【生起】と【発生】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「生起」(読み方:せいき)と「発生」(読み方:はっせい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「生起」と「発生」という言葉は、どちらも「物事が起こること」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




生起と発生の違い

生起と発生の意味の違い

生起と発生の違いを分かりやすく言うと、生起とは文語的な表現、発生とは一般的な表現という違いです。

生起と発生の使い方の違い

一つ目の生起を使った分かりやすい例としては、「データに基づいて生起確率を算出する」「反応の生起頻度を変化させる実験を行う」「迷惑行為の生起過程と要因を分析する」「社会に生起する問題について法的に考える」などがあります。

二つ目の発生を使った分かりやすい例としては、「地震発生時に気をつけることをイラストにする」「発生しうる津波への対策を検討する」「発生主義での計上のタイミングを教えてください」「動物も植物も発生のスタートは受精卵です」などがあります。

生起と発生の使い分け方

生起と発生という言葉は、どちらも事件や現象が起こることを表しますが、厳密な意味や使い方には違いがあります。

生起とは、物事が生ずること、事件や現象が現れ起こることを意味します。日常会話などの話し言葉にはあまり用いられず、文章を書くときに多く用いられる文章語です。「生起確率」とは、物事が生じる確率のことで、数値で表されるものです。

発生とは、「地震発生」のような使い方で、物事の起こることや生じることを意味します。また、「胚発生」のような使い方で、受精後に細胞が分裂増殖して個体となる過程を意味する生物学用語にもなっています。発生という言葉は、書き言葉でも話し言葉としても一般的に使用されています。

つまり、生起とはあまり使用されない文語的表現であり、発生とは使用頻度の高い一般的な表現です。また、発生は生物学用語にもなっている点も、二つの言葉の明確な違いになります。

生起と発生の英語表記の違い

生起も発生も英語にすると「occurrence」「development」「happening」となり、例えば上記の「生起確率」を英語にすると「occurrence probability」となります。

生起の意味

生起とは

生起とは、ある事件や現象などが現れ起こることを意味しています。

生起の読み方

生起の読み方は「せいき」です。ただし、仏教用語としての生起は「しょうき」と読まれることがあります。

生起の使い方

生起を使った分かりやすい例としては、「感情が生起するメカニズムを解明する」「戦争は突然生起するものではありません」「チベット密教の生起次第を学ぶ」「お釈迦さまは一切の自然の営みは因縁生起であると説きました」などがあります。

その他にも、「サイコロ投げの事象の生起確率を表にまとめる」「刺激を与えて行動の生起頻度を変化させる」「過去に生起した発雷パターンをデータ化する」「生起確率の求め方をわかりやすく教えてください」などがあります。

生起の「生」は訓読みで「うまれる」と読み、物事が起きることや物事が現れることを表し、「起」は訓読みで「おきる」と読み、何事かが発生することを表します。生起とは、新たな状態が出現したり事件が起こったりすることを意味します。

「因縁生起」の意味

生起を用いた日本語には「因縁生起」(読み方:いんねんせいき、いんねんしょうき)があります。因縁生起とは、この世に存在する物事は、すべて因と縁によって成立していることを意味する仏教用語です。因縁生起は、略して「縁起」と呼ばれています。

生起の対義語

生起の対義語・反対語としては、物が消えてなくなることを意味する「消失」などがあります。

生起の類語

生起の類語・類義語としては、ある物事や状態が現れ出ることを意味する「発出」、ある物事や状態を新たにつくるを意味する「生ずる」、物事が次々と起こることやある現象が急に多く現れることを意味する「沸く」などがあります。

発生の意味

発生とは

発生とは、物事が起こること、生じることを意味しています。

その他にも、「受精卵や胞子から多細胞の高次な状態へ不可逆的に変化・発展すること、個体発生」の意味も持っています。

発生の使い方

「発生主義と現金主義ではどっちが効率的ですか」「この部署は海外とのやり取りが発生するので英語力が必要です」「発生材処分費の相場を調べています」などの文中で使われている発生は、「物事が起こること」の意味で使われています。

一方、「大学では胚発生について研究しています」「臨床における心臓発生学の知識を深める」「発生生物学会のオンラインミーティングに参加する」などの文中で使われている発生は、「受精卵や胞子から多細胞の状態へ変化すること」の意味で使われています。

発生とは、上記の例文にあるように二つの意味を持ちますが、一般的には「物事が起こること、生じること」の意味で使用される言葉です。発生の「発」は外に現れ出ることや生じさせること、「生」は物事の起こりを表す漢字です。

「発生主義」の意味

発生を用いた日本語には「発生主義」があります。発生主義とは、会計処理の原則の一つであり、実際には現金の収支がなくても費用や収益を計上する会計基準を意味します。反対に、実際の現金の収支が発生した時点で費用や収益を計上する会計基準のことを「現金主義」と言います。

発生の対義語

発生の対義語・反対語としては、存在していたものがなくなってしまうことを意味する「消滅」などがあります。

発生の類語

発生の類語・類義語としては、ものを新たにつくり出すことを意味する「生成」、現れ出ることや現し出すことを意味する「発現」、物事が起こり現れることを意味する「発症」、育って大きくなることを意味する「発育」、植物が生長することを意味する「生育」などがあります。

生起の例文と使い方

1.日々生起するニュースの中には、虚構である小説よりもかえって奇妙なものが沢山あります。
2.職場でセクハラやパワハラが生起したときの対応を、フローチャートでまとめることにしました。
3.英単語の学習方法が、英語の文法エラー生起に与える影響を調査しています。
4.ディレクトリ分布であれば、複数のカテゴリからなる事象の生起確率を表現することができます。
5.ある行動の生起頻度を減少させる方法を、心理学の観点から考えてみましょう。

この言葉がよく使われる場面としては、ものの生ずること、事件や現象があらわれ起こることを表現したい時などが挙げられます。

例文5にある「生起頻度」とは、物事が繰り返して起こる回数や度合いを意味します。

発生の例文と使い方

1.今年の台風発生数は、平年よりやや少なくなると予想されています。
2.不良品の発生原因と流出原因を明らかにして、生産体制を万全なものにする。
3.発生主義は取引が発生した時点で会計処理を行いますが、現金主義は現金のやり取りが行われるまで費用を計上しません。
4.痛みや凝りの発生機序を知り、それをなくすにはどうしたらいいのか考えてみましょう。
5.多細胞生物における胚の発生は、DNAが持つ遺伝情報に基づいて進行します。

この言葉がよく使われる場面としては、物事の起こることや生じること、生物学で高次な細胞状態に不可逆的に変化すること、個体における形態形成の初期過程を表現したい時などが挙げられます。

例文4にある「発生機序」とは、発生の現象が起こる因果関係を意味し、特に病気やケガが発生したしくみやメカニズムを指します。

生起と発生という言葉は、どちらも「物事が起こること」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、物事が起こることを文章語で表現したい時は「生起」を、物事が起こることを一般的に表現したい時は「発生」を使うようにしましょう。

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