似た言葉である「手間取る」(読み方:てまどる)と「手こずる」(読み方:てこずる)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「手間取る」と「手こずる」という言葉は、似ていても意味は少し異なりますので、ご注意下さい。
「手間取る」と「手こずる」の違い
「手間取る」と「手こずる」の意味の違い
「手間取る」と「手こずる」の違いを分かりやすく言うと、「手間取る」とは思ったより手間がかかること、「手こずる」とは取り扱いかねて持て余すことという違いです。
「手間取る」と「手こずる」の使い方の違い
一つ目の「手間取る」を使った分かりやすい例としては、「準備に手間取ってしまったので出発まであまり時間がありません」「この仕事はだいぶ手間取る」「問題の解決に手間取る」「靴を選ぶのに思ったより手間取ってしまった」などがあります。
二つ目の「手こずる」を使った分かりやすい例としては、「彼女の説得に手こずっています」「他国との交渉に手こずる」「この案件に手こずるとは思ってもいませんでした」「彼女は仕事探しに手こずっている」などがあります。
「手間取る」と「手こずる」の使い分け方
「手間取る」と「手こずる」は似た表現ですが、意味は少し異なっているので間違えないように注意しましょう。
「手間取る」は思ったより手間がかかることを意味しており、「成人式の準備に手間取る」「服を選ぶのに手間取る」などのように使います。
一方、「手こずる」は取り扱いかねて持て余すことを意味しており、「父親の説得に手こずる」「資料の作成に手こずる」などのように使うというのが違いです。
「手間取る」と「手こずる」の英語表記の違い
「手間取る」を英語にすると「take more time than expected」となり、例えば上記の「靴を選ぶのに思ったより手間取ってしまった」を英語にすると「It took me more time than I had expected to choose a shoes」となります。
一方、「手こずる」を英語にすると「have much trouble」「have a hard time」「struggle」となり、例えば上記の「彼女は仕事探しに手こずっている」を英語にすると「She struggling to find a job」となります。
「手間取る」の意味
「手間取る」とは
「手間取る」とは、思ったより手間がかかることを意味しています。
「手間取る」の読み方
「手間取る」の読み方は「てまどる」です。誤って「てまとる」などと読まないようにしましょう。
「手間取る」の使い方
「手間取る」を使った分かりやすい例としては、「忘年会の日程調整に手間取る」「交換に手間取りましたが無事入れ替えることができました」「ビザの申請に手間取る人は多いです」「西郷軍は熊本城の攻略に手間取る」などがあります。
「手間取る」は思ったより手間がかかることを意味する動詞です。
本来はもっと素早く片付けられたり、終わらせられるようなことを、予想以上に時間がかかってしまった場合に使う言葉になります。そのため、どちらかというマイナスなイメージで使うことが多いです。
人生は想定通りになることがそこまで多くないので、「手間取る」を経験したことがある人も多いでしょう。
「手間取る」はビジネスシーンでも使うことができる言葉ですが、敬語表現ではないので目上の人に対してはそのまま使うことはできません。
もし、使いたいのであれば、「お手間を取らせてしまいますが」「お手間を取らせてしまい申し訳ございません」などを使うようにしましょう。
「手間取る」の対義語
「手間取る」の対義語・反対語としては、仕事が順調にどんどん進むことを意味する「捗る」があります。
「手間取る」の類語
「手間取る」の類語・類義語としては、はかどらないで時間が長くかかることを意味する「長引く」、時間が長くかかることを意味する「暇取る」、物事がうまくはかどらないことを意味する「もたつく」などがあります。
「手こずる」の意味
「手こずる」とは
「手こずる」とは、取り扱いかねて持て余すことを意味しています。
「手こずる」の漢字表記
「手こずる」を漢字にすると、「手子摺る」や「梃摺る」と表記することができますがあまり一般的ではありません。余程の理由がない限り、ひらがなの「手こずる」を使うようにしましょう。
「手こずる」の使い方
「手こずる」を使った分かりやすい例としては、「やんちゃな子供の扱いに手こずる」「企画書の作成に手こずる」「彼は頑固なので説得に手こずる」「相手の捨て身の攻撃に手こずることもありました」などがあります。
「手こずる」は取り扱いかねて持て余すことや処置に困ることを意味する動詞です。そのため、どちらかというとマイナスなイメージで使う言葉になります。
「手こずる」はビジネスシーンにおいても使うことが可能です。例えば、仕事の交渉で行き詰まっている場合は「取引先との契約で手こずっている」、処理方法が分からない場合は「対処方法に手こずっている」などと使います。
「手こずる」の由来
「手こずる」の由来は道具の「梃子」です。梃子とは、重い物を動かす時に使われる道具のことを指しています。江戸時代には人や物の行き来が頻繁になり、梃子を使って重い物を運ぶ機会も多かったのです。
そんな中で、梃子がずれて上手く使えないと、重い物を動かすのにとても時間がかかってしまいます。
これが転じて、取り扱いかねて持て余すことを「手こずる」と言うようになりました。
「手こずる」の対義語
「手こずる」の対義語・反対語としては、わけなくできることを意味する「容易い」があります。
「手こずる」の類語
「手こずる」の類語・類義語としては、うまく処理できなくて困ることを意味する「手を焼く」、苦心していろいろと考えることを意味する「苦慮する」などがあります。
「手間取る」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、思ったより手間がかかることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「手間取る」は予想以上に時間がかかってしまったというややマイナスなイメージで使う言葉です。
「手こずる」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、取り扱いかねて持て余すことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「手こずる」はビジネスシーンにおいても使うことができる言葉です。
「手間取る」と「手こずる」は似た言葉ですが意味は異なっています。どちらの言葉を使うか迷った場合、思ったより手間がかかることを表現したい時は「手間取る」を、取り扱いかねて持て余すことを表現したい時は「手こずる」を使うと覚えておきましょう。