似た意味を持つ「火中の栗を拾う」(読み方:かちゅうのくりをひろう)と「危ない橋を渡る」(読み方:あぶないはしをわたる)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「火中の栗を拾う」と「危ない橋を渡る」という言葉は、どちらも危険を冒すことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「火中の栗を拾う」と「危ない橋を渡る」の違い
「火中の栗を拾う」と「危ない橋を渡る」の意味の違い
「火中の栗を拾う」と「危ない橋を渡る」の違いを分かりやすく言うと、「火中の栗を拾う」は他人の利益のためだけに使う、「危ない橋を渡る」は他人だけではなく自分の利益のためにも使えるという違いです。
「火中の栗を拾う」と「危ない橋を渡る」の使い方の違い
一つ目の「火中の栗を拾う」を使った分かりやすい例としては、「他人をそそのかして火中の栗を拾うようなやり方には反対です」「赤字の企業と提携するなんて火中の栗を拾うようなもんだ」「火中の栗を拾うようなことにならないようよく考えた方がいいだろう」などがあります。
二つ目の「危ない橋を渡る」を使った分かりやすい例としては、「この試合に勝つには危ない橋を渡るしかありません」「彼女は結果のためには危ない橋を渡る人です」「危ない橋を渡ってでもこの実験は成功させたいです」などがあります。
「火中の栗を拾う」と「危ない橋を渡る」の使い分け方
「火中の栗を拾う」と「危ない橋を渡る」はどちらも危険を冒すことを意味する言葉ですが、使い方に少し違いがあるので注意が必要です。
「火中の栗を拾う」は自分の利益にならないのに他人のために危険を冒すことを意味しており、他人の利益のためだけに行う場合に使います。
一方、「危ない橋を渡る」は危険な手段をとることを意味しており、他人だけではなく自分の利益のために行う場合にも使えるというのが違いです。
「火中の栗を拾う」と「危ない橋を渡る」の英語表記の違い
「火中の栗を拾う」も「危ない橋を渡る」も英語にすると「to take a risk for someone」となります。
「火中の栗を拾う」の意味
「火中の栗を拾う」とは
「火中の栗を拾う」とは、自分の利益にならないのに他人のために危険を冒すことを意味しています。
「火中の栗を拾う」の読み方
「火中の栗を拾う」の読み方は「かちゅうのくりをひろう」です。誤って「ひなかのくりをひろう」などと読まないようにしましょう。
「火中の栗を拾う」の使い方
「火中の栗を拾う」を使った分かりやすい例としては、「本件はまさに火中の栗を拾うと言えるだろう」「彼女のためとなれば火中の栗を拾うことも苦ではありません」「この案件はリスクはあるが火中の栗を拾う価値はあると思います」などがあります。
「火中の栗を拾う」は自分の利益にならないのに他人のために危険を冒すことを意味することわざです。ことわざとは、古くから言い伝えられてきた教訓または風刺の意味を含んだ短い言葉のことを意味しています。
「火中の栗を拾う」の語源
「火中の栗を拾う」の語源はイソップ物語です。イソップ物語の中に『猿と猫』という作品がありました。
この作品は猿と猫が暖炉の中で栗が焼けているの眺めることから始まります。猿は暖炉の中の栗が食べたかったので、猫なら上手く取れるよとそそのかして、火の中の栗を取らせに行こうとします。
猫はおだてられてその気になってしまい、火の中に飛び込んで栗を取ってくるのです。しかし、猫が火傷を負って苦しんでいる間に猿が栗を食べてしまい、猫は火傷を負うだけでなく栗も食べれませんでした。
結局、猫は危険を冒したのにも関わらず何も得ることができなかったのです。これが転じて、自分の利益にならないのに他人のために危険を冒すことを「火中の栗を拾う」と言うようになりました。
「火中の栗を拾う」はマイナスのイメージで使う言葉
そのため、「火中の栗を拾う」は基本的にマイナスのイメージで使われている言葉です。
「火中の栗を拾う」の類語
「火中の栗を拾う」の類語・類義語としては、危険を冒して物事を行なうことを意味する「綱渡りをする」、危険と知りながら敢えて行うことを意味する「リスクを冒す」などがあります。
「危ない橋を渡る」の意味
「危ない橋を渡る」とは
「危ない橋を渡る」とは、危険な手段をとることを意味しています。
「危ない橋を渡る」の使い方
「危ない橋を渡る」を使った分かりやすい例としては、「このまま危ない橋を渡ると後悔することになるだろう」「若い頃は危ない橋を渡ることも多かったが今は家庭もあるので厳しいです」「彼女はお金のためなら危ない橋を渡るので恐ろしいです」などがあります。
「危ない橋を渡る」は危険な手段をとることを意味することわざです。また、承知で法律に違反するような行為を行う場合に使うことが多いため、基本的にマイナスのイメージを伴っていると覚えておきましょう。
「危ない橋を渡る」の注意点
「危ない橋を渡る」を使う上で注意しなければならないのは、用いる手段が危険と分かっている場合にのみ使えるという点です。危険だと分かっていても目的達成ために行うというニュアンスで使う必要があります。
「危ない橋を渡る」の特徴
「危ない橋を渡る」は自分の利益ためだけではなく、他人の利益のために危険な手段を取る場合にも使えるというのが特徴です。
「危ない橋を渡る」の語源
「危ない橋を渡る」の語源は吊り橋です。吊り橋は現代においてはほとんど残っていませんが、昔は一般的でした。吊り橋は基本的に木で作られており、年月が経てば経つほど腐って落ちそうな状態になるのです。
しかし、落ちそうな状態と知っていても、向こう岸へ渡るためには危険な吊り橋を渡るしかありません。この知っているのにやらなければならないということが転じて、危険な手段をとることを「危ない橋を渡る」という意味で使われるようになりました。
「危ない橋を渡る」の対義語
「危ない橋を渡る」の対義語・反対語としては、用心の上にも用心深く物事を行うことを意味する「石橋の上を叩いて渡る」があります。
「危ない橋を渡る」の類語
「危ない橋を渡る」の類語・類義語としては、危険を冒さなければ大きな成功は得られないことを意味する「虎穴に入らずんば虎子を得ず」、自分から進んで災いの中に飛び込むことを意味する「飛んで火に入る夏の虫」などがあります。
「火中の栗を拾う」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、自分の利益にならないのに他人のために危険を冒すことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「火中の栗を拾う」はマイナスなイメージで使われることが多い言葉です。
「危ない橋を渡る」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、危険な手段をとることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「危ない橋を渡る」はマイナスなイメージで使われることが多い言葉です。
「火中の栗を拾う」と「危ない橋を渡る」はどちらも危険を冒すことを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、他人の利益のためだけに使うのが「火中の栗を拾う」、他人だけではなく自分の利益のためにも使えるのが「危ない橋を渡る」と覚えておきましょう。