似た意味を持つ「留守」(読み方:るす)と「不在」(読み方:ふざい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「留守」と「不在」という言葉は、どちらも「その場所にいないこと」を表しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
留守と不在の違い
留守と不在の意味の違い
留守と不在の違いを分かりやすく言うと、留守とは家にいないことのみを表し、不在とは家に限らずその場所にいないこと表すという違いです。
留守と不在の使い方の違い
一つ目の留守を使った分かりやすい例としては、「留守中にブレーカーが落ちる原因は何だろう」「留守中の空き巣にご用心」「留守番電話機を買いました」「iphoneの留守番電話の聞き方が分からない」「失敗しない留守電の残し方を教えましょう」などがあります。
二つ目の不在を使った分かりやすい例としては、「不在を知らせる自動応答メールが便利です」「不在者投票のやり方を教えてください」「郵便受けに不在連絡票がありました」「事故当時、両親は不在でした」などがあります。
留守と不在の使い分け方
留守と不在という言葉は、どちらも「ある場所にいないこと」を表しますが、厳密な意味や使い方には違いがあります。
留守とは、外出していて家にいないことであり、いない場所を家に限定した表現です。また、「留守を預かる」のように、その家の人がいない間にそこに留まって家を守ること、「手がお留守になる」のような使い方で、他のことに気を取られてやるべき事が疎かになることの意味も持っています。
不在とは、その場所や位置にいないことを意味し、その場所とは家に限定されず、会社や集会などいろいろな場所に対して使うことができます。「不在連絡票」とは、宅配便において、荷受人が不在のため荷物の引渡しを行えない場合に、荷物の引渡しに必要な事項を記載した書面のことです。
つまり、留守は家に限定していないことを表し、不在は家だけでなく特定の場所にいないことも表す点に、二つの言葉の違いがあります。
留守と不在の英語表記の違い
留守も不在も英語にすると「absence」となり、例えば上記の「留守中に」を英語にすると「during one’s absence」となります。
留守の意味
留守とは
留守とは、主人や家人が外出している間、その家を守ることを意味しています。
その他にも、「外出して家にいないこと」「他のことに心を奪われ、その方に気が回らないこと」の意味も持っています。
留守の読み方
留守の読み方は「るす」です。誤って「るしゅ」「りゅうしゅ」などと読まないようにしましょう。
留守は「守」を「主」に替えて「留主」とも書きますが、留守と表記する方が一般的です。
表現方法は「留守にする」「留守にしております」「留守を預かる」
「留守にする」「留守にしております」「留守を預かる」などが、留守を使った一般的な言い回しです。
留守の使い方
「犬にお留守番のトレーニングする」「留守番電話サービスは契約していません」「スマホの留守電設定を孫に教えてもらう」などの文中で使われている留守は、「家人が外出している間、家を守ること」の意味で使われています。
一方、「共働きの両親は留守がちです」「留守中の防犯対策は万全ですか」などの文中で使われている留守は「家にいないこと」の意味で、「テレビに夢中になり箸がお留守になる」などの文中で使われている留守は、「心を奪われ気が回らないこと」の意味で使われています。
留守とは、上記の例文にあるように複数の意味を持つ言葉です。それぞれの意味で使用されているので、文脈により判断する必要があります。留守の「留」はその場所にとめておくこと、その位置から動かないこと、「守」は侵されたり害が及ばないように防ぐことを表します。
留守の語源
留守の語源は、中国語に由来します。古く中国で、皇帝が不在中に都に留まり代わりに政治を行うことや、その人を「留守」と言いました。この言葉が日本に伝えられ、鎌倉時代には「外出して不在になること」、江戸時代には「他の事に心を奪われ気が回らない」という意味を持つようになったのです。
「留守電」の意味
上記の例文にある「留守電」とは、「留守番電話」の略語です。留守番電話とは、留守のときに着信があれば自動的に応答し、相手の用件を録音することができる電話のことです。
ことわざ「鬼の留守に洗濯」の意味
留守を用いたことわざには、「鬼の留守に洗濯」があります。主人や上司など監督する立場にいる人物がいない間に、十分にくつろぐことを意味します。「鬼の来ぬ間に洗濯」ともいいます。
留守の対義語
留守の対義語・反対語としては、外出しないで自分の家にいることを意味する「在宅」、長期間にわたり自宅に閉じこもり社会的な活動に参加しないことを意味する「引きこもり」などがあります。
留守の類語
留守の類語・類義語としては、家を留守にすることを意味する「家を空ける」、自宅や勤め先などから出かけることを意味する「外出」、人の住んでいないことを意味する「無人」、家にいながら不在をよそおうことを意味する「居留守」、人がみな出てしまうことを意味する「出払う」などがあります。
不在の意味
不在とは
不在とは、本来いるべき場所にいないことを意味しています。
表現方法は「不在を伝える」「不在がち」「不在にしております」
「不在を伝える」「不在がち」「不在にしております」などが、不在を使った一般的な言い回しです。
不在の使い方
不在を使った分かりやすい例としては、「郵便局で不在届の手続きをする」「英語の先生が不在だったので質問できなかった」「出張の際は早めに不在メールを送るようにしています」「滞在先の市区町村でも不在者投票ができます」などがあります。
その他にも、「知らない番号からの不在着信が3件もある」「ポストに宅配業者からの不在票が入っていた」「不在票を見ながら郵便局に電話をする」「家庭裁判所に不在者財産管理人の申立てをする」などがあります。
不在という言葉の「在」は、そこにあることや、ある場所や立場などにいることを表します。打ち消しの助字である「不」と組み合わさり、不在とは、その場所にいないことを意味します。家や会社あるいは会合など、様々な場面で使うことができます。
「不在着信」の意味
上記の例文にある「不在着信」とは、携帯電話や固定電話などで応答できなかった着信のことです。多くの電話機で、伝言メモや留守番電話サービスに切り替える機能を持っています。
「不在者投票」の意味
不在を用いた日本語には「不在者投票」があります。不在者投票とは選挙用語であり、日本における事前投票制度の一つです。入院や長期出張などで投票所に行けない場合に、住所地以外の市区町村や入院先の病院などで投票ができます。
不在の対義語
不在の対義語・反対語としては、室内にいることを意味する「在室」、住んでいる土地を意味する「在地」、会合や学校の授業などに出ることを意味する「出席」などがあります。
不在の類語
不在の類語・類義語としては、出席すべき会合などに出ないことを意味する「欠席」、出勤すべき日に出勤しないことを意味する「欠勤」、出場するはずの場所に出ないことを意味する「欠場」、参加や出席などをしないことを意味する「不参」などがあります。
留守の例文
この言葉がよく使われる場面としては、主人が外出している間その家を守ること、外出して家を明けること、他のことに心を奪われ気が回らないことを表現したい時などが挙げられます。
例文2の「留守居役」とは、江戸幕府の職名の一つです。留守居役は、将軍不在のときは江戸城中の警衛などを司りました。
不在の例文
この言葉がよく使われる場面としては、家にいないこと、その場所にいないことを表現したい時などが挙げられます。
例文3にある「現場不在証明」とは、いわゆる「アリバイ」のことであり、犯罪などの事件が発生した時に被疑者は現場にいなかった、という証明のことです。現場不在証明は、犯人でないことの証明になります。
留守と不在という言葉は、どちらも「その場所にいないこと」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、家にいないことのみを表現したい時は「留守」を、家に限らずその場所にいないことを表現したい時は「不在」を使うようにしましょう。