似た意味を持つ「マウント」と「マウンティング」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「マウント」と「マウンティング」という言葉は、「優位性を示す言動」という共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
マウントとマウンティングの違い
マウントとマウンティングの意味の違い
マウントとマウンティングの違いを分かりやすく言うと、マウントは自分を優位に見せる言動や状態を表現する時に使い、マウンティングは自分を優位に見せる行動を表現する時に使うという違いです。
マウントとマウンティングの使い方の違い
一つ目のマウントを使った分かりやすい例としては、「マウントをとるような女性と付き合いたくない」「先輩はマウントをとらないでいられないのか自分の幸せ自慢を毎日してくる」「マウントポジションは格闘技で使われる言葉だ」などがあります。
二つ目のマウンティングを使った分かりやすい例としては、「女子はマウンティングをする生き物だと男性に言われて腹が立った」「犬のマウンティングはしつけてやめさせるべきだ」「マウンティングされやすいことに彼女は気が付いていない」などがあります。
マウントとマウンティングの使い分け方
マウントとマウンティングはどちらも、相手を見下して自慢することを意味する言葉でほとんど同じ意味として使われていますが、ニュアンスが若干異なります。
マウントは、上記例文のように「マウントをとる」という表現で使われることがほとんどで、「とる」はその動作や状態にあることを表します。上記の「マウントポジション」は馬乗りになっている状態を指します。
一方のマウンティングは、上下関係を示すための行動を表し、上記の「マウンティング女子」のような表現で使われることがありますが、人間だけでなく動物に対しても使われています。
つまり、マウントは自分自身を優位に見せるような言動だけでなく状態も指し、マウンティングは自分自身を優位に見せるような行動を指すという違いがあります。
そのため、上記の「マウントをとる」という表現はマウンティングと同じように使われていますが、「マウンティングをとる」ではなく「マウンティングをする」と表現されます。加えて、「マウントをする」という表現はほとんど使われていません。
また、マウンティングはオスがメスや他のオスに対して優位性を示すための行動や、他のものに馬乗りになる行動を表す場合にも使われています。
マウントとマウンティングの英語表記の違い
マウントを英語にすると「mount」となり、マウンティングを英語にすると「mounting」となりますが、例えば上記の「マウントをとる」「マウンティングをする」を英語にすると「to one-up someone」「arrogant to one」となります。
マウントの意味
マウントとは
マウントとは、自分の優位性を相手にアピールする言動を意味しています。
マウントの使い方
マウントを使った分かりやすい例としては、「マウントをとることの何が楽しいのかが分からない」「彼はマウントをとらずに話を聞いてくれる」「自分ではマウントをとっているのか分かっていない」「マウントをとる先輩の対処法が思いつかない」などがあります。
その他にも、「マウントと感じずとも相手はそう思っているかもしれない」「マウント女子は職場でも多くの人に嫌われている」「話の中心にいられない時間が退屈なのかマウントをとって誰かを貶してでも周りを巻き込んでいく人もいる」などがあります。
「マウントをとる」の由来
マウントは英語で「mount」と表記され、「登る」「またがる」「乗せる」といった意味を持つ言葉で、日本語でも同じように使われています。様々な意味を持つ言葉で、格闘技などの「マウントポジション」のマウントは、またがり馬乗りになった状態を指します。
この「マウントポジション」が相手に反撃を許さない状態で有利な体勢であることに由来して、上記例文の「マウントをとる」といった表現で、相手に自身の優位性をアピールする言動を指すようになりました。
また、「マウンティング」という言葉が、イヌやサルなどの動物のオスがメスや他のオス相手に馬乗りになることや、優位を示す行動として使われていることが由来となったとも言われています。
どちらが語源だとしても、他者を貶めてに対して自分の優位を見せつけたり、認めさせることを指し、場合によっては攻撃性を伴う言動も含みます。
マウントの対義語
マウントの対義語・反対語としては、自分自身をつまらない人間だと軽蔑することを意味する「自嘲」、自分で自分をいじめて苦しめることを意味する「自虐」があります。
マウントの類語
マウントの類語・類義語としては、おごり高ぶることを意味する「慢心」、才能などが優れていると自惚れることを意味する「高慢」、いい気になって自慢することを意味する「天狗になる」、強引に相手を屈服させることを意味する「ねじ伏せる」などがあります。
マウンティングの意味
マウンティングとは
マウンティングとは、優位な個体による劣位個体への行動を意味しています。
その他にも、動物が上下関係を示すために起こす行動を意味する言葉としても使われています。
マウンティングの使い方
「マウンティング女子がなぜそこまで自身のアピールに余念がないのかと不思議だ」「マウンティングをしてくる人が何を考えているのかはわからない」などの文中で使われているマウンティングは、「優位性を他者に示すこと」の意味で使われています。
一方、「犬のマウンティングに大した意味があると思っていなかった」「マウンティングをする人はサルと同じことをしている」などの文中で使われているマウンティングは、「上下関係を示す行動」の意味で使われています。
マウンティングは英語で「mounting」と表記され、「mount」の派生語のため「またがる」「登る」といった意味で使われますが、マウンティングには「動物の交尾のための行動」という意味もあります。
そのため、優位性を示すための行動や自慢することを意味する和製英語とされており、動物に対して使うことによって日本語でも動物の交尾のための行動を表すことができますが、人間と同じように交尾に限定せず上下関係を示すための行動を指すこともあります。
例えば、上記例文の「犬のマウンティング」は、メス相手だけではなく他のオスの犬や人に対して行うこともあり、メスの犬でもストレスの緩和のために行います。また、サルも力関係を示す時にマウンティングを行います。
しかし、人間に対してマウンティングという言葉を使う場合は、交尾やストレス緩和のためといった目的は持たず、自身が他者よりも優れていることを表す目的でとられる行為となります。
マウンティングの対義語
マウンティングの対義語・反対語としては、自分を劣ったものとして見下すことを意味する「卑下」、へりくだることを意味する「謙遜」があります。
マウンティングの類語
マウンティングの類語・類義語としては、自分の才能や業績などを誇りに持つことを意味する「自負」、威勢がよさそうに見せることを意味する「肩を張る」、大きい手柄を立てたように得意になることを意味する「鬼の首を取ったよう」などがあります。
マウントの例文
この言葉がよく使われる場面としては、自分の優位性を相手にアピールする言動や状態を意味する時などが挙げられます。
例文1の「マウントワード」は他者よりも自分の言動が優れているということを示すような言葉で、口語文に対して使われています。
マウンティングの例文
この言葉がよく使われる場面としては、優位な個体による劣位個体への行動を意味する時などが挙げられます。
例文4や例文5のように、動物に対しても使われることがありますが、人間と動物とでは目的が異なる場合があります。
マウントとマウンティングは、どちらも「優位性を示す言動」を表します。どちらを使うか迷った場合は、自分を優位に見せる言動や状態を表す場合は「マウント」を、自分を優位に見せる行動を表す場合は「マウンティング」を使うと覚えておけば間違いありません。