄くすることの意味も持っています。
表現方法は「水を差すようなこと」「水を差すようで申し訳ない」
「水を差すようなこと」「水を差すようで申し訳ない」などが、「水を差す」を使った一般的な言い回しになります。
「水を差す」の使い方
「二人の仲に水を差す」「こっちは楽しんでいるので水を差さないで欲しいです」などの文中で使われている「水を差す」は、「仲のいい者同士やうまく進行している事などにわきから邪魔をすること」の意味で使われています。
一方、「鍋に水を差す」「枯れそうな植物に水を差す」などの文中で使われている「水を差す」は、「水を加えて薄くすること」の意味で使われています。
「水を差す」は仲のいい者同士やうまく進行している事などにわきから邪魔をすることと、水を加えて薄くすることの二つの意味を持つ言葉ですが、意味は全く異なっているので使う場面は違うと覚えておきましょう。
また、「水を差す」は仲のいい者同士やうまく進行している事などにわきから邪魔をすることの意味で使う方が多い言葉なので、基本的にマイナスなイメージを伴っています。
「水を差す」は「二人の仲に水を差された」「大人の会話に水を差すもんじゃありません」などのようにマイナスのイメージで使うのが一般的ですが、「水を差すようで申し訳ございませんが」のような言い回しで、ビジネスシーンでも使うことが可能です。
「水を差す」の由来
「水を差す」は元々、熱いお湯に水を入れたら冷めたり、味の濃いものに水を入れるなどのように、水を加えると薄まることの意味で使われていた言葉でした。
そして、料理に水を加えると味が台無しになってしまいます。これが転じて、仲のいい者同士やうまく進行している事などにわきから邪魔をすることを「水を差す」と言うようになりました。
ビジネスシーンでは自分の意見を言いたい時や、話題を本題に戻す場合のクッション言葉として使われています。クッション言葉とは、伝えたい本題に入る前に一言添えて気遣いを示す言葉のことを意味しています。
「水を差す」の類語
「水を差す」の類語・類義語としては、相手が事を起こそうとするところをやっつけることを意味する「出鼻を叩く」、物事の進行や遂行に支障が起こるようにすることを意味する「妨げる」などがあります。
「冷や水を浴びせる」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、意気込んでいる人にまるで冷水をかけるように元気を失わせるような言動をすることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「冷や水を浴びせる」はマイナスなイメージで使う言葉です。
「水を差す」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、仲のいい者同士やうまく進行している事などにわきから邪魔をすることを表現したい時などが挙げられます。その他にも、水を加えて薄くすることを表現したい時にも使います。
例文1から例文4の「水を差す」は仲のいい者同士やうまく進行している事などにわきから邪魔をすること、例文5の「水を差す」は水を加えて薄くすることの意味で使っています。
「冷や水を浴びせる」と「水を差す」はどちらも他人のモチベーションを下げることを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、一般的に使われていないのが「冷や水を浴びせる」、一般的に使われているのが「水を差す」と覚えておきましょう。