似た意味を持つ「苛烈」(読み方:かれつ)と「熾烈」(読み方:しれつ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「苛烈」と「熾烈」という言葉は、どちらも「程度が激しいさま」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
苛烈と熾烈の違い
苛烈と熾烈の意味の違い
苛烈と熾烈の違いを分かりやすく言うと、苛烈とは厳しさを表し、熾烈とは勢いを表すという違いです。
苛烈と熾烈の使い方の違い
一つ目の苛烈を使った分かりやすい例としては、「苛烈な戦いが繰り広げられている」「苛烈なビジネス競争を勝ち抜く」「苛烈な戦いの最前線に身を投じる」「中学受験がより苛烈なものになってる」などがあります。
二つ目の熾烈を使った分かりやすい例としては、「水面下で熾烈な情報戦を繰り広げる」「プレミア残留争いは熾烈を極める」「熾烈な戦いを制しチャンピオンの座を掴む」 「中学受験は年々熾烈になっています」などがあります。
苛烈と熾烈の使い分け方
苛烈と熾烈という言葉は、読み方が似ており、どちらも激しいことや程度がはなはだしいさまを表しますが、意味や使い方には違いがあります。
苛烈とは、厳しくて激しいさまを意味します。度合いにおいて非常に悪い状況を表し、基本的に好ましくない物事に対して用いられる言葉です。「苛烈な戦い」とは、耐え難いほどの苦難がある戦いであることを表します。
熾烈とは、勢いが盛んで激しいさまを意味します。物事の勢いが激しい様子を表し、状況がエスカレートしていくような場合に使用される言葉です。「熾烈な戦い」とは、激しくぶつかり合うような戦いが繰り広げられている様子を表します。
つまり、苛烈という言葉には厳しさの意味があり、熾烈は勢いがあることを意味します。二つの言葉は類義語ですが、意味は異なるので区別して使い分けるようにしましょう。
苛烈と熾烈の英語表記の違い
苛烈も熾烈も英語にすると「severe」「fierce」「rigorousness」となり、例えば上記の「苛烈な戦い」を英語にすると「a fierce battle」となります。
苛烈の意味
苛烈とは
苛烈とは、厳しく激しいことを意味しています。
苛烈の読み方
苛烈の読み方は「かれつ」です。誤って「にれつ」「しれつ」などと読まないようにしましょう。
表現方法は「苛烈な争い」「苛烈な戦い」「苛烈を極める」
「苛烈な争い」「苛烈な戦い」「苛烈を極める」などが、苛烈を使った一般的な言い回しです。
苛烈の使い方
苛烈を使った分かりやすい例としては、「ブラック企業は営業成績争いが苛烈です」「ノルマ未達者には苛烈な叱責が待っている」「IT人材の獲得競争は苛烈を極める一方です」「成熟した市場での苛烈な戦いに挑む」などがあります。
その他にも、「祖父は苛烈な性格の持ち主でした」「今季のポジション争いは苛烈になるだろう」「取り巻く環境は年々苛烈さを増しています」「苛烈な戦いの末に勝利する」「苛烈な英語教育は必要ありません」どがあります。
苛烈の「苛」は訓読みで「からい」「きびしい」と読み、困難が多くて大変なさまを表します。「烈」は訓読みで「はげしい」」と読み、程度が度を過ぎてはなはだしいことを表します。この二つの漢字が組み合わさり、苛烈とは、厳しく激しい様子を意味する熟語となりました。
「苛烈な性格」の意味
上記の例文にある「苛烈な性格」とは、容赦のない非常に厳しい人の性格を意味します。むごいほどに厳しいというニュアンスがあり、ネガティブな意味で用いられることが多い表現です。また、そのような性格の人を「苛烈な人」も言うことがあります。
苛烈の対義語
苛烈の対義語・反対語としては、 静かでのどかなさまや安らかであることを意味する「穏やか」などがあります。
苛烈の類語
苛烈の類語・類義語としては、厳しすぎるさまや酷すぎるさまを意味する「過酷」、非常に厳しく激しいことを意味する「峻烈」、程度がはなはだしいさまを意味する「凄まじい」、力や刺激が強く激しいことを意味する「強烈」などがあります。
熾烈の意味
熾烈とは
熾烈とは、勢いが盛んで激しいことを意味しています。
熾烈の読み方
熾烈の読み方は「しれつ」です。誤って「しょくれつ」「かれつ」などと読まないようにしましょう。
表現方法は「熾烈な争い」「熾烈な競争」「熾烈になる」
「熾烈な争い」「熾烈な競争」「熾烈になる」などが、熾烈を使った一般的な言い回しです。
熾烈の使い方
熾烈を使った分かりやすい例としては、「レギュラー争いは熾烈を極める」「米中の覇権争いは一段と熾烈さを増している」「熾烈な中学受験と塾の実態を描いたアニメです」「エネルギー資源の争奪戦が熾烈化している」などがあります。
その他にも、「チケットは当選倍率100倍の熾烈な争いとなっている」「熾烈を極める昇格レースの行方が気になります」「動物界では熾烈な生存競争を繰り広げている」「企業間の熾烈な競争を勝ち抜いて生き残る」などがあります。
熾烈の「熾」は訓読みで「さかん」と読み、勢いがはげしい様子や、燃えて赤くなった炭火を表します。激しいことを表す「烈」と組み合わさり、熾烈とは、火が盛んに燃えるさま、転じて、勢いが盛んではげしいさまを意味します。
「熾烈を極める」の意味
熾烈を用いた言い回しには「熾烈を極める」があります。「熾烈を極める」とは、この上ないほど激しいものである様子を意味します。「極める」は、これより先はないというところまで行き着くさまを表します。
「熾烈矯正」は誤用
熾烈を用いた誤った表現には「熾烈矯正」があります。正しくは「歯列矯正」であり、 歯並びや咬み合わせを矯正することを意味します。
熾烈の対義語
熾烈の対義語・反対語としては、力や元気がなさそうであることを意味する「弱弱しい」などがあります。
熾烈の類語
熾烈の類語・類義語としては、勢いが強くはげしいさまを意味する「猛烈」、度を越して激しいことを意味する「過激」、きわめて勇ましく激しいことを意味する「壮絶」、激しく生き生きとしていることを意味する「鮮烈」などがあります。
苛烈の例文
この言葉がよく使われる場面としては、とても厳しく激しい様子を表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように苛烈の慣用的な言い回しには、「苛烈を極める」「苛烈な性格」「苛烈な人」などがあります。
熾烈の例文
この言葉がよく使われる場面としては、燃え立つように盛んで激しいさまを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように熾烈の慣用表現には、「熾烈な戦い」「熾烈を極める」などがあります。
苛烈と熾烈という言葉は、どちらも「激しいさま」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、厳しく激しいことを表現したい時は「苛烈」を、勢いがあって激しいことを表現したい時は「熾烈」を使うようにしましょう。