似た意味を持つ「偕老同穴」(読み方:かいろうどうけつ)と「比翼連理」(読み方:ひよくれんり)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「偕老同穴」と「比翼連理」という言葉は、どちらも「仲むつまじい夫婦」を表しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
偕老同穴と比翼連理の違い
偕老同穴と比翼連理の意味の違い
偕老同穴と比翼連理の違いを分かりやすく言うと、偕老同穴とは生涯添い遂げることを表し、比翼連理とは相思相愛であることを表すという違いです。
偕老同穴と比翼連理の使い方の違い
一つ目の偕老同穴を使った分かりやすい例としては、「亡くなった祖父母は偕老同穴な理想の夫婦でした」「ご夫妻は偕老同穴の契りを全うされました」「偕老同穴は結婚式の常套句です」「偕老同穴を契った妻を幸せにしたい」などがあります。
二つ目の比翼連理を使った分かりやすい例としては、「愛する人と比翼連理の契りを結びました」「あの夫婦は自他ともに認める比翼連理の仲だ」「比翼連理で理想の夫婦である」「いつまでも比翼連理の関係であり続けたい」などがあります。
偕老同穴と比翼連理の使い分け方
偕老同穴と比翼連理という言葉は、どちらも男女の情愛や、夫婦の仲が良いことを表しますが、厳密な意味や使い方には違いがあります。
偕老同穴とは、生きてはともに老い、死んでは同じ墓に葬られることの意味から、夫婦が仲むつまじく契りの固いことを表します。一生添い遂げることの約束を意味する「偕老同穴の契り」というフレーズは、結婚式の誓いに用いられています。
比翼連理とは、夫婦の仲のむつまじいこと、男女の深い契りを意味する四字熟語です。伝説の「比翼の鳥」と「連理の枝」の略であり、「比翼の鳥」は雌雄それぞれ目や翼が一つずつで常に一体となって飛び、「連理の枝」は二つの木の枝が結合して木目が続いている枝のことです。
偕老同穴と比翼連理はほぼ同じ意味ですが、偕老同穴は生涯添い遂げるというニュアンスがあり、比翼連理は相思相愛で深い仲であることを強調する点に、二つの言葉の違いがあります。
偕老同穴と比翼連理の英語表記の違い
偕老同穴を英語にすると「venus’s flower basket」「happy life partnership」「mutual fidelity till death」となり、例えば上記の「偕老同穴の契を結ぶ」を英語にすると「pledge mutual fidelity till death」となります。
一方、比翼連理を英語にすると「eternal love」「marital vows」となり、例えば上記の「比翼連理の契を結ぶ」を英語にすると「vow eternal love」となります。
偕老同穴の意味
偕老同穴とは
偕老同穴とは、夫婦が仲良く添い遂げること、夫婦の契りが固いことのたとえを意味しています。
偕老同穴の読み方
偕老同穴の読み方は「かいろうどうけつ」です。「偕」は一緒にあることを表す漢字で、音読みで「かい」と読みます。また、にんべんの「偕」を「階」と書き違えないようにしましょう。
偕老同穴の使い方
偕老同穴を使った分かりやすい例としては、「偕老同穴のような夫婦に憧れています」「二人で偕老同穴の関係を築き上げよう」「娘は魚屋の息子と偕老同穴の契りを交わした」「婚活中の英語の先生は偕老同穴の相手を探している」などがあります。
その他にも、「結婚式の祝辞で偕老同穴の由来を話す予定です」「水族館で偕老同穴の契りを結びました」「あのご夫婦のように偕老同穴でいたいものです」「偕老同穴のように一生離れない生き物がいます」などがあります。
偕老同穴とは、共に暮らして老い、死んだ後は同じ墓穴に葬られることを意味します。転じて、夫婦がむつまじく最後まで添い遂げること、夫婦関係が非常に固いことをたとえていう四字熟語となっています。
偕老同穴の由来
偕老同穴という言葉の語源は、中国最古の詩集「詩経」に由来します。邶風・撃鼓篇に「子の手を執りて子と偕に老いん」、王風・大車篇に「穀きては則ち室を異にすとも、死しては則ち穴を同じうせん」とあることを出典とします。
この偕老同穴の意味にあやかって、「カイロウドウケツ」と名付けられた海の生き物がいます。カイロウドウケツ科の海綿動物であり、内部の胃腔に雌雄一対のドウケツ海老が共生することから「カイロウドウケツ」と呼ばれるようになりました。
偕老同穴の対義語
偕老同穴の対義語・反対語としては、ともにこの世に生きられない間柄を意味する「不倶戴天」、性質が合わずしっくり調和しないことを意味する「水と油」などがあります。
偕老同穴の類語
偕老同穴の類語・類義語としては、夫婦の絆がきわめて強いことのたとえを意味する「鴛鴦之契」、仲むつまじい夫婦を意味する「おしどり夫婦」、夫婦の仲が水鳥のようにむつまじく家庭が円満であることを意味する「関関雎鳩」などがあります。
比翼連理の意味
比翼連理とは
比翼連理とは、男女の情愛の深くむつまじいことのたとえ、夫婦仲のむつまじいことのたとえを意味しています。
比翼連理の使い方
比翼連理を使った分かりやすい例としては、「私の両親はまさに比翼連理です」「比翼連理な夫婦が一緒に英語教室に通っている」「比翼連理な結婚生活に憧れています」「比翼連理なカップルを描いたアニメです」などがあります。
その他にも、「比翼連理な二人が羨ましい」「あの夫婦は共にアニメ好きで比翼連理である」「比翼連理の同棲カップルもあるだろう」「比翼連理のダーリンに出会えて幸せです」「結婚式で比翼連理の誓いを立てる」などがあります。
比翼連理とは、相思相愛で男女の情愛が深いこと、夫婦仲が良いさまを意味します。恋人や夫婦など深い関係にある男女に対して用いられる四字熟語であり、結婚式のスピーチなどでも盛んに使用される慣用的な表現です。
比翼連理の由来
比翼連理の語源は、中国の伝説に登場する鳥と木に由来します。「比翼の鳥」は雌雄それぞれ一目一翼のため常に並んで飛ぶといわれ、「連理の枝」は2本の木でありながら枝が連なって1本となるとされています。
唐代の詩人である白居易は、唐の皇帝玄宗と楊貴妃と悲恋を表現した「長恨歌」において「比翼の鳥」と「連理の枝」を用いて歌いました。原文は「在天願作比翼鳥在地願為連理枝」、書き下し文は「天にあっては願わくば比翼の鳥となり、地にあっては願わくば連理の枝とならん」となります。
比翼連理の対義語
比翼連理の対義語・反対語としては、一緒にはいられないほど憎しみ深いことを意味する「倶不戴天」、犬と猿のように互いにいがみあう関係を意味する「犬猿の仲」、仲が極めて悪いことを意味する「呉越」などがあります。
比翼連理の類語
比翼連理の類語・類義語としては、夫婦の仲がよく常に離れることがないことを意味する「双宿双飛」、おおとりの雌雄のように夫婦が仲むつまじいことを意味する「鳳凰于飛」、男女の情愛のきわめて深いことを意味する「連理之枝」などがあります。
偕老同穴の例文
この言葉がよく使われる場面としては、夫婦の契りの固いこと、むつまじく幸福な理想の結婚生活を表現したい時などが挙げられます。
例文5にある「偕老同穴の契り」は偕老同穴の慣用的な言い回しです。偕老同穴の契りとは、夫婦仲よく共に年を取りましょうという誓いです。「契り」は、約束や誓いを意味します。
比翼連理の例文
この言葉がよく使われる場面としては、男女の情愛の深くむつまじいことのたとえ、相思相愛の仲を表現したい時などが挙げられます。
例文1に関して、比翼連理という言葉は、白居易が玄宗皇帝と楊貴妃との悲恋を描いた「長恨歌」をもとに作られた故事成語です。
偕老同穴と比翼連理という言葉は、どちらも「夫婦仲が良いこと」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、生涯添い遂げることを表現したい時は「偕老同穴」を、相思相愛であることを表現したい時は「比翼連理」を使うようにしましょう。